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銅色奇想記  作者: ヒカリショウ
1章:禍との遭遇
3/9

瞬足で走りきる者

戦闘シーンです!!

さてどうなるか!?  生温かい目で読んでください。

銅刀・天晴を野球のバットのように振るう。禍オオカミが真っ直ぐに突撃してきたのだから刀を振るうだけでいい。

スパーン!!と禍オオカミの前足部分のみだけが斬れた。



「ちっ。本体が斬れなきゃ意味が無え!!」



野球で言うならファウルだろうか。簡単には禍オオカミを祓えないようだ。こんちくしょう。

だけど前足の再生は出来ないはずだ。これで禍オオカミの機動力が大分落ちた。次は外さずにたたっ斬る!!



「待ちやがれオオカミ!!」



禍オオカミと追いかけっこだ。正直、禍オオカミの機動力が落ちていてもスピードが速い。追いつけそうで追いつかないな。それに向こうから仕掛けてくる感じは無い。

どうやらこの銅刀・天晴を警戒しているのかもしれない。それにあの禍オオカミは完全に成長しきっていない。不完全な『ワザワイ』だな。だから負ける気はしない!!



「待ちやがれ!!」


「・・・・・ただの追いかけっこだのう。欠伸が出る」


「なら帰ればいいわぁ」


「御主の言いなりにはならぬ。何か甘味とお茶」


「貴女に出す茶菓子は無いわぁ。狼原ちゃんは甘い物は好き?」


「へっ?ああ、わたしは甘い物は好きです」


「そうなのねぇ。じゃあ甘い物とお茶を出してあげるぅ」


「ワシの分も出せ」



何か向こうで茶菓子の話をしているよ。こっちが大変だっつーのに。



「あの・・・龍姫様と繭華様でしたっけ?」


「そうじゃ」


「そうよぉ。何かしらぁ狼原ちゃん?」


「貴女方は解浄くんの手伝いをしないのですか?」


「「しない」」


「わぁ・・・はっきり言いますね」


「手伝いをする必要は無いからじゃ。あんな小さな『ワザワイ』くらいなら銅璃だけで十分じゃ。ほれ見ろ」


「だらっしゃあああああああああああ!!」



禍オオカミを真っ二つにする。上半身と下半身が綺麗に真っ二つだ。そして上半身部分を細斬れにする。上半身は完全に消滅した。よし!!



「次は下半身だっっとわあ!?」



俺の顔すれすれに禍オオカミの下半身が跳んで来た。下半身だけが動くとはさすが『ワザワイ』だ。だが逃がさない。

逃げた先に向って走る。その先は・・・。



「狼原さんに向って走ってんじゃねーか!!」


「え!?」


「おお」


「まぁまぁ」



禍オオカミの下半身がどろりとスライム状に溶けた。まるでブラックスライムだ。そのまま龍姫様と繭華様を通り過ぎて狼原さんの足にとり憑いた。



「きゃあああああああああああ!?」


「こら龍姫様に繭華様は何で禍オオカミを捕まえないんだ!?」



しかも茶を啜ってやがる。



「だって彼女が『ワザワイ』にとり憑かれたのは自業自得でしょぉ?なら神である私が関与するのはねぇ」


「違いますよ。狼原さんは運が悪かった被害者です!!」


「そうなのぉ?」


「そうです!!」



運悪く『ワザワイ』に出遭ってしまった人は助けないといけない。そんな人が痛い目に遭うのは我慢ならない。

狼原さんは何も悪くない。本当に運悪いだけだ。それで危険な目に遭う事は俺が許さない。



「龍姫様は知っているでしょーが!!」


「蛾が動くと思った」


「私は一応蜥蜴が動くかなぁと思ったわぁ」


「後で説教だ」



本当に説教は後だ。狼原さんの足に取り憑いた禍オオカミをどうにかしなければ。目線を変えると既に狼原さんは気絶している。だが身体を起こして立っている。

確実に禍オオカミに操られているのだろう。両足には黒い毛皮で形成されたブーツが履かれている。まさかブーツに変化するとは思わなかった。そして相手は狼原さんになるとはやりづらい。

ダランと身体を揺らしながら近づいてくる。やべえ・・・な。だが狙うは足に履かれているブーツを斬ればいい!!

