13,対決と そして
城壁に誘い込んだ 獣人とどう対面するか?
説得は出来るのか
捕縛できるといいですね
誘導されているとは思わずに 王都の端である城壁の上にたどり着いた狼獣人。
しかし そこで意外な声が掛かったのだ。
「そこまでです!」そんな風に高い声が掛かる!
「何者だ?俺がだれだか知らないのか?」低く威圧的な声が聞き返す。
「私はあなたを捕まえる予定の者です それに城門を通らないあなたは 犯罪者さんでしょう?違いますか?」
「え?俺を捕らえるだと?」
「なにか可笑しいですか?」不本意だと言わんばかりの相手。
「お前のようなちびっこが俺の相手?笑わせるな!」引付がおきそうなくらいに笑う獣人。
「今のでおしりぺんぺんに決めました 覚悟しなさいよ」
「そうか お前はぺんぺんされたのか おかしな趣味だな」
「僕がするんです」
「我が狼の移動について来れるかな?」狼獣人の声が 不敵に響く。
「さぁ 宴だ!」狼獣人が激しく動き 王子に攻撃を仕掛ける。
手にしたナイフが激しく突き出され 狼獣人が自分の動きに酔いしれていた。
”この俺の動きについてこれるか?”そんな思いがあったからだ。
”直ぐに穴だらけにして後悔させる”そう考えていたのだが 一向に相手にナイフが当たらない?
”どうした事か?”不思議に思いながらも ”まだ余力があるけどな”と ニヤリと笑う。
狼獣人に対峙しながらも パーソンは兄王子との訓練と比較していたのだ。
”兄のほうが早いな”そんな事を考えながら 鳴り響いたラッパが3回だったと思いだして 腕を上げた。
”次が来る前に 取り押さえないと ここまでかな”
パーソンが放出した 逆転の魔力が魔道具を動作させる魔力が中和され 魔道具の効果が消え去る。
狼獣人は”何しているんだ?”程度の認識で ナイフを突きだしていたが 疲労が溜まり動きが鈍く変わった。
魔道具の効果が無くなり 体にした無理が積み重なり 狼獣人は肩で息をして動きが止まった。
「終わりです おしりぺんぺんですよ」
「く くそ・・・」悔しさに狼獣人の顔がゆがむ。
パーソンは手を振り騎士団にサインを出し 狼獣人を捕縛した。
「やっと 捕まえられた よかった」
「何がよかっただ?」忌々しく声を出す獣人。
「罪を償ったら 普通の生活に戻れるんだから 死んでほしくないんだ」
それを聞いてがっくり 肩を落とす獣人。
犯罪者は捕まったら処刑されると 思い込んでいたのでパーソンの言葉は想定外だったからだ。
「犯罪しないと生活できないのを無くせば 君達も普通に生活が出来るだろう?」
「どうして?」
「私はこの国の未来には 多くの人が必要だと思っているんだ」
「誤って道を間違えても 戻ればいいんだ」
「苦労した分 逆に”犯罪のいけない生活”になった実態を理解できるだろう」パーソンの言葉にただ頷く。
「それを無くせれば 素晴らしい国になると思わない?」
「俺・・・私にもそれを手伝わせてもらえるのか?」狼獣人はパーソンの言葉に 涙を流していた。
「後2人にも加わって欲しいな」パーソンはそう言うと 城壁から街のほうに目を向けた。
「彼には聞きたい事があります 騎士団の所で保護をお願いします」パーソンはそう言うと 騎士団に戻るように告げた。
城壁の外から音がして 新しい獣人が登ってくることが判る。
パーソンは気合を込め 魔力を高めて獣人が登ってくるのを待つ。
次は猫獣人が登ってきた。
パーソンを見て 同じように攻撃を仕掛ける猫獣人。
同じように攻撃はいなして 相手の疲弊を待つ。
狼獣人よりも早くに体力を無くし 疲れて倒れてしまった。
猫獣人の行動が予測できないので 魔道具を取り上げて薬草を使い眠らせて対応する事にした。
最後の獣人は熊獣人であった。
力任せに城壁に爪を喰い込ませて 力任せに登ってきたのだ!
城壁に叩きつける剛腕に城壁が振動しているのだ。
”修理が大変だよなぁ”そんな事を考えていると 熊獣人が登りきってパーソンを見つめた。
「なんでガキが お前が元凶か?」そんな事を叫ぶと 襲い掛かってきた!
パーソンを狙って振るわれる剛腕!
すでに魔道具を無力化してあるが 今までの獣人よりも長い間腕を振り回している。
「ちょこまか いい加減にくたばりやがれ」
「どうして 当たらないとか考えないんですか?」
「さあな お前がメンドクサイだけだろう 死にさらせ!」
「無理かなぁこいつの改心は」
「お前らは俺のおもちゃなんだ 俺を楽しませろ!」
めちゃくちゃな言葉に 付き合うのも面倒になり騎士団に指示を出す。
騎士団は指示を受け 脇から投げ縄を投げ 行動を縛り上げ拘束した。
これで今晩の3件に襲撃はすべて 捕縛を完了したのであった!
犯罪者にも事情があり 好んでいるわけでないんです
何事も話し合いが出来ればいいですよね
さて 最後の獣人犯罪者が捕まり 今後はどうなっていくのか?
そのあたりは後々にて
不定期更新となります