主人公VS鏡の主人公
「あ、副隊長!」
「な、なんだ?こんな夜中に」
「ああ、すみません。提出の書類を忘れていたので」
「そう言えば君に頼んでいたな・・・うん、ありがとう」
「いえ、これぐらいは・・・」
俺は書類を手渡して、副隊長が曲がり角を曲がるまで見送る
さて・・・持ち場に戻るか
さすがに隊長をだけあの場所に長時間いさせるわけにもいかないしな
俺はそう思って後ろに振り向いた
「やあ」
「・・・」
あれ?
俺は後ろに振り向いたよな
なのになんで俺の姿が鏡に映っている?
いや、違う
そこではない
なぜ・・・鏡があるかだ!!
「緊急事態発生!!敵が侵入している!タイプは魔法使いの幻術だ!!」
俺は無線機を手に取って言い放つ
鏡の中の俺はにこやかに笑っている
一体いつだ?
いつ、幻術にかけられた?
今の無線だって聞こえているかどうかあやしいところだ
このままだと大統領が危ない!!
俺はすぐに腰に付けていた武器、ワルサーPPKを撃った
普通の鏡なら壊れる
だが、この幻術はどうなるかわからない
俺が以外の隊員ならなんなく抜け出せると思う
でも、俺は違う
俺だけが・・・魔法を使えない
うかつだった
完全に俺の弱点をつかれた
「はははっはは!!」
今度は声を荒げながら笑い始めた
ムカつくな
俺の心でも読んでいるのか?
いや、そんな魔法は聞いたことがない
ならこれはただの挑発?
「考えていても仕方ないな。行動あるのみだ!!」
俺は蹴りをいれた
銃弾は全く意味がなかったが、もしかしたらと思って蹴ったが・・・
「はははっはは!!」
同じように笑うだけだ
もう、いっそのこと無視して逃げるか?
俺は一歩後ろへ下がった
その瞬間―――鏡の中から銃弾が放たれた
俺は間一髪頭を横に反らして頬をかすめる程度の怪我で終わった
だが、鏡の中から銃弾が出てきた
そして、頬にかすめられた銃弾の跡
痛みは本物だ
「なるほどな、逃げると攻撃して攻撃すると意味がない」
完全に足止めの魔法とだけはわかった
なら・・・対処は簡単だ
俺は一気に後ろ向きで走った
鏡の中の俺は銃を構えて撃つ
なんとかして避け、俺は曲がり角を曲がった
そして、視界が現実へと戻るための痛みが走った
「ア――ガッ!!」
全身が一瞬だけしびれるような痛みが走る
これが現実へと戻ってきた証明になる
さて―――状況はどうなっている?
俺は無線機を取り出してイヤホンを耳に当てた
そこから聞こえたのは
『こちら、4B殲滅完了しました』
『2A、3Eも完了』
敵が攻めこめこんでいることだけわかる内容だ
こっちは仮にもアメリカの特殊部隊だ
相手が悪い過ぎる
・・・待てよ?
さっきまで幻術にかかっていた俺が言うのもおかしいが本当にこれは攻め込まれているのか?
最初の無線機からの言葉は殲滅完了
そこまで大規模な敵がいるのか?
確かに、この言葉だけでは敵の数はわからない
でも、無線機が正しいのなら攻めてきているのは最低でも10人近くはいる
その人数で、ターゲット―――大統領を狙うためには・・・
「一番厄介なのを足止めするよな?」
なら、隊長と副隊長がやばい
あの二人の実力は認めている
でも、今はどちらともが単独で行動している
俺は無線機からの情報に耳をかたむけたが隊長と副隊長の情報が一向に入ってこない
何かあった
俺はすぐさま隊長の元へ向かった
非常階段だ
あの場所は隊長の魔法が一番効果を発揮する場所でもあるが―――
複数を相手するには向いていない
俺はそんなことを考えつつ非常階段へと向かったのだが・・・
「いない?」
そこには誰の姿もなかった
どこかに行った?
考えろ
隊長が行くとしたら―――