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森育ちの天然ドルイド  作者: 食欲のアキ
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九話 行ったり来たり

今日は朝から買い出しなど、結構バタバタしてたので、少し短い文章での更新とさせて頂きます。

すみません。

 使った睡眠香は、頑強な魔獣ですら眠らせるほど強力なものである。

 ミノケンタの方は3時間は眠り続ける。商人の方はより効くので、少なくとも倍の時間は起きないはず。

 とりあえずミノケンタの急所である眉間を潰しておいたが、商人達の処遇をどうするかで悩んでいた。

「とっさのことだったから、慌てて強いの使っちゃったけど、もう少し弱いのにしとけばよかった…とりあえず…ミノケンタの処分はしなきゃだからやっちゃうか」と、解体用のナイフで必要な部分である、肝臓、脾臓、腎臓、2つの心臓、そして魔獣の核である魔石を取り出した。

「残りは焼却処分しとかないと…不味いから食べたくはないし、処理はきっちりしておかないと、ゴブリンやオークが来ることになるからなぁ…」と、少し離れたところで穴を堀り、焼却処分を行う。

「シルフィごめん。臭いが来ないように…って、もうやってるか」

「こいつ焼くと臭いからキラーイ」と、シルフィは明後日の方向に風を送る。

 小さい頃にガンちゃんや剣の精霊と一緒に里を出たときに、何度か魔獣の処理の方法を教えてもらったのが役に立った。

 そこから暫くすると、軽装や重装など、色々な装備を纏った四人組がやってきた。

「ヒデェ臭いがするし、煙が上がってたから、何事かと思ってきたら…酷い有様だな…」と、重装の男が声をかけてきた。

「ちょっとアル!大丈夫なの?」と重装に声をかける、とんがり帽子に黒マントの女性。

「おーい!生きてる者はいるかぁ?」と、アルと呼ばれた男が声を張り上げた。

「はーい!みんな生きてますよ!」と、ルーシェが返事をした。

「あ、生き残りかい?それにしては服装が綺麗だけど?」と、女性が声をかけてきた。

「さっきみんなって言ってたが、みんなってのは?何があったんだ?」とアル。

 商人達が襲われていたので助けたこと。ミノケンタのことなど、掻い摘んで説明をした。

「え?貴方がミノケンタを倒したの?どうやって?」と、聞かれたが、

「企業秘密です」で突っぱねた。

 冒険者同士だと手の内を隠すことは多いので、割とあっさりと引き下がってくれた。

「ところでちょっと困ってまして…」と、二人に自分は一人で、商人達がまだ目覚めなくて(睡眠香のことは内緒で)困っていることを相談した。

「なるほどなぁ…そういうことなら、俺達も手伝うさ」と、周辺警戒に当たっていた軽装の二人を呼び、事情を説明した。

「さてと…じゃあ俺達で商人達を守っておくから、ルーシェとパルコで、王都へ応援を呼んで来てくれ」とアル。

「はいナ〜!まかせてヨ〜!」と、独特な訛りのパルコが元気に応えた。

 軽装備のパルコは馬の獣人で、長い尻尾を揺らしていた。

「ルーシェ…だっけ?は、脚早イ?私早いヨ?ダイジョブ?」

「頑張ります!それではここはお願いしますね!皆さん!」と、二人は走り出した。

 二人は軽快な速度で駆け抜けていく。パルコとしては最初ルーシェを担いで行くことも覚悟で走り出した。

 馬の獣人なだけに、華奢な見た目とは違い、素早いだけでなく、力も持久力にも長けていた。

 が、実際はどうだ。ルーシェは息一つ乱さない。汗を書いてもいない。つまりは自分の速度に合わせて、ペースを落としているということだ。

(な、何者ヨ…?でも、負けないヨ!)と、自分に気合いを入れた。

 ルーシェはパルコを見て、ペースを調整していた。

(往復しなきゃだし、無理はさせられないよね)


 一時間ほど走ると王都へ辿り着いた。

「大丈夫ですか?」

「ぜぇ…はぁ…これで…も…馬の獣…人…ヨ…余裕…ヨ…ハァ…ハァ…」と、かなり無理をして、サムズアップするパルコ。

「門番に事情を説明してきますので、少し休んでいて下さい」と、ルーシェは門番へ。

 事情を聞いた門番はギルドへ伝令を走らせ、程なくギルドから馬車2台と数人の冒険者が来たので、二人は馬車に乗り、案内をすることになった。

(馬車出してもらえるなら、もう少しペース上げてもよかったかな?)とルーシェ。

(タ…助かったヨ…)とパルコ。

「シケた依頼だが、緊急依頼ってことで、報酬もよかったしな!」と、援護に来た冒険者達が、荷台で気楽に話し合っていた。


 馬車が救助に着いたとき、アル達も戦闘を終わらせたところだったようだ。

「おう!早かったな!」と、こちらに気付いたアル。


 全員で商人達と無事そうな荷物を積んでいく。

「しっかしこいつら…こんだけ雑に乗せてるのに、よく起きねぇなぁ」

「治療済みっても、血まで戻るわけじゃないだろうし、仕方ねぇんじゃね?」

「俺達ほど体力もないだろうし、逃げるので疲れただろうしな」と、冒険者達の弁を聞き。

(あぁ…うん…そういうことにしておこう)と、ルーシェは思ったのだった。


 全員で馬車に乗り、王都へ無事に帰り着いたとき、ルーシェは思い出した。

「しまった!ダービットさんに頼まれてたの忘れてた!すみません!あとはお願いします!」と、慌てて道を走り戻って行った。

「あ!おい!って…もう行っちまった…」とアル。

「早いわね…あの子…ルーシェっていったっけ?」と、とんがりのお姉さん。

「やっぱ…私ヨりも早いヨ…」と、落ち込むパルコ。

 もう一人の軽装姿の細身の男性は、目を細くして、土煙を上げて走り去ったルーシェの方を見ていた。

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