なぜか、こぅなった・・・
なぜか、こぅなった・・・
うーん、
何も考えずに物事を始めると、
たいてい想定外へとなるのが定番。
前話に少々、付け加えをしました。
抱きかかえた幼女が、てしてしと俺の胸を叩いた。
顔が一点を見つめて動かない、噴水広場の屋台の串焼肉屋だ。いい匂いがするな。
あい、分かったって。俺も何だか小腹がすいている、一緒に食うか・・・
いつもじゃない日常、いつもじゃない場所、いつもじゃない相手。
噴水広場の人通りで混み合って、雑多な店が立ち並ぶ路上市場。
そして俺は今、石のベンチに座って、膝の上の幼女と仲良く? 串の焼肉を食べている。
「これ、結構、旨いな」
じんわりと口の中に広がる肉汁がいい、タレも旨みを引き出している。
膝の上の幼女は返事もせずに、しっぽをパタパタさせて無心に貪り食べている。
隣に座らせようとしたら、へばり付いて離れなかった、で妥協して膝の上だ。
たちまち食い終わった幼女が、片手の肉無しになった串を振り上げて俺を金の瞳でじっと見つめる。
「あー、もぅ一本か?」
串を片手に無言で、じっと俺を見つめる幼女。
「俺も、もう一本食うか・・・」
なんか、勝てない。一生勝てる気がしない・・・
屋台のオッチャンから串を二本買う。そのオッチャンが俺に言う。
「お客さん、尻に敷かれちまってるね・・・」
その言葉を聞いて、金を渡そうとした手が固まる俺。
「すまねぇ、昔の自分そっくりだったのでな、まいどぉ」
屋台のオッチャンは、定番の営業ワードで誤魔化しやがった。
がっくりと全身から力が抜けちまって、俺はもう一度、石のベンチに幼女を抱えて座り込んだ。
二本目の焼肉の串にかぶりつく幼女をボヘーと見つめて、
俺は幼女の名前を恐る恐る呼んだ。
「サクラ」
それがコイツの名前だ。
その俺の声に振り向いて、サクラのヤツが肉を噛む口を止めて、驚いたように俺を見つめる。
そして、俺の眼をじっと見つめー
ニパーと笑いやがった。
笑い顔は、結構、なかなか、かわゆい。
けど、
おめ、口の中に噛みかけ、飲み込んでない肉が入ったままだっちゅーのぉ。
その口で笑ったらたらダメだって、モザイク・プリーズ。
俺は自分を指差して、
「タロウ、俺はタロウだ」
サクラが一瞬キョトンとしてから、ニパッと笑い。
「ターロウ」
と言って俺の身体をよじ登り、
「ターロウ」
「ターロウ」
とテシテシと、ご機嫌に俺を叩き撫で続ける。
何だか、これからの大変さ、並でない大変さ、とてつもない大変さの予感に、
頭と肩にズンッと重しが乗っかった気がした。
「この子の名前は、サクラ、と言います」
奴隷商のおっちゃんは言った。
ある日、おっちゃんの店に来た、冒険者、ボロボロの格好の女がコイツを売りに来たと。
親が子を売りに来るのは、珍しくはないそうだ。
親が子を奴隷になんぞしてたまるかと、食うに困る貧乏でも売らない親も珍しくないと。
どちらも親で、どちらも子供。
そんな事が普通の、この世界だ。
で、売り側に本当に売る権利が有るのか?
それは魔法アイテムで確かめる事ができる。と、おっちゃん。
さらわれたとかの、たぐいの子供ではないのか?、間違いなくわかるのだと。
この世界は魔法具が妙に便利に存在している。
おっちゃんは話を続けた。
珍しかったのは、その女が金を払った事だった。
売るのに金を払ったのだ。それも結構な金額だったらしい。
「この子が懐いた人のみに売って下さい」
条件を付けて、そのための金を払って、子供を売る。
長い奴隷商の経験でも初めてだったそうだ。
おっちゃんは、悩みもせずに引き受けたと。
面白そうだったからって、
おっちゃんよぅ・・・・
俺、がっちり噛み付かれたぞ、まぁ自分でゃった事だけど。
でも、これ、訳有りすぎるだろぅ・・・
おっちゃん、あんた、最初から、これ狙ってたな。
おっちゃんの満面の笑顔を思い出してしまった、俺だった。
ぐだぐだと、今はどうしょうも無い事を考えていても、しょうもない。
膝の上に戻り、はぐはぐと、まだ焼き串を食い続けている、
サクラを抱き上げて俺は定宿へ歩きだした。
その焼き串、三本目で、俺が食おうとしてたヤツ・・・
お前、腹大丈夫か?
