表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Crazy lovers  作者: ミザ
1/2

ストーカーの日常

ほぼ、初投稿です。

誤字脱字、アドバイス等ありましたら、訂正お願いします。


昼休み、俺は友人達と話しながらその人を目で追っていた。今日の彼女は静かに本を読んでいる。今日も彼女は美しい…

気の知れた友人に言わせれば、俺はおかしいらしい。まぁ、その通りだろう。俺は彼女のストーカーなのだから。

だが、悪いのは彼女だ。

凛としたクールビューティーな顔立ち。その顔には意外な事にイタズラ好きそうな微笑が宿っている。

初めてその笑顔を見た時、俺は一瞬で魅了された。

気が付けば、目で追っていた。それほどまでに、彼女は美しい。

だんだん、目で追うだけでは満足出来なくなり、家まで付いて行ったりもしてしまった。いろんな事を知った。

今では、住所もメルアドも電話番号も好きな食べ物も嫌いな食べ物も好きな映画も愛読書も微笑の美しさも無邪気に笑う目の輝きも時折見せる物憂げな表情の儚さも真面目に授業を受けている時の凛々しさも起床時間も就寝時間も、全部全部全部知っている。

そんな彼女は最近面白いものを見つけたようで、機嫌の良さそうな日が続いている。

「ーい、おーい、聞いてるのかよ~。まぁ、お前の事だからな。どうせまた、寺島さんの事を考えてたんだろ?」

しまった、いつの間にか考え込んでしまっていたようだ。まぁ当たり前だ、流石我が友人と言った所か…

「ああ、その通りだ。いつもスマンな、ワザとでは無いのだが…茜さんの事を考えているとな。」

そう、彼女の名前は寺島 茜。その名前すらも愛おしい。

ちなみに、俺は金井 拓だ。どうでもいいな、大事なのは彼女の事だ。

「おっ…お前の大事な寺島さん、動くみたいだぞ?」

光の速さより速く首をそちらに向けると彼女はいつものイタズラ好きな笑顔をその顔に貼り付けていた。今度はどんな事をしてくれるのだろう。しかし、その笑顔は既にイタズラの終了後の実に楽しげな笑みだった。

もう何かしたのか?

彼女はそのまま立ち上がると廊下へと行く。

「悪いな、ちょっと行ってくる。」

俺は友人に一声かけると、彼女の後を追う。

「おーう、頑張れよ~。」

理解ある友人で助かる。

今日は図書室に向かうようだ。


***********************


「…………」

本を読む真剣な眼差し。

その目で俺を見て欲しい。そんな事を思っていると。この念が届いてしまったのだろうか。

「…………!」

彼女がハッとしたように周りを見渡す。

しかし、既に俺は彼女の死角に移動している。

危ない危ない。俺で無ければ見つかっていたな。

彼女は感じた視線を気のせいにするように首を振り、いつものイタズラ好きな笑顔になる。

???

何故、そんなに面白そうな顔をしているのだ?まぁいい、その笑顔を見るだけで俺は幸せなのだから。彼女は視線を下に向け、再び本を読み始める。嗚呼、なんと知的なのだろう。

暫くすると、彼女を眺める上で看過出来ない事が起こった。


「やあ、寺島さん。ご一緒してもいいかな?」


いけすかないイケメン野郎が、麗しき彼女に話しかけたではないか!

「…いいわよ。」

彼女はその申し出を許可してしまう。

唯一の救いは彼女が嫌々ながらの承諾だった事だ。最近、あのイケメンが彼女につきまとっている。そのため、いい印象は持っていないのだろう。

もし、彼女が笑顔だったのなら俺は嫉妬に狂ってどちらかを殺してしまっていただろう。

イケメンが話しかけ、彼女が嫌々応える。

そんな時間が2分程経ち、彼女は立ち上がる。

「それでは、今日はこのくらいで失礼するわ。また、会いましょう。」

イケメンの方は不服そうだが、ストーカーと思われるのが嫌なのだろう。諦めて、別れの言葉を口にする。

「ええ、それでは。」

さて、ストーカーな俺は彼女を追いかけるとするか。

彼女はイライラしているのか、移動速度がいつもより速い。彼女が次に向かったのは、人の居ない屋上だった。

マズイな…人ごみがないから、隠れられない。

しょうがないので、俺はドアに張り付き、音を探る。

すると、壁越しに破壊音が聞こえてきた。

「……なの⁈なんなのあの男⁉いつもいつも、私につきまとって!」

ガンガンドガッ

壁を蹴っているのだろうか。案外物凄い音がしている。また、知らなかった一面が見られた。しかし、幸せな気分と同時に嫌な気分にもなってきた。

(あの男…茜さんを煩わせやがって…)

そこへ、追い打ちをかけるように彼女の声。

「あー、もう。誰かあの男黙らせてくれないかしら?痛い目に会えばいいのに。」

彼女の怒りの声を聞いた時、俺の中で何かが吹っ切れた。

しかし、殺人すると、彼女を追いかけれなくなる。それは嫌だ。だったらする事は一つだ。


***********************


夜、彼女のストーキングをサボってまで、校門周辺の花壇に隠れているのは、勿論イケメンをボコボコにするためである。

ザ☆闇討ち!

卑怯だと思っても口にしないでくれ。やったのが俺だとバレてもダメなのだから。


「~~~〜〜〜♪」


おっ、奴が出てきた。呑気に鼻歌なんてしている。

…見た目に似合わず、下手くそだ。

俺は奴を持ち前のストーキング技術で、素早く忍び寄る。

そして、防犯カメラも、明かりもない道へ入った瞬間______


俺は一気に近づき、その首筋にスタンガンを押し付け、起動する。

「ぐぁ………」

ドサッ

崩れ落ちるイケメン。ミッション完了。彼女の事を想っていれば楽勝だね。

俺はその後、救急車の必要がない程度に傷つけた。そして、そいつの右手に紙を持たせる。そこに書かれた言葉は勿論_____


寺島 茜に近付くな。



***********************


具体的な事を言おう。大成功だった。

次の日からは奴が茜さんに近付く事はなかった。むしろ、彼女を見た瞬間に逃げて行った。

軟弱者め、俺だったらまだ諦めていない。

あの男がいなくなったせいか、今日も彼女は機嫌が良さそうだった。

いやぁ怒った彼女もいいけど、やっぱり笑顔が一番だ。

俺は今日も彼女をストーキングする。




しかし、彼は知らない。


彼女の笑みは清々しい笑いではなく、いつものイタズラ好きな笑顔だったことを。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