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過去の出来事


「よっ! おはよう」

「あ、おはようございます」


五月に入ってすぐの雨の日

俺は登校中の夏ちゃんと出会った

後ろから見た、金髪のツインテールが特徴だったのですぐわかった


「今日は何の用です?」

「いや、これと言ってよ用はないが―――用がないと話しかけたら駄目か?」

「い、いえ。そんなことはありません」


話す機会なんて少ないですしっと付け加えて下を向いた

? いや、結構あるだろ

同じ部活の部員なんだから

そう、思って空を見上げた

相変わらず、雨は降り注いでいる


「そういや、晴れている時に雨が降ることなんて言ったかなぁ?」

「え~と、それは狐の嫁入りですね」

「え? 狐の嫁入りってそう言う時に使った?」

「はい? 確かそうですけど・・・」

「おかしいな。俺は虹が出た時って聞いたけど」

「? へえ、そんな使い方もあるんですか」

「いや、昔、一回だけ聞いただけなんだけどな」

「・・・どうして覚えているんですか?」

「さあ? 父さんたちがいなくなる前に聞いたことだから」

「あ! すみません」

「いや、いいよ。死んでいる訳でもないんだし」


そう、俺の両親は―――死んではいない

ただ、行方不明と言うだけだ

一応、俺の記憶では7歳まではいた

その時に奏芽とも出会った

そして、三日ぐらいしたらおばあちゃんがやってきて俺達を連れておばあちゃんの家に行った

そこからかな・・・俺の記憶が確かになっているの

ついでに、父さんが俺の肉親だ

奏芽の母さんの方はおばあちゃんからよく聞かされたけど、父さんのことは一切知らない

なにしろ、俺しか父さんのことを知らなかった

今は、義母さんが連れ添っているから知っているかも知れないけど・・・

あの人は自分のことをあまりしゃべらなかったような気がする

記憶には残っていないけど―――思い出としたら残っている

そう言えば、九頭竜家は一度しか集まったことがないな

キャンプ場で、父さんと俺。義母さんと奏芽

そこから、一緒の車に乗って一緒に帰った

その後、父さんたちはいなくなった


「あの~?」

「あ、ごめん。ちょっと考え事してた」

「そ、そうですか。私としゃべるのつまらないかと思っていました」

「いやいや、そんなことないって夏ちゃんとしゃべるの結構楽しいと俺は思ってるよ」

「あ、ありがとうございます」

「ん? もうそろそろ学校だな」

「そう言えば、今日ってテストじゃありませんでした?」

「え? 中間テストまではあと一週間あったはずだけど」

「違います。英語の小テストです」


ああ、そうか。と俺はあいづちをうった

俺は勉強ができる―――ていうか、ものすごくできるので中間テストも勉強しないでいい

ましてや、英語なんて日常会話から軍特有の独自英語までも俺は使うことができる

だから、気にしなかったが、夏ちゃんは・・・


「どうしよう。全くしていません」

「そうなんだ」

「ああ、またお母さんに怒られる」

「はは、そうだ。そんなに心配ならちょっとやってみる?」

「やってみるとは?」

「俺が問題出すから答えてみて」

「わ、わかりました。よろしくお願いします」


頬を赤色に染めながら、夏ちゃんはうなずく

う~ん、何にしようかな

普通に学校で習うやつにするか

ちょっとした豆知識みたいなのにするか

・・・そうだ、いいのがあった


「じゃあ、言うよ」

「はい!」

「rosy cheeks。日本後にしてみて?」

「はい。え~と・・・バラの鉄仮面?」

「・・・ああ、そうか。Cheeksは、そう感じの意味もあったな」

「不正解ですか?」

「うん。完全に間違い」

「ええ~? じゃあ答えはなんですか?」

「答えは・・・」


俺はポケットから手鏡を取り出して、夏ちゃんを映す

そして、言う


「りんごのようなほお。これが正解」

「え、あ、えあ、ええ!!!」


俺は軽くからかって、学校に着いた

その時も、頬を真っ赤に染めていたけど・・・

そして、テストが始まって―――

まさかの、問題にrosy cheeksを日本語に訳しなさいと言う問題が出た

偶然ってあるんですね

数十分後テストが終わった

俺は立ち上がろうとしたが、やめておいた

さすがに、学校では関わらないでって奏芽に言われているから

ちなみに夏ちゃんは普通に行っている

女子っていいよな

こんな時だけ思う

やることがないから寝ようかと思った時、不意に視界に誰かが映った

誰だろうっと思いながら見上げると、女子生徒だ

え~と、確か名前は・・・



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