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エンゼル=ヘア④

転入した私を案内してくれたのは可愛らしい少女だった。

「ごきげんよう。流美理といいます。よ、よろしくお願いいたします」

純真で無垢でちょっとドジ。

「え~同級生なの?」彼女は私を年上だと思い込んでいたらしい。

寮で同室となった彼女とは、一番の親友になった。

「・・・」

 麗子が目を覚ましたのは、豪華なフカフカベッドの上だった。

 船室のようだがその調度品は自分たちの部屋とは比べ物にならない、特等室だ。

 頭がガンガンする。着衣の乱れはない。靴もはいたままだ。

「お目覚めのようだな」

 声がして男が部屋に入って来た。


 ヴィイイイイイイーーンン。

 <エンゼル=ヘア>の通路に穴が開き、ドリル状のアンカーが出現。先端が花の様に開く。

 明、ボッケン、ヨキ、マーチンが中から現れる。通常の宇宙服ではなく特殊装甲宇宙服を着用している。

 倒れている乗客達を見つける。ヨキが近づき頸動脈を触る。

「生きている(ホッ)。何で皆倒れてるんだろ?」 

「催眠ガスか何かで気を失っているだけのようだ」 

「しかしすごい数だな」

「有毒物質なし。空気の流出流入なし。アンカー部の被曝なし。宇宙服脱いでもいいよ」

「何者だ!貴様ら!」

 明は振り向きざまに発砲する。

 特殊装甲宇宙服着ていても早い。早撃ちの腕は記憶が戻っても落ちていない。

 パラライザーの当たった海賊は気を失い倒れる。


 特等船室。

 目覚めたばかりの麗子はまだ体がうまく動かない。

「あなたは!」

 麗子は相手が誰か分かった。だが、なぜこの人がこんな事をするのか?いや何をしようとしているのか分からない。

「見れば見るほど素晴らしい体だ。我がコレクションにふさわしい。見たまえ」 

 クローゼットが開く。そこには大きな水槽があった。

 麗子は上半身を起こし凝視する。

「!!」その顔がひきつる。

 信じられない光景だった。

 水槽の中には数人の男女がハンガーに掛けられたように浮かんでいた。

 彼らは死体ではなく眠っていた。その頭部はヘルメットを被り、チューブの様な物で天井と繋がっていた。

 男はニコニコしながら麗子の隣に座る。

「これはコレクションのほんの一部だ。本拠地にはこの数倍の体がある。私ほどの人物なら、気分で体を変える権利があってもよかろう。・・もっとも今回事故で死んだ事になるから、もうこの体に(人前で)は戻れなくなるがな」

 麗子には何の事かさっぱり分からない。

 男の手が麗子の太ももを触る。

 即座に麗子はその手をはねのけ、はだけたスカートを直す。

「精神移植って聞いたことないのかい?ふふふ。そうだ、特別に見せてやろう」

 男はベッドの脇のリモコンを取り、少し悩んで➂番を押した。

 ウイーン。天井のクレーンが動き出し、水槽から一人を吊り上げる。綺麗な女性だ。

 二つ並んだ椅子の一つに降ろされる。液体は速乾性なのか、すぐに乾く。

 男はもう一方の椅子に座り、女性のヘルメットと同じ物を被る。これも天井と繋がっている。リモコンの別のボタンを押す。 

 眩い光。

 光が収まる。女が目を開け、立ち上がる。ヘルメットを脱ぐ。

 麗子は息をのんだ。名前は知らないが有名な女優だ(世間に疎いので)。

「どうだ。素晴らしいだろう。中古(=クローンの意味)だが、この体を手に入れるのには苦労した」女がしゃべっている。

「(何?何を言っているの?中身は、意識はあの人?入れ替わったの?)」

 麗子には信じられなかった。男は死んだように動かない。まさに魂が抜かれていた。

 水槽を見る。「!」

 その中にはオリオン星雲で見た男の子もプレアデス星団で見た女性も浮かんでいた。

 女は麗子の隣に座り、舐めるように麗子を見る。

「お前も私のものになるのだ。それにしても素晴らしい。特にこの・・脚」脚フェチ?

 女の手が麗子の脚を撫でる。いやらしい手つきでふくろはぎから太ももへ。

 麗子はショックを受けていて動けなかった。

「わ、私をどうする気?」そう尋ねるのが精一杯だった。

 女はその問いに答えず、「お楽しみはこれからだ」椅子に戻り、再びボタンを押す。

 眩い光。

 今しかない。麗子はベッドから飛び起き、駆け出そうとする。

「!」その腕を捕まれる。

 元の体に戻った男の目が開く。

「逃がすわけがなかろう」

 男はヘルメットを脱ぎ立ち上がる。その時だった。

 バコン!

 鈍い音がして、男が倒れる。 

「へ、へんたいおやじ!」

 棒を持って美理が立っていた。

「美理い」麗子は泣きじゃくる。

「早く!」

 美理は麗子の手を引っ張り、駆け出す。部屋から出る。

「!」

 見張りの海賊がいた。

「(忘れてた。入る時は“ステルスかっぱ”かぶってたんだ)」うっかり美理ちゃん。

「ボス。もう身体変わられたんですか?よっぽど気に入ったのですね」

「・・・」女子二人は顔を見合わせる。

「・・うむ。ご苦労」

 麗子はそう言って立ち去ろうとする。

「ウウ~」ロボット犬が唸り声をあげる。こんなのさっきはいなかった。

「どうした?・・あれ?そちらの娘は?」

 そう言いかけた見張りがバタッと倒れる。羽根が刺さっていた。

 ロボット犬が戦闘モードに入る。

 だが高速で飛ぶ何かにぶつかられ、転倒。機能停止。

「美理ちゃん!麗子ちゃん!大丈夫?」

 ピンニョが美理の肩にとまる。グレイが近づいて来る。美理たちがほっとした時、

「まてえ」

 男が後ろから出て来る。後頭部にでっかいタンコブができている。

 グレイは美理たちを後ろに下がらせ、男の正面に立つ。口元から笑みが漏れる。

「とうとう会えたな。宇宙海賊ドレイク!いや・・アダムスグループ総帥・レオナルド=アダムス!!」 

 四人の前に立つアダムス=ドレイク。大富豪と海賊、二人は同一人物だった。


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