九九話 建国と幕開け
昼間はだいぶ温くなってきました!しかし、朝晩はまだ冷えますね…
皆様体を大事に!
本当に急病にはご注意を!
さらに月日は流れた。
実際殆どの国政に関わることはしなくて済んだのだが、最終決定のために、押印だけはしなくてはならず、ちまちまと合間を縫って、日々その作業を行っていた。
この立場となり、最初は品定めとばかりに、近隣諸国から大臣が来たりと、なかなかに面倒なことにが多かった。
ただ、やはりどこの国においても、生老病死はあるもの。
ルーシェは解呪まで対応可能ということもあり、挨拶がてら各国の重役や王の血縁しゃの病気や呪いを治した。
やはり人は現金なモノで、結果としてルーシェのことを認めていったのだ。
当然ルナマリアやウォーター・ガーデンの王の後ろ盾があったからでもある。
ちなみに、老に関してまではあえてどうもしていない。
無駄に権力者が長生きすると、碌な事は考えないからやめておけと、ウォーター・ガーデンの王のアドバイスだ。
「王様はいらないのですか?」
「いらんな。出来れば次の者に今の地位は譲り、さっさと楽隠居したいくらいだからな。しかし貴殿も王になったのだ。同格なのだから、様はいらん」
そう言ってカカと笑う王。
色々と動いてくれたお礼として、低効力の若返り薬ならと思ったのだが、それは無用のだったようだ。
代わりのお礼はどうするべきかと、少し思案顔に。
王はそれを知ってか知らずか、こっそりと耳打ちをしてきた。
「もし薬をというなら、ラグアイバより効くものはないか?」
「…一応ありますが…」
「ならばそれを頼む。娘達に弟が欲しいと迫られてな…いや、それだけではない。家臣の者で、その…最近になり、ようやく籍を入れた者がおるのだがな。若い嫁さんを貰ったはいいが、その、なかなかの晩婚のため、そっちの方がちょっとな…」
そう言い終わるや否や、すぐに肩をバシバシと叩いた。
自分だけでなく、家臣のための配慮。
もしかしたら家臣をダシにしたのかも知れないが、やはり根は優しい人なのだろう。
しかし、照れ隠しにしては肩を叩く力が強過ぎる。
正直かなり痛い…
そんなわけで、後日用意した薬を届けた。
「服用は一日一粒厳守。30歳以下の方は服用禁止ですよ」
「ハハハッ!早速すまんな!」
そこから新婚の家臣の家はなかなかだ。
毎晩昨夜はお楽しみでしたね状態である。
その話を聞きつけた別の家臣からも、薬を何とか分けて欲しいとねだられ、王から定期的に注文が来ることになる。
ルーシェは世界を旅するため、いくら杖で移動が出来るとはいえ、連絡がすぐに付くわけではない。
どうしたものかと思案したところ、現在アドバイザーーとしてルーシェの国に派遣されているルナマリアの一言。
「ならハーフ達に製薬を教えることは出来ませんか?」
その発案から、ルーシェは新たに建造された城にて、ハーフに製薬方法を伝授。
更には数々の薬草畑の開拓。
一気に経済が回り出す。
各国と薬による貿易も開始。
薬草以外の材料は、これで安定して他国より輸入されてくる。
ハーフの作った薬は、ルーシェの作ったものに比べれば、多少品質が落ちるものの、それまでに存在した薬剤よりも効果が高く、その割には安価ということもあり、製薬業界を一手に掌握することになる。
ルーシェの最初の治療話も波紋を広げるように伝わり、噂とはネジ曲がり、誇大広告されていく。
人々は元帝国を、ドルイドの治める治療大国として、フェアリアス・リーフと呼ぶ様になる。
名前を決めることが出来なかった彼等は、『もうそれでいんじゃね?』という空気感により、国名が決定された。
城の名前も薬草から『もうリーフ城でいいよ』と、誰かが呟いた一言により決定された。
色々と大変だったが、色々と問題が落ち着き、ハーフも徐々にこの国では受け入れられた頃、シルフィとアクエリアスが、血相を変えてルーシェの自室へ飛び入った。
「ルーシェ!フレイアスの居場所がわかったわ!」
「すぐに向かうわよ!」
「え?ちょっ!」
有無を言わさずに、ルーシェの手を取り走り出す二人は、庭で寛ぐジークとセレナスの元へ。
「セレナス。悪いけどジーク借りるわよ」
「はい?」
「そんな慌ててどうしたの〜?」
「セレナス。ルーシェとフレイアスのところへ行くから、皆に伝言と留守番よろしく!」
「え!?あっ!ちょっと待っ………行ってしまいましたわ…」
こうしてルーシェと大精霊二人、そしてジークの新たな冒険の幕が上がった。
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