百八話 彼女達の力
更新遅れてすみません。
夜中に書いてたのですが、あえなく途中で撃沈。
朝から買い出しやらで、ようやっと今の更新となりました。
まだまだ不安定な更新が続きます。
申し訳ございません。
いかにも上役といった空気を醸し出すサーコートの槍使い。
「これは…使えるな…シルフィ。アクエリアス」
「え?あぁ。あれね」
「任せて」
「何をボソボソと!正体を現…しぇっ!!!」
話す途中に急に白目を向き、痺れだす槍使い。
「上手くいってよかった」
そう言いながら、ルーシェは槍使いの装備を剥ぎ取り、すっぽんぽんに。
そして筆を取り出し、両の手首足首に線をぐるりと描いた。
「しかし…かわいい顔して、やることがエグいわ」
「まぁヤるときは手加減せず、一気にヤるようにって、里の皆で仕込んでましたから」
シルフィの言葉になるほどと思いながら、アクエリアスは手元の小瓶へ視線を落とす。
先程の戦闘。
シルフィとアクエリアスは、事前にルーシェから渡されていた薬を、大精霊二人による有効活用する方法を、ルーシェから相談されていたのだが、そのうちの一つが、今のコンボである。
今回の薬品は自白剤+入眠剤。
それらをアクエリアスが見えないように気化させ、それをシルフィの風で送り、的確に体内へ侵入させたのだ。
広範囲も局地的ピンポイントでも、どちらも確実に使える、恐ろしいコンボが完成したのだ。
結果はご覧の通りというわけだ。
実にエゲツない。
「ところで、ルーシェは筆で何をしてるのじゃ?」
筆で描いた線の沿うように、何か図形の様なものを描き足すルーシェに、シリウスが声をかける。
「あぁ。マホさんに聞いたの技術の応用をね」
完成したとばかりに、筆などを片付けた。
「集落で陰陽術を見せてもらったよね?紙に何かを描いて、式神を出したりしてたよね?あれは墨に霊力を流し、文字や絵による組み合わせで、出したい式神を決めてたんだけど、それが出来るなら、霊力を流しながら、普段使う魔力も一緒に流して、術式を絵や文字にして、描いたら、使えるんじゃないかな?って思ってさ。やってみたらこの通りだよ」
そう言って槍使いへと視線を戻す。
手首足首が全部引っ付き、完全に固定化されてしまっている。
「今回みたいに捕縛するとき、ロープや鎖を用意せずに済むし、荷物が楽になるね」
「それすごいのぉ〜。その筆は他に技はないのかの」
「まだ知ったばかりの技術だからね。おいおいだよ」
そう言ってルーシェは眠る槍使いを起こした。
「さて、名前は?」
「…バルト…」
「バルトの階級は?」
「…隊…長…代理…」
「拐った人達は?」
「…何人……火の…さ…祭…壇…だん…だん…」
「マズイ!みんな離…」
言い終わる前に視界が爆煙で染まる。
一番近距離にいたルーシェは、死を覚悟する程の爆発だったのだが、予想外に痛みはなかった。
(激し過ぎる痛みは、逆に何も感じないというけど、そういうことかな?)
恐る恐る目を開けると、ルーシェの眼前には水と風の防御膜が張られていた。
「間一髪ね」
「本当に」
二人そろってフーっと息を吐く。
瞬時に二人が助けてくれた様だ。
お礼を言う前に、シリウスが動き出す。
「何をのんびりしておるのじゃ!今の爆発音でわんさか敵がやってきておるぞ!」
そりゃ当たり前のことだと、ルーシェ達は動き出す。
先程臭いで人だとバレたのだ。
また変身したとしても見破られるリスクは高そうだと判断し、爆発で産まれた瓦礫の影に隠れることに。
「また臭いでバレるのは面倒じゃのぉ」
そう言うとシリウスの力で地に穴を開け、その中へと皆で隠れる。
「通気穴も付けた。暫くは安全じゃろう」
「ありがとう。って…来たよ。静かに…」
「さっきの爆発は!?」
「おいっ!これを見ろ!」
「この槍は…」
「侵入者がいたということか…」
「しかしトラップに見事掛かったみたいだな。あの爆発に対応できる奴なんているわけがない」
「そうだな。しかし…こいつも見事犠牲になったってわけか」
「規則規則と煩いやつだったからな。セイセイしたぜ」
「それより早く報告して来いよ」
「わかった。じゃあここは頼まぁな」
隊をそれぞれに率いた二人の魔族は話すと、一組の隊は奥へと消えていき、残った一組はここの片付けを始めた。
「隊長。こりゃ酷えっスね」
「お前らも気を付けろよ?任務が終わるまで、全員呪われてるんだからな。禁止事項を口にしたら…」
「い、言わねぇで下さいよ〜。本当に怖いんっスから」
「ハハハ。まぁそれよりササッと終わらしちまえ。口より手を動かせや」
「了解ッス」
「これは暫く動けそうもないな…」
「ふむ…動けんこともないぞ?」
「え?」
シリウスは力を行使し、穴を掘り進んでいく。
全くもって便利な神様能力である。
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