百七話 敵地への侵入
最近更新頻度が遅くて本当にすみません。
来週からはより忙しくなりそうで、更に厳しくなるかもですが、何とか合間見つけて、更新したいと思います。
粘着性吸収結界の成果には皆満足したのだが、一つだけ欠点がわかった。
「この見た目…何とかならんもんやろか?」
そう。大量の魔族が、変なポーズで引っ付きまくりなのだ。
控え目に言っても…気持ち悪いのだ。
しかも子供しかいないこの場において、たぶん間違いなく悪影響を及ぼすであろうビジュアルなのだ。
流石に見かねたマホからの指摘なのだが、こればかりは暫く我慢してもらうしかない。
「とりあえず…今からここの大人衆を助けに行くから、戻るまで我慢してもらえないですか?」
「この結界のおかげで安全なわけやし…背に腹は代えられんわなぁ」
後頭部をガリガリと掻きながら、そう言ってくれた。
救出チームはルーシェ、シリウス、シルフィ、アクエリアスの四人となった。
「ウチかて行くでぇ!」
と、マホが言っていたのだが、ここの子供たちの心の拠り所が、こっち側に来てしまうのは流石に…という話になった。
「まぁ言いたいことはわかったけど、ホンマにここにウチいるかな?」
そう言って向けた視線の先に、子供たちとその玩具にされているジークの姿が。
「今はみんな安心出来る状態だからですよ。もし緊急事態になったら、やっぱりマホさんはここに必要ですよ」
その言葉に、渋々ながらも頷いてくれた。
ルーシェの言葉には嘘はなかった。
しかしそれは全てを告げてはいない。
残酷な話だが、マホの実力では魔族相手だと足手まといになってしまう。
それに、もしルーシェ達が何らかの原因で、例え戦闘でなかったとしても、罠や事故で死ぬ危険性もあるのだ。
もし仮にそれにマホが巻き込まれてしまったら、それこそここの集落は終わりだ。
マホの性格上その話をしたら、非常に面倒なことになるだろうと、敢えて話さなかったのだ。
そんなルーシェを見て、シルフィはムフフと笑みを溢していた。
「ん?シルフィどうしたの?」
「んにゃ〜。ルーシェも大人になったなぁ〜って」
「??結構前に成人は過ぎたから、大人になってそこそこじゃないかな?」
「そういう意味じゃないっての。まぁこういうところはまだ子供かぁ…」
シルフィの言葉の後半は、全然聞こえなかった。
特に大事そうな話ではなさそうだと、もう一度聞くこともなかった。
「そんじゃあ救出へ行こうか」
「「「OK!」」」
結界を出ようとするルーシェ達に、ジークが慌てて追いつく。
「ちょっと!お兄さん達!僕が向こうまで連れて行くよ!ひとっ飛びだよ!」
「いや、ジークにはここを守ってもらわなきゃだし」
「そ、それなら一度お兄さんと僕で行って、杖で移動すれば…」
「それには及ばないよ。来る途中に空から見たところが、今回の目的地っぽいから」
「そ…そんなぁ…」
「というわけで、ジークはここを頼むね!」
恨みがましい視線は、誰にも届くことはない。
そしてやってきた子供に、尻尾をむんずと掴まれ、建物の中へと引っ張って行った。
結界を出たあと、ルーシェは比較的見た目に特徴のない魔族を数体選んだ。
「向こうに行ってからじゃ、何かあるかもしれないし、先にここで薬を飲んで行こうか」
魔女の秘薬により、四人は魔族へと姿を変え、そしてルーシェの開いたゲートの中へと進んでいった。
「ん…!?お前ら無事だったのか!?」
変身したルーシェ達を見付けた見張り役の魔族が、ルーシェ達に声をかけてきた。
「あぁ。命ガラガラなんとかな…」
「酷い見た目だな…何があったんだ?帰りも遅かったし…」
「どうにも向こうには強力な助っ人が付いたようで…俺たち以外は殺られちまった…」
「そんな…嘘だろ…」
「それらも含めて、報告をしなくては…中に入れてくれ」
「おっと。悪かったな長々と。休みたいところだろうが、先に指揮官殿へ報告を忘れるなよ?」
「あぁ。わかってる…しかし…どやさらるだろうな…」
その言葉に、見張りはご愁傷様と言いたげな表情をしていた。
「案外楽に入れたのぉ」
そう言いながらキョロキョロと辺りを見るシリウス。
「怪しまれるからキョロキョロはやめて。やるなら視線だけ」
そう注意したルーシェ自身も、キョロキョロしそうになる自分がいるのを自覚しているため、必死に抑止している。
入口は明らかに天然の洞窟のはずが、入って少しすると、そこは一気に開け、天井も高く、整備された空間に変わったのだ。
「あれだけの大軍を送りってきたんだし、これくらい広くないと、やっていけないんじゃないの?」
周囲をチラ見したアクエリアスの弁である。
言われて見ればその通りである。
「詮索よりも先に救出を。シルフィ…頼める?」
「もうやってる…けど、ここには精霊も妖精も、一人もいないみたいで、調べられないみたい…」
横目でアクエリアスを見るも、両の手を肩に上げ、掌を空へと向けている。
「虱潰ししかないか…」
そう言ったルーシェ目掛けて、槍が飛んで来る。
「あっぶな!」
間一髪で避け、槍な来た方向へ視線を向ける。
「お前は誰だ?その臭い…魔族ではなく、人間ではないか!大人しく正体を明かせ!」
サーコートを纏った、如何にも上官といった空気を纏った魔族が、変身する一行へと、油断ない視線を飛ばしてきた。
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ずっと終わり茶番も書けてなくてすみません…




