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最も危険な輸送③

 シャーロットとボッケンは再び作業に入る。

 マーチンは邪魔にならないようにそっと飲み物を置く。

 飲み物を持って啓作と共に医務室へ。医師団に飲み物を配りながらマーチンが言う。

「そう言えば、目的地のククコカ星で反物質発電所の事故があったって、ニュースでやってたよ。星全体で停電だって、大変だね」

「!」 「い、いつ?」医師団が焦る。

「ニュースはさっきだけど、事故は数日前みたい。遅いよね。それとも秘密にしていたのに漏れたのかな?銀河パトロールが今“反物質コア”を運んでいるって」

「・・・」

 医師達は顔を見合わせる。弱り目に祟り目だ、無理もない。

 啓作が尋ねる。

「あなた方はどこの医大出身なのですか?ディラノイ教授のおられたササキ医大ですか?」

「そ、そうだ」

「到着までどうぞごゆっくり」

 啓作は立ち上がりマーチンと退室する。

「あいつら偽物だ。ニセ医者だ」

「え?」

「ディラノイ教授のおられたのはルリウス医大だし、ササキ医大は女子医大だ。肌身離さず持っている荷物も恐らくワクチンじゃない」


 自称医師団のいる医務室にマーチンが飛び込んで来る。

「は、腹が・・」

 マーチンは腹を押え、床に倒れ込む。仰向けになり、痙攣を始める。

 男達はあたふたするだけで、何も対処しようとしない。

 マーチンの腹がどんどん異様に膨らむ。やがて・・ばすん!

 オナラだ。ものごっつい臭いが空間を満たす。

「・・!!」失神する男達。

 扉が開き、ガスマスクを付けた啓作が入って来る。換気扇をまわす。

「ぷはー」息を止めていたマーチンも起き出す。

 啓作は男が持っていたアタッシュケースを手に取る。当然セキュリティが掛けられているが、難なく解除。爆発物ではない事を確認し、開ける。

「!」

 中を見た啓作の顔色が見る見る蒼くなっていく。


 コクピットでは美理とピンニョからの通信中。後ろに麗子もいる。

 星団内のため映像は乱れがち。シャーロットとボッケンも航路計算が済んだため、会話に参加している。

『そう、修学旅行。今年・スポンサーが付いて・・文化祭に来ていたアダム・グループのえらい人よ。何とか・・て豪華宇宙客船の旅なの』

「どこ行くんだい?」明が尋ねる。 

『えーと、プレアデス・団、オリオ・・雲、地球・・あと何処だっけ?』

『白鳥座X-1』麗子が代わりに返答。

 こちらの誰かと目が合ったのかペコリとお辞儀。

「へえ、名所ばかりだな」

「X-1って幽霊船の噂なかったっけ?」とヨキ。 

「ゆーれーの話はやめろ~」

 明はその手の話は苦手なのだ。ボッケンが笑っている。

『思い出した。<エンゼル=ヘア>・て船よ。ところで、おみやげ何がいい?』

「え~と・・」

 明が考えている時、啓作とマーチンが入って来た。啓作の手にはあのアタッシュケース。

「食えるもんならなんでもいい」マーチンが答える。

 笑う美理。

「すまん、急用だ。じゃあな」

 啓作が通信を切る。

 続けて、「ボッケン。海賊の襲来に注意してくれ」 

「え?振り切ったはずでしょ。そこまでしてワクチンを狙って来るとは思えない」

「これは、ワクチンなんかじゃない・・“反物質コア”だ」

「ええっ・・・って何それ?」


 啓作の長~い講義が始まった。

 シャーロットは航行ルートの再確認で欠席さぼり。マーチンは予備知識があるため、積み荷の再確認とニセ医者から情報収集。

「反物質と正物質が接触したら莫大なエネルギーが生じる。対消滅。米粒大の反物質で移民惑星数年間の電力を作れる。だがこれは強力な破壊兵器になる」 

「反物質爆弾」ヨキが答える。これ位は理解できる。 

「そうだ。そこで安全の為にテロ防止の為に、反物質を中和して対消滅を生じないようにする粒子が開発された。開発者の名前を取って・・明、解るか?」

「確か、ミノフ・・」 

「違う」あぶないあぶない。

「ドルメンマイヤー粒子」代わりにボッケンが答える。

「そう。宇宙物理学のヤマだぞ。パンゲア星で軍は反物質爆弾を使用したが、バリアーで爆発を封じ込めただろ?反物質コアはそのドルン・・(舌噛んだ)でコーティングする前の反物質の塊だ。発電システムは・・・」

 あくびする明。ヨキはすでに熟睡。

 コクピットに来る四人。 

「(講義聞いてたら)あったま痛くなってきた」

「お前寝てたじゃねーか」

「要するに“反物質コア”ってテロリストが喉から手が出る程欲しいモノだって事」

「え?お前、理解できたのか?」

 講義について行けたのはボッケンだけだった。でも啓作は嬉しそう。

 マーチンの尋問は終わっていた。

 お客さんはぐったり。ちょっと電撃をくらったのかも。

「啓作。ディラノイ教授は無実、騙されているみたい。積荷の中にワクチンと抗ウィルス薬は確かにあった。でも運ぶ必要ないよね。ケスラー熱患者なんていないんだから。で、こいつらは反物質発電機構の技術員。ククコカ星まで銀河パトロールが“反物質コア”を運んでいるって事になっているけど、それは囮でこいつが本物・・でもバレてるね」

「どうする?明?」

 啓作が明に尋ねる。明はしばし考えた後、

「“反物質コア”を運ぼう。ククコカ星の人々が困っているのは事実だ」

「そう来ると思った」ボッケンが頷く。

 ヨキも「報酬ぼったくってやる」

 <フロンティア号>は2回目のワープに入った。


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