百一話 東洋での出会い
暫くは不定期で急遽お休みすることが多くなりそうです。
申し訳ないです。
なるべく頑張りたいのですが、如何せん片付けが…
それと、自身の生活環境も、大きく変わろうとしてるタイミングも重なってしまいまして…
申し訳ございません。
まだ夜が明けるまでかなり時間がある。
暗闇の中から聞こえるのは、虫の声と獣の鳴き声。
シルフィの耳がピクリと反応した。
「…ルーシェ」
小声でルーシェに耳打ち。
何事かは風の小精霊達が、囁くように伝えてくれた。
人が襲われているようだ。
「ちょっといってくるよ」
「一人で大丈夫?」
「そうだね…どういう状況かわからないから、隠れててもらえるかな?」
ルーシェは杖を握った。
「しかし…先に周辺調査してて助かった」
樹の上から状況を確認する。
その目の下は僅かに朱い。
元々夜目は効く方だが、その朱い塗り薬は特殊で、更に夜目が効くだけでなく、赤外線や熱を見ることが可能になる。
音は小精霊が拾ってくれる。
しかも前よりも鮮明に声を伝えてくれるのだ。
シルフィという大精霊(代理)のちからだろうか。
何にしても、現地のことが細かくわかるのは助かる。
(追われてるのは…男女か…追ってるのは…ゴブリンの群れ?でも何か変だな…)
『ねぇちゃん!はよぉ逃げな!』
『わぁっとるわ!』
『ギィギィ!』
魔物に追われてるなら助けるかと、ルーシェが動こうとした瞬間。
「ゴォラァ!待たんかい!お前らもはよ行けやっ!」
『バチンバチンッ!』
『『『ギィッ!』』』
まだ遠いはずが、ここからでもはっきりと聞こえるほどの怒鳴り声を上げながら、鞭を振るい魔物を操る女。
「魔物を操っているのか?でも何だ?状況が読めないな…」
もう少し様子を見ることに。
「待たんかい!いてまうぞ!」
「待てと言われて待つアホはおらんわいっ!」
「こぉんのクソ餓鬼ぃ!舐め腐っとんちゃうぞ!」
『ドスンッ』
女は横の大木に蹴りを入れる。
その衝撃で舞い落ちる複数の葉を、その鞭で全て撃ち落とす。
その葉がゴブリン(?)の様な生物になり、姉弟へと襲いかかる。
「下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるってか?んなもん効くかいな!意味あらへんで!」
弟は懐から小さい針を大量に取り出し、デタラメな方向に投げる。
『ギギィ…』
一定の距離まで近付いたゴブリン(?)は、見えない何かに切断されてしまった。
血を吹き出すこともなく、『ボンッ』と音を立てて消えてしまった。
そこからひらひらと舞い落ちるのは、真っ二つに切り裂かれた葉っぱだ。
「無能なそいつらには、これで十分やろ。ねぇちゃんはよぉ行くで!」
「わあって…って、ちょっと待ちぃ!」
慌てて引き止める姉の声に反応し、振り返った弟を、回り込む様に現れたのは先程の鞭女だ。
「ちょっ!何でお前がこっちおんねん!」
「答えるわけないやろアホが!」
『ガツンッ!ゴチンッ!』
そう言って拳骨を脳天に叩き込む鞭女。
「いったぁ!何すんねん!アホ!貧乳!」
「黙らんかい!まだ足りんか?このダボがっ!」
そう言って鞭女は男の子を脇に抱え、尻をめくり出すと思いっ切りバチンバチンと叩きまくる。
「ちょ!やめっ!いたっ!」
「誰がやめるかアホがっ!」
そう言いながら、まだまだ折檻は終わらない。
十分後、ようやく折檻は終わったようだ。
真っ赤になった尻と、流す涙もなくなり、ぐったりと呻くだけになった少年。
そして弟の無体な姿に、ガクガクと震えながら泣く姉の姿と、その前に仁王立ちをする鞭女。
「こらアカネ。あんた何したかわかっとんやろなぁ?」
「ご…ごめんなさい…でも…でも…」
「でももカカシもあらへんわっ!皆で話して決めたことやろ!」
「でも…やっぱしウチ…オトンもオカンも助けたいねんもん…」
そう言って泣き出すアカネと呼ばれる少女。
「気持ちもわかる…ごめんな…けど、彼奴等にそれ渡したかて、無事に帰ってくる保証はあらへんねん。わかるやろ…?」
エグエグと泣くアカネの背を撫でる。
「ごめんな…ねぇちゃんに力がもっとあったらな…ほんま堪忍な…ウチかて悔しいねん…」
上から見ていたルーシェ。
何やら訳ありの様だが、こちらも優先しなければいけないことがあるし、こっそり戻ろうと立った瞬間、乗っていた樹を、思いっ切り蹴飛ばす鞭女。
「あぁもぉ!ウチは何でこんなに無力やねんっ!クソがぁ!」
『ズシンッ!…メリメリメリ…』
遠慮など一ミリもないその一撃が樹を叩き割る。
「え?うそ?」
咄嗟にバランスを取ろうとしたため、杖を手放してしまう。
慌てて掴もうとした結果、真っ逆さまに落下してしまう。
『バタンッ!』と、顔面から落下したルーシェ。
その予期せぬ人の落下に驚く姉妹。
「ちょっ!い、生きてるかぁ?」
そう言いながら、折れた枝で離れたところから、ルーシェを突く姉。
「イタタタタ…」
ムクリと起き上がり、顔を手で押さえる。
東洋の島国で、ルーシェの初めて現地人との出会いは、こんな感じだった。
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