18,憂国の諜報員
ゲスダインは 魔道具に自信のあるようですが 組織の連絡が甘いねぁ
だけど そんなゲスダインにもまともな人がいるようです
さた そんな人はどう動くのか
それから2週間が経過した。
ゲスダインではドーグンが戻らず 闇ギルドの状態も判らないので サーライト国侵攻計画が進まないでいたからだ。
「手すきの諜報員をサーライトに向かわせろ! ドーグンを探し出せ 闇ギルドの情報も忘れるな」諜報部部長はそう言って部下を怒鳴りつけていた。
部長は焦っていたのだ。
獣人化魔道具の状況報告をゲスダイン国王 ゲース8世より言われていたからだ。
獣人化魔道具は 正規戦で正面攻撃を仕掛けてもゲスダインの国力では必敗である事を事前検証で知っていた国王ゲース8世はサーライト奪取の為に 国王の指示援助で開発させていたのだから。
ゲース8世の考えはこうであった。
まず侵攻相手国サーライトの犯罪者に魔道具を与え サーライト内を政情不安定に落とし込み 王家打倒の革命を起こさせる。
革命はゲスダインから援助した地方貴族で コンタクトを取り王都へ進軍させる。
王都内での革命軍と残党王都軍での戦い救援にゲスダイン正規軍を参入させ革命を成功させる。
革命成功後は実権を握り 裏からサーライトを支配する。
もしくは 革命成功後 状況捜査を行い 魔道具犯罪者 革命軍の罪状を王家に報告し 断罪させる
どうころんでも ゲスダインには徳しかない妄想を考えていたのである。
”その為にも魔道具がどうなっているのか!”と諜報部に国王から怒りの言葉が降りているのだ!
担当が行方不明とも言えない諜報部は 国王の機嫌のいいタイミングで いい情報だけでなんとか報告を後回しにしてきたのである。
しかし 流石に国王もしびれを切らしていたのだ。
「それ程いい魔道具が出来たのだろう 我が前で披露せよ」
と 日程が指示され もうごまかしが出来なくなっているのだ。
そんな部長や王家の行動に危惧した一部の諜報員が 相手国の同じサーライト諜報員に接触してきたのだ。
部下の言い分としては ”既に言い訳のできない状況”でサーライトが開戦してもおかしくない。
そうなったら ゲスダインは一蹴されて国民が大変な目に合ってしまう。
そうなったらゲスダイン王家はどうでもいいが 国民をどうするのか?
戦争賠償でより苦しい生活を国民に強いるのだろう。
戦争回避するにはどうしたらいいのだろうかと。
拠り所の魔道具が役立たずだと判れば サーライトに戦争など考えないだろう。
諜報員は 自分の権限内の情報を相手に提示してきたのだ。
「このように 計画推進者のドーグンが現在行方不明で”天の思し召し”だと思ったのです 不毛な戦争を嫌う神様が起こされたものだと」
「我が国に闇ギルドの痕跡はない 初めて知ったのだが それは一度本国に持ち帰って検討したいのだが」
サーライト諜報員はそう答えた。
彼の諜報部にも 騎士団と王家で消し去った”闇ギルドの情報”は情報部にも伝えられていないのだ。
なので 諜報部の彼としても相手国から聞いた”最高機密”の闇ギルドは 無視できるものでないのだ。
「その国王への報告はいつなのだろうか?」
「二週後の予定です その前に国王は兵科視察がありますので」
「判った 至急こちらの検証を進めていく・・・来週にでも再度会えないかな?」
「判りました 来週に」
「こちらも ドーグンについて調査を入れていくよ」
「そうすれば サーライト国内での私が調査をしている事に出来るな」
「そうだな そうすればサーライトに来やすいよな」
彼はその後サーライトに戻り 王家にゲスダインの諜報員の話を告げ ドーグンという相手の調査を進めたい旨を上申した。
「ゲスダインでは重大な戦争計画が進められています もし戦争が始まれば 両国共に被害が甚大になってしまいます」諜報員の彼は 思いを込め王様に報告をしていた。
「ゲスダインの彼も 国民を大切に感じて このような重大な情報を提供下さったのです」
「どうか 彼の思いを受け取り 両国に最善の判断をお願いします」彼は震える声で 王様に精一杯の言葉を告げていた。
「両名の気持ちは了解した」王様は諜報員を見つめながら 口にした。
「宰相 諜報部にはドーグンの事はふせていたのだな」
「そうです パーソン様の能力を秘匿する必要上 関係するドーグンの事は話せません」
「宰相様 どうして ドーグンの事を知っているような話し方を?」
「諜報員 貴官も王都での商会襲撃事件をしっているのだろう?」
「凶悪犯が商会を襲撃した 極悪事件ですよね」
「あぁ その襲撃は騎士団で処理したと聞いておりましたが?」
「ゲスダインが関与しているのを知れたので 箝口礼を敷いたのだよ」
「ゲスダインが?」
「あぁ 獣人化魔道具というものを犯罪者に使わせて 魔道具の効果の確認 王都の警備体制の確認 影響状況などを調べていたようだ 貴官の報告のな」宰相の言葉に諜報員も驚きを隠せなかった。
「襲撃をされたのも問題だが 解決した方法が漏れるのも問題だと考えたのでな」
「解決した方法?ですか」諜報員に聞き返されて 宰相は慌てていた。
宰相の様子に 諜報員は何かを感じて それ以上の事は聞くことはなかった。
「面白い方法で 相手にあきらめさせる方法があるかもです」パーソンはそう言うと 不敵な笑みを浮かべた。
動き始めたゲスダインを考える人
将来を考えると そうするのが最善手なのかも
あほな上は部下も大変ですなぁ
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