時の流れに手をのばしても
何かが変わることはなく。
見上げた空は広く、どこまでも続いているような気がした。
青く澄んでいた過去の面影を視てニュートラルな灰一面に覆われた今を想う。
のばした手は何も掴まず、空気が動いていることさえ感じ取ることはできない。
耳に届くコレは流れの音か。川の流れか或いは時の流れか。ともすれば自我の流れか。
私を構成していた殻はどこへ消えたのか。あるいは今も存在しているのか。
どこかで失くしてきたソレは、いまもどこかに落ちているだろうか。
拾い集めることは、可能であろうか。
のばした手を握ってみてもなにも中には入らない。そこにあった空気が追い出されただけだ。
引き寄せて確認しても、何も事実は変わらない。
新たな発見などは無い。
いくら過去を見通せど、今は変わらず。
いまを見つめ続けていれば、未来は変わるのか。
ただ時間を浪費する手段が、変わるだけではないのか。
ただわたしは、時間を命を浪費しているだけではないのか。