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22)秘密は暗森の中

ぎりりと、魔獣ディルボ奥歯をかみ締めた。

「目障りなんだよ!!『燃えろ!』」


最初に攻撃を仕掛けたのディルボ


ラルクがたっていた場所に火柱がたち、暗い森の中を照らした。

「危ねーな」

ヒラリとかわしたラルクは剣の風圧で火柱を消し去った。


「邪魔ばかりしやがって!!」

ディルボは風の刃をラルクに投げつけた。

「邪魔なのはお前だ、ディルボ」

風の刃を風圧で相殺させながら、ラルクはディルボに近づき、剣を振るう。


キンという音とともにディルボは剣を防いだ。

すでに、刃こぼれをおこしているディルの剣ではそう長く持たないことが見て取れた。


「くっ!!なんでお前が俺の名を知ってる!!」

吼えながら、ラルクの剣をなぎ払いそのまま、風の刃を向けた。

ラルクはヒラリとかわし、背後の木々が轟音と共に倒れていった。

着地しながら、今度はラルクが炎を放った。

「?!」

ディルボはなんとか自分の周りにだけ防御を行ったが、周りは炎で包まれていた。

「お前の真名(・・を見つけるのに苦労したよ、この暗森にすむ魔獣にすら教えていなかったんだろ」


そうだ、俺の名は森に住むやつらもしらない、知ってるのは・・・


「まさか・・・ゴディバの記憶みたのか」

ディルボの周りの炎は木々をも巻き込みはじめていた。


「その、まさかだよ。前世の記憶を見るのは苦労したぜ」

そういいながら、ラルクは剣を肩にかけて笑いながら言った。


 ゴディバの記憶を・・・前世の記憶をほぼ持っていない、奈美からゴディバの魂の記憶を読み取っただと・・・?!

 そんなことをしたら精神に異常をきたす。


迫り来る炎を風で跳ね除けながら、ディルボは間合いを取った。

「はっ・・無理やり魂の記憶をこじ開けようものなら、精神が壊れるのを知っててやったのか・・・」

「無理やりこじ開けるからだろ?知っているか?快楽の果て、意識を飛ばしたときは魂は無防備になるんだよ」


「ふははははは!それでも完全に精神が傷つかないとは限らない!あいつは狂うよ!!だって黒い果実は狂気を見せる!!ゴディバが見た狂気をまた見たからね!!!!」


「狂わせやしない、あいつは、ゴディバではなくナミとして生きている」


「はっ、お前さえいなくなれば、邪魔する奴はいなくなる」

「ふっ、お前さえいなくなればナミは完全に俺のものになる」

「ふざけるな!俺のものだ!」

「俺のだよ」

ディルボはラルクの言葉に怒り狂い、むちゃくちゃに風の刃を繰り出した。

「ふざけるな!ふざけるな!ふざけるな!ゴディバはこの暗森の聖人!!この森に縛られているんだ!!お前がいくら契約で縛ろうとも無駄なんだよ!!かならず・・」

「だから、お前が必要なんだよ。」

突如として氷の刃がディルボに降りかかり、足と地面を縫いつけた。

「うぁぁっ?!」

「ここでお前はゴディバとしてここで死んでもらう、この暗森と一緒にな。」

「な・・に・・・いって・・やがる・・・」

「知っているか?聖人を穢したやつには呪いがかかる」

目を見開いてディルボはラルクを凝視した。

「穢されてしまえば役割を果たせないからな、穢したやつがその罪を被る。お前ずっと腹がすいてるだろ?」

「はっ・・・」

「気が狂いそうなほどの餓えじゃないのか?」

ラルクは近づき、ディルボの足にむかって剣を振り下ろした。

「っ!!!!!!」

ディルボの首を捕まえ、ラルクは森の奥へと歩き始めた。

炎を繰り出し周りの木々を焼き尽くしながら。


「お前、 先に唾をつけたのは俺 だとか言ってたよな?悪いが俺の方が先に出会ってたんだよ

だから、お前ゴディバに果実を食わしたんだろ?俺と会わせたくなくて・・」

「?!どこまで記憶をみたんだ!」


にやりと笑い

「・・・すべてさ」

ラルクの足取りはしっかりと目的をもって歩き始めた。

「だから俺は、あいつの願いを叶えてやるだけだ、縛っているこの森を・・・」

ディルボはなんとかその腕から、抜け出そうとするが、ラルクの歩む先に気づいた。

「・・・そっちは・・・!!やめろっ!!やめろ!!」

ディルボは暴れ踏みとどまろうとするが、思うように使えなくなってしまった足は役にたたず、ラルクに引きずられていった。


「暗森は魔の森、黒い果実がなる、魔が生まれる場所。人が住めない森。」


「そんなことをしてタダですむと思っているのか?!!ここは禁森なんだぞ!聖森の森と対をなす!!!」


「へ~物知りじゃないか」


「何言ってやがる!!正気なのか?!」


「はははははは!!さっきまで散々ナミを狂わせようとしていた奴が言う言葉か」


ずるずると引きずりながら、森を進んでいくと黒い蔦が生い茂った壁に着いた。

炎はその一歩手前で、まるで壁があるかのようにそれ以上進まなかった。

ラルクは、人が入れるくらいの隙間をみつけ、ディルボを引きづったまま蔦の中にはいっていった。

「この森を壊してみろ!あっという間に魔力の!世界の魔力のバランスが崩れるぞ!」

暗い蔦の中を通っていくと、広い空間にでた、薄緑色淡く輝く空間には黒い木々がなっており、甘いお酒のような匂いが充満していた。

足元は泥水のようにビチャビチャとしていた。

ずるずると引きずられているディルボの服は赤黒いしみが広がっていた。

「ここにこの森の核がある、聖人を縛る契約も一緒にな」

奥に進むと、低い丘の上に白い魔獣がいた。


「ずいぶんと派手に暴れてくれたな」

「悪いな、こっちも余裕がなくてな」

「シリウス!!助けてくれ!!」

「・・・裏切り者が、ワシの名を軽々しく呼ぶな!!」

「なっ・・・!」

「狼、お前を俺達魔獣は許さない。俺達の聖人を穢し、あまつさえ人間の手に渡るようにしたのはお前自身なのだからな」

「違う!俺は!」

「勘違いするな。聖人はお前一人のものじゃない。この森すべてのものだ」

シリウスはそういって、丘から降り地面にはいつくばっていたディルボを踏みつけた。

シリウスがたっていた場所には黒い大理石のような宝石が埋め込まれていた。その中には心臓が一つ


「・・・これが核」

「そう、元はゴディバの心臓。今は」

「やめろおおおおおおおおおお!!!!!」

ラルクは魔力を込めた剣で宝石ごと心臓を貫いた。


ディルボは血を吐き出した。

「狼の心臓」

シリウスはディルボから足をどけた。


バキバキバキという轟音と共に蔦が崩れ落ちてきた。

「さてワシらは、しばらくばあさんが作った魔の地下に潜るよ」

「悪いな」

「ふん。口ほどに思ってもいないことを・・・」

「まぁな、おかげで俺の半身が完全に手に入った」

「お前たちが生きているまでの間だ」

シリウスはラルクをにらみつけた。


ラルクは炎を繰り出し、堕ちてくる蔦を燃やし尽くした。


「壊れないといいな、お前の半身」

シリウスは去り際にいった


「・・・壊させないさ」






復活したゴディバはまた、皇帝ラルクの手によって葬られた。

魔の巣窟であった暗森と共に炎で燃やし尽くされた。

人々はまた安堵し、勇敢な皇帝を称えた。




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