産むの?~柳羽姫編~
私は将来助産院で産むことを決意しました。
大切な命を自分の力で産みたいです。
共感していただけたらぜひ
あなたも助産院で産みませんか?
――自宅―
「ねぇ、輝」
「んー?何?」
「るぅが…ね?」
「羽柴さん?」
「そう…。
助産院で産まないかって…」
「助産院?
どんなところ?」
「自然分娩するところ…。
助産婦さんが2人いてね?
好きな体制で産めるらしいの。
旦那さんの立ち会いもOK。
家みたいな安心感のとこかな」
「いいじゃん。そこで産めば?」
「怖いじゃん…。
医療器具も何も使わないし…。
もしものことがあったら…」
「大丈夫だよ。
僕が支えるから。」
「輝…。
じゃあ助産院に明日いこっか」
「そうだね」
―――藤川助産院―
「こんにちは…。」
「あら、羽瀬川さん!
今日は旦那さんも一緒なのね」
「えっと…
…ここで産んでみようと思って。
詳しいお話を是非聞きたいなって…」
「いいわよ。私が教えてあげます。
隣のお部屋に来てくれるかしら?
先生、松居さんの診察
お願いしまーす」
「了解です!」
「じゃ、行きましょっか!」
「…輝…。
どう?まだ一言も話してないよ?」
「いいところだね。
安心する…。いいところ見つけたね」
「じゃあここに座ってね」
「は…はい」
「まず、基本的な事ね。
自然分娩するのは知ってるわね?
医療器具も使わないし
薬だって何一つ使わないわ」
「そ、そんなんで
生まれてくるんですか!?」
「ひ…輝…///」
「ええ…。
そういうつくりになってるの。
お母さんと赤ちゃんは強いんだから!」
「へぇ…。」
「もちろん食事管理も必要ね。
でも食べ過ぎもダメよ。
子宮が脂肪でぎゅうぎゅうになって
赤ちゃんが苦しいよーってなるんです。」
「運動も大切って事ですね」
「ハードな運動もダメですよ。
少し散歩でも始めてみませんか?
歩くだけでいいんです。」
「私…体力ないんですけど…」
「大丈夫!
運動してけば
体力がつくんですもの」
「そうなんだ…」
ガラガラ…
「こんにちはー!」
「あら、羽柴さんがきたみたいね
体験談を聞いてみたらどう?」
「そうします。」
「やっほー奈桜!
あ、輝さん!こんにちは」
「こんにちは。
家内がいつもお世話様です」
「ねえ。るぅ。
助産院で産んだ時の
体験談教えてほしいな」
「うん!いいよ。
私産む気なかったんだよ?」
――――8年前―
「ねえお母さん…
最近体調がおかしいの…」
「柳羽姫?どうかしたの?」
「吐き気とかするし…」
「病院行く?」
「うん…そうする」
――病院にて―
「妊娠してますよ。」
「えぇっ!?」
「…柳羽姫!?
相手は誰?お母さん聞いてないわよ?」
「…バイトの先輩……。
大学2年生の羽柴 尚…。」
「彼氏なの?」
「…違う。」
「バカ!
何で言わないの!
お父さんと話をします!」
「…」
――自宅―
「柳羽姫。
妊娠したとはどういうことだ。」
「…妊娠しただけよ」
「だけってなんだ!
お前の中に大切な命が
宿っているんだぞ!」
「…知ってるわよそんなこと」
「産む気はあるのか」
「…あるわけないじゃん」
「じゃあおろすのか?」
「それしか方法ないじゃん」
そうすれば丸く収まる…。
「柳羽姫!」
「お母さん?」
「あんた
中絶したら
どうなるかわかってるの!?
赤ちゃんがもうできなくなるかも
しれないのよ!
まず羽柴君と話をするわ。
明日家に呼びなさい」
「…はい。」
――翌朝―
ピンポーン
「羽柴 尚です。」
「あら、羽柴君ね。いらっしゃい
お父さんが話があるそうなの
柳羽姫の事は聞いてるかしら」
「…いいえ、まだ」
「いいわ、上がってちょうだい」
「すみません」
――お父さんの部屋――
「羽柴尚です。
ご用件はなんでしょうか」
「柳羽姫が妊娠したそうだ。
相手は羽柴君だそうなんだが。」
「え!?妊娠!?」
「ああ、娘は
中絶すると言っているが
羽柴君はどうおもう」
「…もちろん責任は取ります。
僕、柳羽姫と結婚します」
「!?」
「ちょっと尚…!」
「まだ柳羽姫は
学生だぞ!若くして
渡せるわけないだろう!」
「本気です。
柳羽姫さんをずっと幸せにします」
尚…。バカじゃないの…。
こんなに想ってくれてたの?
…このお腹にいるのは
愛する人との子供。
決してまた出来るものじゃない。
…でも…怖い…。
「…尚……。
お父さん。結婚を許して。」
「ばか!
柳羽姫までどうした!」
「尚とずっとやっていける気がするの。
おろすなんて言わない!
だから…この子を産ませて!」
「柳羽姫!」
「大切にしたいの…。
尚を愛してるの。
結婚相手までお父さんが
決めちゃうの!?」
「…なっ////」
「お父さん。
柳羽姫の結婚を許してあげて」
「母さん!?」
「本気なのよね?
最後まで絶対育てる?」
こくっこくっ!
深くうなずいた。
「…わかった。
籍を入れてもよし。」
「…お父さん!大好き!」
―――…―-