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プロローグ 旅の始まり

生きるとはなんだろうか?

俺は、こうみんなに問いたい。

「楽しいことをしたいから」

「美味しいご飯を食べたいから」

「特に死ぬ理由がないから」

これらの理由が上がることが多いんじゃないか?

確かに一理ある。

誰だって、美味しいものを食べたいし、遊びたいものだ。

しかし、これが俺の考えと同じかと言われると答えは、

「否」だ。


生きるとは、自分の大切な人と出会い、その人と同じ場所で、同じ時を過ごすことだ。

それが、たとえ一方的な気持ちであったとしても、、、、、、


少し、自分語りをしてもいいかな?

俺にも大切な人がいた。

その人は、星空が放たれたようなおさまりを知らないように観ていると無限に吸い込まれる藍色の瞳を持ち、腰まで伸びた銀髪のストレートは、どの角度から見ても光り輝いており、星を散りばめているよう。

道を歩けば10人中11人が振り向いただろう。

そんな彼女の隣を《龍王》として歩けていたことを誇りに思っていたし、役に立ちたいと思っていた。

しかし、別れというものは突然やってくる。


「第4代《龍神》が崩御されました。」


彼女の訃報を聞いたのは、俺がイギリスに遠征に行っていた時のことだった。


「、、、、、、、は?」


俺は、その知らせを飲み込むことができなかった。頭は、フリーズしてしまい情報を処理できなくなっていた。

それもそのはずである。

《龍神》の体は、そこらの人間とは違いちょっとやそっと、それこそ車に撥ねられたぐらいでは傷すらつかないはずなのだ、、、、


「、、、、死因は?」


消えそうな声で尋ねる。心臓が痛い。何かの間違いであってくれ。そう願っていた。

しかし、現実とは残酷なもので


「はっ!死因は未知の病によるものです!」

「そんなバカな!病気であるそぶりなんて一回も見ていないぞ!」

「しかし、報告書には数百年前から患われていた。と書かれておりますが、、、、」


俺は、目の前が一気に暗くなるのを感じた。


「え、、?つまり俺は数百年も一緒にいて一回も病気に気づかなかったのか、、、、?」


俺は、思い人のことを表面でしか理解していなかったのか?それなのに俺は、、、、、、

そう考えていると、急に足から力が抜け、俺は膝から崩れ落ちてしまった。


そこからの記憶は曖昧で気づいた時には知らない天井の下だった。話を聞くに、どうやらここは病院で、倒れた俺が運び込まれたようだった。未だに現実を受け入れられずにぼーっとしていると、ある1人の少女が入ってきた。


「は、初めまして!お初にお目にかかります!第二階級所属神の星乃 凪です!」


そう、部屋に入って来た少女は名乗った。

正直言って何故こうなっているか俺にはわからない。そんなことよりも《龍神》の方が大事だし、気にしていられない

そうして、返事をせずに無視をしていると


「もうっ!なんとか言ってくださいよ!」


俺は、何度も話しかけてくる彼女に嫌気がさして、、、


「うるさいなっ!なんなんだよ!」

「ひっ」


叫んでしまった。

俺がハッとして


「、、、すまない。で、なんのようだ?」


と謝りながら聞くと、


「はっ、はい!《龍神》様の遺言を伝えにきました!」


俺は、その言葉をきいて、またもや固まってしまった。

《龍神》様が俺に遺言、、、?なんだろう


「なんだ?言っていいぞ」

「はっ!「我が愛しき息子《龍王》へ。先に謝らせてもらおうか、急にいなくなってしまってごめんね。

もう知らせで聞いているかもしれないけど、私は数百年前から不治の病に体を侵されていてね?騙し騙し生きてきたけどどうやら限界のようだ。

君はなんで教えてくれなかったんだって怒るだろうね。君を心配させたくなかったんだ。だから、君は気づかなかったことで自分自身を責めないであげてほしいな。

これだけはわかってほしい。

もっと君に教えたいこともあった。もっと君と生きたかった。でも、もうかなわなそうだ。だからこれだけ伝えておきたいんだ。

私を愛してくれてありがとう。

我が最愛の弟子に幸多き未来が在らんことを。」と。」


なんだよそれっっ!気づけなかったことを責めるなって言ってくれているけれど正直できる気がしない。

俺は、最後まで気を使わせてしまった、、、、、

俺の存在する理由はなんなんだろう。俺は、、、、

そんなことを考え、顔から希望が消えていた俺に凪が話しかけた。


「こんなことをわたしなどが言ってしまっていいのかわからないのですが、、、、《龍神》様は、ご自身を責めないようにと残されました。それならば、その遺志を尊重することこそ最大の恩返しになるのではないのでしょうか?」


俺は、そんな言葉を聞きながら考えていた。

確かに、《龍神》の遺志ならば尊重した方がいいだろう。しかし、この自分を責める感情はどう抑えれば良いのだろうと、、、

そんな困った顔を見た凪は、


「《龍王》様、もしよろしかったら旅に出てみるのはいかがでしょうか?」

「旅?流刑になれとでもいうのか、、?」

「いいえ、《龍神》様の足跡を辿る旅です。かつて、《龍神》様は世界をまわられたことがあります。その足跡を辿れば、《龍神》様の弔いにもなり、気持ちの整理もできると思うのです。」


俺は、そんな提案を聞き、衝撃を受けた。

旅というのは、名案かもしれない。

今の俺には、もう何も残っていないも同然だ。そんな俺だからこそ、旅に向いているんじゃないか。そう思えてきた。


「凪と言ったな、、、凪は旅の仲間となってついてきてくれるのか、、?」

「喜んで!」


俺は、そんな凪の元気のよい返事を聞いて少しだけ心が晴れたように感じた。


「一緒に旅に出ましょう!世界を驚かせるほどの素晴らしい旅に!」


彼女の元気の良い宣誓を聞いた。


「さあ、旅を始めようか」


「もう出会えることはなくとも、それでも俺は進み続ける」


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