僕が壊れるその日まで
その日は唐突に訪れた。
僕は、今まで何をして何を思い、何の為に生きてきたのか。
僕の今まで歩んで来た日々は何の生産性も無い、無意味で無価値な物だと思ってしまった。
大人達は、「たかだか18年しか生きていないのに何を知ったような事を」と僕に言うのかも知れない。
けれどもその【たかだか18年】が僕の人生の全てであって、それは同仕様もなく事実なのだから仕方が無い。
けれどもこの【たかだか18年】を必死に生きて来たのかと聞かれると即答出来る自信も無い。
勉強もスポーツも一生懸命やって来たつもりではいるけれど、この【つもり】と言う気持ちは、やはり、【あの時サボったよな】だとか【こんな事をやっていても】と言う【逃げる言い訳】を
何処かで探していた自分が必ず居たからである。
【それが普通】と大抵の人は言うのかも知れない。
僕もその内の一人である事に変わりは無いとは思う。
だが、【このままで良いのか。】
そう思う自分もいる。
これも皆が【何回も思い】、【何回も諦めて来た】事に変わりはない。
その【何回か】の内の【最後】に【本気で変わった人】が【人生をやり直せた人】なのかも知れないと僕は思った。
その点で言えば僕は【たかだか18年】で気付けたのは【ついていた】と思う。
【だから、今日、この日に決めたのだ。】
そう心の中で想いながら、今、顔を涙で汚しながら、マンションの屋上の手すりの外側に立っているのである。
何故、僕が此処に居るのか、それは僕にも解らない。
だけれど、突然こうする事が正解だと思ってしまった。
別に今までの人生に嫌な事は無かった。
人並みに生き、家族にも恵まれ、友達にも恵まれ、有り難いことに彼女にも恵まれているのだから。
もしかしたら、本気で此処から一歩踏み出す気はないのかも知れない。
ただ演ってみたかった、それだけなのかも知れないとも思う。
もしかしたら、誰かが気付いて劇的な物語が始まるのを期待していたのかも知れない。
そう想いながら僕は夜の星に飛び込んだ。
若くして自ら命を断つ人の中にはこう思っていた人もいるかも知れないと思って書いた超短編小説です。