主人公VS???と七菜子
しかし、すぐに時間が過ぎ―――放課後になった
「よし、行くわよ」
「そうですね」
「ふわわ! ふわわ!!」
「行くか」
俺はカバンをとり、買い物に行くことになった
結局何も思いつかなかった
どうすればいいんだ
いや、やれることもないか
こういう時、幻術魔法を使えればごまかせるのだがな
使えない物を欲しても意味ないな
仕方ないな、強引な方法をとるか
「ちょいと失礼」
「え? うわぁぁ!!」
俺は七菜子ちゃんをお姫様抱っこをした
そして・・・
「じゃ、また明日な」
「ちょっと! 蛇行!!」
「待ってください!」
俺はそんな言葉を聞きながらも逃げるように窓から飛び出て・・・壁を登り屋上に出た
ここなら、聞かれる心配はないだろう
「で? どこで知った? 俺の存在を」
「な、なななななんのことです!?」
「とぼけるな。フランス語で書いてあっただろ」
「フランス語?」
「ああ、私を助けてくださいってお前が書いたんだろ? 違うのか?」
「はい、違います」
きょとんとした顔で俺を見ている
・・・え?
違う?
「なら? あの私と付き合っては?」
「あれは写真の後ろに書いてあった姉の言葉を解読してほしかっただけなのですが、終わっちゃいましたね」
「なら、あれを書いたのは・・・」
「いえ、あれは私が書いたのですが、あの文字は姉の遺言なのですよ」
「遺言? なら、七菜子ちゃんのお姉ちゃんは」
「はい、昨日・・他界しました」
辛いな
昨日、他界ならそれほど時間は立ってない
私を助けてくださいも死に際だったからか
いや、違うな
死ぬなら別の言葉を残すはずだ
しかもなぜわざわざフランス語にしたんだ?
日本ではあまり使われない言葉だ
多分、あの学校で読めるのはおれだ・・け
まさか!!
「お姉ちゃんはもしかしてアメリカに言ったことがある!?」
「は、はははい。確か去年に一度だけ言ったことがあります」
「正確な日時は・・・いや、そうじゃなくて」
俺は頭を抱えながら考える
アメリカに言っただけで俺のことがわかるのか?
いや、わからないはずだ
他の連絡網・・・隊員?
違う! 隊長だ!!
あの人なら俺の連絡先から何まで知っている
七菜子ちゃんのお姉ちゃんは隊長とかかわりがあった?
そう考えるのが妥当だ
いやでも、他にも可能性が残る
俺が守った奴だ
いるはずだ
そんなやつが・・・
俺は腕を組んで考えようとした時だった
まわりが不自然に静かになったことに気がついたのは・・・
「ちょっとごめんな!!」
「ふわわ!? ふわわ!!」
俺は七菜子ちゃんの足に手を伸ばして、持ち上げる
お姫様抱っこだ
抱えたままに、俺は颯爽と走る
しかし、ここで問題が発生した
掴んでいる腕の部分が赤くぶつぶつが出てきた
忘れてた!!!
女性アレルギーだってこと!!
だんだん、指先の神経がなくなってきた
意識を失うほどじゃないがこのままじゃまずい!!
俺は奥条の扉から出て、近くの教室に潜り込んだ
「ごめんな。急に・・・」
「い、いいいいいえ、うれしかったですから・・・」
「そう言ってくれると助かる」
さて、状況整理とするか
まずは俺の腕だ
動きが鈍いな
発作が起きている証拠だ
次にさっきの不自然な静けさだ
小鳥一匹いなかった
あの場所でといつもはバード部が部活動をしているから部員がいなくても勝手に来るはずだ
なのにいなかった
なら、小鳥たちは危険を感じたんだ
何かの危険を・・・
あの手紙と関係する可能性がある
探る時間が欲しいところなんだけどな
「そんな暇ないか」
「へっ? 何がですか?」
「ん、こっちの話」
昨日の内に殺したのなら今日中に七菜子ちゃんを殺すだろう
さすがにクラスメイトが死ぬのは勘弁だからな
なんとかしてやるか
あの手紙解決にもつながるし
七菜子ちゃんのお姉ちゃんのこともわかるはずだ
俺はゆっくりと腰に付けているワルサーPPKを握る
もちろん、本物だ
重さが違う
次にいたる所に備え付けた弾丸を確認する
十分ある
相手の数は6,7人と考えていいだろう
それか腕の良いやつが1人だな
前者の方ならめんどくさいが何とかなる
でも、後者の場合は厄介だ
一人なら足取りを追うのが難しい
しかもそれがスナイパーならまず・・・
ここにきて自分の愚かさを理解した
相手が1人のスナイパーなら―――移動も早いし決断も早い
対して俺は狭い教室の中でひっそりと隠れている
ドアを開けられるだけで見つかるほどのお手軽さだ
終わる
簡単に七菜子ちゃんと俺は殺される
俺は急いでドアを開ける
その瞬間、俺の頬に銃弾がかすった
「いつっ・・・」
ドアを閉めて頬を撫でる
その手のひらを確認すると血が付いていた
閉じ込められた
俺達が出ようとするとすぐに撃つ準備ができている
対する俺はなにも準備ができていない
ましてや、相手はスナイパーだ
こっちもスナイパーでないと勝つことはできないし、今の俺はまとも銃弾をかわすことができない
どうすればいい?
俺の後ろで七菜子ちゃんが俺の怪我の心配をしている
「くそっ・・・考えがまとまらない」
俺は苦しげに地面をたたいた
万事休すかもしれない
せめて七菜子ちゃんだけは逃がさないと・・・
奏芽が悲しむ
それだけはダメだ
「あの・・・」
「どうした?」
軽く笑う
ここで不安がらせるわけにはいかない
よゆうがあるように見せないないと・・・
そこで思考が一時中断される
・・・あれ?
どこかでこういうことがあったのか
俺は人差し指をなめた
そして、七菜子ちゃんから銃口を向けられる
「えっ?」
「す、すすすすすみません・・・死んでください」
発砲音が教室に鳴り響いた
俺は動けなかった
否・・・動く必要がなかった
俺の耳元をかすめて銃弾は通り過ぎる
外した?
この距離で?
俺はなにかのフェイクかと疑ったがすぐに違うことに気がつく
七菜子ちゃんの目元に涙が溜まっているがわかった
俺は無駄ない動作で七菜子ちゃんの手にあったハンドガンを蹴とばした
「きゃっ!」
七菜子ちゃんの手が軽く赤く染まった
もしかして、銃を持つのも初めてなのか?
・・・無謀すぎる
俺はワルサーPPKを七菜子ちゃんに向ける
そして、引き金を―――