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カストリの憂鬱

作者: 七夕ハル

 ある日、フィデル・カストリはゲームをしていた。このゲームはじめは某敵国の一企業が作ったというので、バカにしていたカストリの目が熱を帯びだしたのは、一週間後だった。孫が「おじいちゃんの最高点は?」と聞いてきた。カストリ「2万6千点だよ」と答えると、それまで尊敬のまなざしだった孫は、伏し目になって、泣き出した。これには、旧国家元首もまいった。しかし、それくらいで動じるカストリではない。それから3日後、大手新聞にカストリ、2万6千点]とでかでかと載ってから、いよいよ彼もゲームに本腰をいれることにした。それが、ゲームをしてから一週間後だ。

 さて、弟にゲームの攻略方法を聞く。弟は、「兄貴、あんたねえ。引退してゲームもいいけど、少しは実のあることをしてくださいよ」と軽く説教される始末。しょうがなく、かつての旧友を使って、(一説によると権力濫用ともいわれている)攻略法を調べさせた。その結果、カストリの点数は5万2千点まで上がった。これに満足したカストリは、再び遊びに来た孫に自慢気に点数を教えた。それを聞いて孫は怒りだす。「おじいちゃん。僕はクラスの下から3番目だよ。それでも10万点はこえてるんだよ?偉いおじいちゃんがそんなはずないよね?僕を馬鹿にしてるの?」この孫にとっておじいちゃんはヒーローだったのだ。でも、今は・・・・・・。カストリは唖然とした。一体何が悪いというのか?三日後、孫がゲームをしているのを見た。とんでもなく速い操作だ。指がものすごい速さで動いている。ここにきてカストリは、自身の老いを感じてしまう。しかし、並みの男ではない。訓練によって人間は、どこまでも能力を高められると信じているのだ。そこで、またまた旧友に本格的に「ゲーム・攻略訓練法」というプログラムを作ってもらい、日々訓練に明け暮れた。1ヶ月後、カストリはついに300万点を叩き出した。旧友も喜んでくれた。「すばらしい成果だ!」ただ、孫の反応は違った。「おじいちゃん!!そのゲームのブームは終わってるよ!今はこれだよ」それは戦争ゲームだった。カストリは、「やれやれ」と言い、翌日倒れて帰らぬ人となった。

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