サクラの腹を触ったらパンパンの丸々だった。
うわ・・・食わせすぎた。
でも、全然平気そぅ。
コイツ、すごいヤツかも。
その、すごいヤツを抱きかかえて、俺は定宿の前で動けなくなっていた。
どーしましょ。
いや、まぁ、入って行くしかないんだけれどね。
けれどね・・・
誰か助けて、助けはどこにも無い、となるとー
決意を固めて、覚悟を決めて、行動するしかにゃい。
にゃいのだが、
にゃいですよね、にゃいだろうな、にゃいにゃい、にゃいな。
・・・・・・
転生女神様、
俺は、これから良い子になります。
とてもとても良い子になりますっ。
毎日毎晩、貴女に祈りを捧げますっ、供物も忘れませんっ。
ラミア・ウェイトレスのエリーナさんの、おっぱいやおっぱいをイカガワシイ心で見たりしません。
さらにはっ、フブキさんのPTメンと行動する時に覗きとかー
記念アイテム(パンツorブラ)をゲットしようとしたりしませんっ。
さらにさらには、
いい本とか、いけない本とか、危ない本とかを買ったりしませんっ。
収納のコレクションもナニのためにナニするようなナニな事は、いたさないようにしますっ。
まっとーに、まっ正直に生きる事を誓いまするぅ。
まするうぅーーー・・・・・・
俺は、今、自分のPTメン、女達の4人部屋の床で正座している。
宿の前で、ピクシーのフェイに見つかり、耳を引っ張られて中へ入り。
食堂で本を読んでいたリッチ・ロードのタマに、じとーと見つめられて、愛想笑いを返し。
女達の部屋の扉を開けたら、
ドンっと抜き身の剣、待ってたぞポーズ固定の、動く甲冑レイチェルの出迎えを受けて。
部屋のベッドで手指の骨を磨いている、アーク・スケルトンのアリスさんに無視されてー
絶賛、正座してます。
サクラは、ウェイトレス、ラミアのエリーナさんが面倒見てくれている。
俺以外の他の人で何とかなるのかと思ったのだが、エリーナさんの巨乳おっぱいは偉大だった。
あらぁーと、エリーナさんが、さくらに巨乳おっぱい押し付けて抱きかかえたら、
あっさりと、俺からエリーナさんへ移動しちまったのだった・・・
エリーナさんの巨乳おっぱいに顔を埋めて、ジタバタ、ぐったりしていたのは、うらやましかったぜっ。
野生の幼女をたちまち無力化するなんて、巨乳おっぱいは偉大だ。
俺も無力化して欲しい、でも無力になっては男としてはダメかー
うむうむ。
で、俺。まだまだ、絶賛、正座してます。
一応つーか、とにかく、誤魔化しなく、話をした。
こんな事、こんな時、隠し事をしてもしかたがない。
俺だけの事なら違うのだがー
幼女の、これからもかかっているので、真剣だ。
こう言う場合は、俺は噓は付かないと女達も分かっているので、
ちゃんと聞いてくれた、ありがたい事だ。
さすが、いい女達だ。
でも、俺、まだ正座してます・・・
女達が顔を寄せて、ゴニョゴニョと相談している。
と、部屋の扉がノックされて、さくらを抱いたエリーナさんが入ってきた。
「終わった?もういいかな?」
エリーナさんの腕の中で、サクラがスピスピ寝ている。
その、サクラの寝顔を見てアリスさんが、
「ま、しょうがないわよね」
と苦笑ぎみに言った。
「タロウ殿の所業でござるしなぁ」
レイチェルよぅ、それって・・・
「妹できた・・・ 色々、教える・・・」
タマ、お前、変な事を教えるんじゃないぞぉぉぉ。
「一緒に、お菓子食べるのー^^」
まぁお菓子ならいいか。
冒険者PTと幼女って、ちゃんと考えると問題山積みなんだろうが、
だが、この日から、
俺達「ホウキと塵取り」の冒険者PTに、メンバー、幼女が一人加わったのだった。
幼女の名前は「サクラ」と言う。
ハーレム、どこ行ったんだろぅなぁ。
はぁ・・・
投稿済みのお話も、時々手入れ直しをするかもです。