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6)前世と過去と夢と

エメラルドグリーンの長い髪の毛が風に舞う、髪の毛の主は褐色の肌をもつうら若い少女。

緩やかな川の中、体を洗うために生まれた姿のまま中にはいっていった。

まるで、森の精霊のような少女を獣も魔獣も遠くから見つめるだけだった。

いや、近づけば少女に焼き殺されることを理解していたからだ。

その中、少女に近づく人影がいた。

オレンジ色をした髪の毛をもつ少年だった。その姿は薄汚れぼろぼろだった。

少年は少女の姿に気づくと、顔を赤らめ急いで後ろを向いた


少女はその姿に、クスクスと笑い。体を洗い終わると服を着て少年の前まで歩いていった。

「迷子?」

「ぇ?!あ、うん」

「ここは、暗森とよばれる禁森よ、普通の人が入るとあっという間に飲まれてしまうわ」

「そうなの?!ラミクヤ森のなかにいたはずなんだ」

「ラミクヤ森ってことは隣国の人ね」

「国境越えちゃったのか~」

「すごい!森をこえてくるなんて、あなた魔力の才能があるわ!」

少女は目をキラキラさせて少年をみた。

「てか、君はこの森にいるけど大丈夫なの?」

「私?私は平気よ、この森の狩人だから」

「そうなんだ、女の子なのにすごいね。」

「ふふふ、じゃー国境まで送ってあげるわ。」

こっちよ、と少女が少年の手をつかんで歩き出した。

少年は顔を赤らめながら、ありがとうとつぶやいた。


それは、懐かしい誰かの記憶



奈美は意識が浮上した

そして、周りが騒がしいことに気づいた。


小屋の外に、人がいるようだった、怒号が聞こえ家には矢が放たれているのか、ドスドスと突き刺さる音が聞こえていた。

奈美は布団から起き上がり、窓の隙間から外をうかがった。

小屋を囲むように松明を持った甲冑をきた人達が取り囲んでいたのだ。


「なにこれ・・・」

そうつぶやいて奈美は、武器を持ち床下の納戸に隠れた。

扉は今にも蹴破られそうなほど叩かれていたのだ。魔物には結果石がきくが人には何の役にも立たない。

奈美が納戸に隠れてしばらくしてから、ドンという音と共に重いものが床に落ちた音がした、扉がやぶられたのだ。

これから流れ込んでくるであろう足音に耳を澄ましていたが、一向に聞こえてこなかった。と思っていたら室内に何かを投げいる音が響いた。


なに?そう思ったときには奈美の意識は途切れ、手に持っていた剣はむなしく納戸の壁をたたいた。




■■■■■■





目が覚めると、冷たい石の上に寝かされていた。

違う、正確には床だった。

周りを見ると大きな部屋分くらいあるであろう広さに頑丈な鉄格子が鳥かごのように囲っていて、その向こうに石造りの壁が見えた。

「ここ、どこ?」

そういって起き上がった奈美は違和感を覚え、自分の体を見ると首から手に鎖が伸びていた、手首には頑丈な鉄の腕輪に何やら文字がほられている。

そして足にも鎖がついていた。それは部屋の中央の柱部分と繋がっていた。


「目が覚めたか、ゴディバ」


柱を見ていたら、後ろから声をかけられ奈美は振り返って声の主を見つけた。

声の主は、豪華な衣装でまるで王様のような格好した人物だった。その側を騎士のような服を着た人達が5、6人囲んでいた。

「ゴディバ?」

それは前世の自分の名前。でも雰囲気からしてここでヘタなことは言わないほうが良さそうだと思い奈美は黙った。

「お前の名だ、いやこういったほうがいいか血に狂った魔獣よ」

「は?血に狂った魔獣って私人間なんですけど?たぶん」

思わず声を出してしまった。

男は少し目を見開いてから、侮蔑するようにいった。

「はっ!!お前はすべて忘れたのか!俺はお前の顔も地獄も忘れたことなどないというのに」

そういって、男はマントを翻して去っていた。

側にいた騎士のような男達も憎しみを込めた目で奈美を睨んでいった。


奈美は柱に寄りかかり、体を見た。

いつの間にか体は、女から男に変化していた。

服もいつの間にか男物に変わっていた、いつ着替えたのか覚えていない。でも小屋で起きたときにはすでに男物の服だったような気がした。


おばあさんは帰ってきていない。

帰ってきてたら起してくれるはずだ。

奈美の頭をなでながら。


「てか、私森からでれないんじゃなかったのか?」

そんな疑問を思いながら天井を見上げると、狼の魔獣が天窓から覗いていた。


そして悟った。


”また”あいつに嵌められた。


また?ということは前にも・・・?前世で?


思い出せない憎悪で狼を睨んだ、すると狼は人型に変化して天窓から何かを落としていった。

それは、黒い果実。赤黒い林檎


「それを食べれば思い出すぞ」

そう一言いって狼は去っていった。


奈美は果実を壁に向かって投げつけた。

果実はつぶれ壁に黒いしみを残した。



黒い果実は毒の果実。


食べたら最後死よりも恐怖を味わう




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