44,思惑と行動
パーソンの情報からサーライトが動き出し いよいよ本来の目的に向かい動き出した各国
そんな中 今後を決める行動を起こして 波紋が広がっていく!
それから4か月後 それはいきなり発表された!
アーク農国で起こっている連続大規模犯罪の原因と対策がである。
それもアーク農国の友好国として支援していたサーライト長兄王子から発表されたのだから 他国は騒然としていた。
「今回アーク農国で発生した大規模犯罪は過去の例のない魔道具を活用した悪質な犯罪と判明した!」
「その魔道具で大幅に強化された能力で大門を破壊 蔵の鍵を粉砕し 強盗を行おうとしていたのである」
「しかし 我がサーライト騎士団とアーク農国騎士団が手を組み 犯罪者の取り押さえに成功し魔道具を奪取した」
「そして魔道具の解析 テストを行い確認したところ”ある条件下では機能しない事”を突き止めたのである!」
「そして その条件は”我が魔導士の努力により 容易に生成”されるようになり 魔道具は無力化されたのだ」
「我が友好国には その条件を生成させる器具の配置が完了し 魔道具犯罪の防止が達成したことを今宣言する」
当然 そのような情報は重大事として各国に広がっていった!
特に そんな犯罪に加担していた いや 起こしていたゲスダインにはいち早く流れて行ったのだ。
そしてそんな情報は関係者に当然 届けられていく。
そして 当然宰相にも情報が届けられる。
内容が内容なので パーソンは一時的に使いを頼まれ 部屋から追い出されてしまったのである。
「そんな事が出来るのか?」アーク農国の発表は情報省から宰相に最優先事項として打ち上げられていたのだ。
「想定した数は後1カ月で揃ってこれからの時に どうしてなんだ」宰相は頭を抱えていた。
「侵攻計画の見直しが必要か」側近に聞くと彼は静かに首を振った。
「通常のテストでも1人の魔道具使いを3人がかりでも取り押さえが出来ないですから なにかのブラフでしょうねぇ」
「なんのためのブラフだと?」
「恐らくは サーライト自国の国内安定の為でしょうねぇ」
「なぜそんな事を?」
「アーク農国の事件が自国に流れたのでは?」
「その”対策案があるから自国は安全だと”PRしたいのか?」
「まぁ 我々の計画が漏れているとは考えにくいので そう考えるのが自然でしょうか」
「だなあ」宰相は息を吐いて 側近に向き直る。
「じゃあ計画変更なしだな」
「えぇ その方が実行者も安定するでしょう」
「だが噂が流れて 不安がるのもよくないぞ」
「では 今のうちに息抜きでもさせておきますぞ」
「あぁ 任せる どうせ”最後の時”は踊って貰うのだからな」そう口元を吊り上げて笑っていた。
「実行時の評価次第だ 予定通りならいいが それ以下でも”以上”でも論外だぞ」
「”以上”ですか・・・」
「あぁ 騒動起こして欲しいが 被害が欲しいわけではない」
「”治安維持介入”の名目さえ取れればいいのだ」
「もし”それ以上の”行為でしたら」
「当然 法にのっとり処罰させる」
そんな都合のいい事を宰相が企んでいたころ 当事者は別な危機を感じていた。
サーライト王子の宣言は ゲスダインの王家のみに届いたわけではなく 当然魔道具担当の犯罪者の耳にも入っていたからだ。
その時犯罪者達は行きつけの酒場で酒を飲んでいた。
「サーライト王子が魔道具対策を完成させたらしいぞ」
「あぁ これじゃあ魔道具の意味ないなぁ」
「簡単な散歩なつもりだったんだがなぁ」犯罪者達はそんな事を言い合っていたのだ。
だが もっと不測の事が静かに進んでいたのである。
「当初は後1月後で魔道具が十分揃うから そこからアーク農国で騒いで奪ってとんずらのはずだったんだがなぁ」
「でもよぉ あまりにタイミング良すぎないか?」一人の犯罪者がそんな事を口にし 他の男達が顔を向ける。
「だからさ ”誰も知らないはずの魔道具を使ってた犯罪行動”も最初から捕まったわけだろう?」と言い始める男。
「たしかに 訓練では3人に抑えられても逃げ切れたし そもそも追いつけなかったしなぁ」
「だろう? だからおかしいと思うんだよ」
「なにがだ?」
「だって騎士団なんか装備が重くて普段から 足の速い奴に追いつけない事も多いだろう?」
「まあな」
「そんな騎士に魔道具で強化された”奴”が追い付けれて取り押さえられると思うか?」
「まぁないはずだよなぁ」
「もしかしたら 魔道具の効果が無くなる事が判っている時になら 足が遅くとも捕まえられるよな」
「まぁそう考えられるかな」
「魔道具の効果が無くならなくても 逃げ道が判っていれば捕まえられるとも思うな」
「じゃあ今までしていたのは何だっていうんだ?」
「もしかしたら 俺達ははめられたのかも知れんぞ」
「どういう意味だよ」
「元は 酒場の仲間から ”いい話”といわれたんだよなぁ」
「まぁ そうだな 飯と酒と宿が確保されるって話だったなぁ」
「あぁ うますぎると思わないか?」
「まぁ 知り合いでもない男の生活を いきなり保証してんだよな」
「それが ”撒き餌”だったのかもなぁ」
「”撒き餌”?」
「うまい話で俺達を集めて 自分の都合のいい話を進めてだな」
「ふむふむ」
「そして 用が済んだら 纏めてポイだな」
「ばかな!」
「いやいや 考えてもみろよ?」
「”数日 飯食わせておけば ”奴らに都合のいい”犯罪者が勝って集まってきて 纏めてポイすれば”自分の評価が上がる”んだぞ」
「まさか?!」
「初めから 俺達を利用するだけして利用して ポイか?」
「今までの状況からそう考えるのが 自然な流れなんじゃないのか」酒を飲み干し 男が言い切っていた・
「さて あっちはどう考えてくるかなぁ」
「まぁ 俺達は束縛されるつもりもないからな やりたいようにするだけさ」そう言って酒を飲み干し他も続いた。
スダインの動き サーライトの動き そして その犯罪者の動き
それが当初と違う波紋を受け 更に混乱と勘違いが