カチャリと刀を握り直し、見逃さないように鋭く見る。



「行くぞ禍オオカミ!!狼原さんから離れろ!!」



いっきに近づいてブーツとなった禍オオカミを斬ろうとしたら消えた。刀を振ったら空振りした。



「どこいった!?」


「ちょうど御主の真後ろに移動しとるぞ」


「何だとぉ!?」



背後から嫌な感じがした。頭を下げると何かが頭スレスレを過ぎた。それは狼原さんの足だった。禍オオカミの影響なのか、蹴りのキレがハンパねえ。

とりあえずに距離を取る。はっきり言って速いな。いきなり背後を取られるなんて驚きだ。油断していたわけではないのだが背後に周り込まれれば速いとしか言えない。

ユラリとまた動き出し、いっきに走り抜けてくる。速い。人間の速さではない。瞬きしている間に距離を詰められる。



「うおおっ!?」


「うむ。『瞬足で走りきる者』じゃな」



言っている場合か。だが似合う名だろう。その名前の通り瞬足すぎる速さだ。身のこなしも速くてより速く感じる。

俺の周りを瞬速で走りきっていやがる。俺の中じゃ神速だろと心の中でツッコム。陸上競技会が呆然だろうな。

しかし、そんな事を思っている場合じゃない。このままでは禍オオカミを祓う事ができない。

俺の足じゃ今の禍オオカミに追いつけない。無駄に追いかけても体力の無駄使いだ。体力温存の為に足を止める。ふぅーっと息を整える。

構えを解いて刀の切先を地面に向ける。諦めたわけじゃないぞ。覚悟を決めたんだ。追っても追っても追いつかないなら待つしかない。



「突撃してきたところを迎え撃つ!!」



まだ俺の周りを見えないくらいの速さ走っている。正直どこから突撃してくるか分からないが大体予想できる。



「どうせ前から突撃してこない。突撃してくるのは死角だ!!」



禍オオカミの知能は恐らく動物的に近い。なら危険のある正面から来るのではなく、危険の少ない背後から狙うのが本能だろう。

その予想は正解のようで背後から突撃された。背骨が軋むような痛みが走る・・・すげえ痛てえ!!!!



「だがこの一瞬がチャンスだ!!」



腕を後ろに回して狼原さんの腕を掴む。もう離さん。このまま禍オオカミを斬る!!

このままクルリと回転しながらブーツになっている禍オオカミを横一閃。完全に禍オオカミを斬り裂いたぜ。

狼原さんが地面に倒れる前に抱かかえる。これにて禍オオカミの祓い完了だ。



「これで大丈夫だよ狼原さん。なんとかなったな」













禍オオカミを祓ったその後の話をしよう。簡潔に言えば狼原さんは助かった。だが身体に異常が無いわけではない。と言っても重症を負ったとかでは無い。

異常が身体に残ったのは異能の力と言うのが正しい。『禍を転じて福と為す』ということわざがあるだろう。意味としては禍が自分の身にふりかかった時に上手く利用して、逆に自分の有利になることだったと思う。

禍を祓った時、運は良ければ力を身体に残せるのだ。本人からしてみれば良いか悪いかは分からないけども。狼原さんの身体に残った力は『瞬足』だ。俺が覚悟を決めてぶつかった瞬足だ。

現在は月曜の朝。狼原さんが瞬足で俺の元に走ってきた。うん速いね。陸上選手もビックリだろうな。



「おはよう解浄くん」


「おはよう狼原さん。調子良いね」



本当に調子が良さそうだ。まあ『ワザワイ』と言う悪いもの消えれば調子が良くなるのは当たり前か。キラキラしている感じもするぜ。



「うん。本当に調子が良いかな。まさか変な力が残るとは思わなかったけどね」



エヘヘっと笑顔だ。可愛いぜ!!



「でも大丈夫か?その異能の力で不安になったりとかさ」



足が速いだけと考えれば気が少しは楽になると思うが本人の意思にもよる。



「最初は驚いたけどわたしの身体の中に残ったんなら仕方ないよ。『禍を転じて福と為す』。そのことわざを見習うよ。それに本当に調子が良いの」



前向きすぎる。でも命には別状無いし、笑顔で元気なのなら文句も無いさ。

そのまま学園に登校しよう。トコトコ2人で話しながら歩く。



「解浄くん。わたしは気になった事があれば気が済むようにしてるの」


「知ってる」


「だから気になった事を聞きたいの。話してくれるよね」


「おう構わないぜ」



学園の登校中に全部話せるだろうか。まあゆっくりと話すとしよう。

読んでくれてありがとうございます。

トントン拍子で話が進みましたがどうでしょうか?

感想があればどんどんください。

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