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りょかんといったら? そうだね、おふろだね

あの旅館にあるナゾのスペースの名前知ってた人いる?

「んん~いーにおぃ」


 タタミのスメルいずぐー!


「グレースさま、すこし行儀がわるいですよ」


「もうちょっとだけ」


 オトナな子どもにたしなめられてもこればっかりは譲れないのよ。


 なんでって、そりゃあおうちに帰ったらまず"コレ"をやるに決まってんじゃん! ――あれ?


(なんで?)


「ん、どした? グレース」


「なんで?」


「なんでって、なにが?」


「スプリットくん。わたしなんてこうしてるの?」


「はあ?」


 奇妙なものを見る目でみられた。


「みなさん異世界人のお客さんなら和式になれてらっしゃるわよね。じゃあかんたんに説明しますよー」


 廊下では草履(ぞうり)をペタペタさせてたチコちゃん。それをさらりと脱いでととのえ、段差に気をつけつつ室内に入ってくる。


「こちらがおトイレ。こっちが洗面所とおふろばね。広縁(ひろえん)にちょっとしたオモチャもあるんだよ?」


 チコちゃんが窓のほうを示した。たたみがある和室空間からひとつ先にナゾのスペースがあって、そこの窓の先にはワビあんどサビな庭がちらり。そして町の様相がきれいに見渡せた。


「きれー」


「大浴場もあるけどごめんね、ここの温泉はあまりひろくないのよぉ」


「湯浴みできるだけでもありがたい」


「そうだね。とくにレディにはありがたいサービスだよ。そうだ、この後みんなで大浴場に浸かろうじゃないか」


「だいよくじょー! はいるはいる!」


「わたしは、その、ご遠慮させて――」


「なーに言ってるんだいグウェン! 遠慮しないであんたも来なよこんな機会ないんだから」


「私も今日はだいじょうぶな日だから……けどいいのですか?」


 懸念を込めた視線を送る。それを受け止めた仕切り屋さんは歓迎の意思を示した。


「構わないぞ? 日も落ちたし今日は宿を確保できただけで目標達成だし、人数が必要な買い出しなどは明日に済まそう」


 やったね! ってことはみんなでオフロに入れるチャンスじゃん!


 ってことで、わたしはみんな(・・・)に誘いのことばをふりまいた。


「ねえねえスプリットくんもいっしょにはいろーよ!」


「グレースさま!?」


「うぇええ!! い、いやオレはべつに」


 そのほうが楽しいじゃん! と思って誘ったのに少年はなんかノリ気じゃない。グウェンちゃんやみんなもなんかビックリしてるしなんで?


「あははぁ、ここ混浴じゃないですよお?」


「あ」


 そっか。


「オトコの子とオンナの子はべつべつなんだ」


「グレース」


 すぅーっと息を吸ってからちょびヒゲが渋い顔をした。


「私が言うのもなんだが、もう少し分別というものを持ったらどうだ?」


「今回ばかりはチャールズさまに同意見です。いったいなにを考えてるのですか!」


「いや、えーっと、えへへ」


 なんでだろ?


(だんしとじょしがはだかでいっしょは恥ずかしいことだよね)


 でも、さっきはなんかあまり考えてなかったというかそれが普通に思えたっていうか……んー。


(スプリットくんをオトコの子として見てなかった? いや、でもうーん)


「まったくビックリした。グレースはたまに予想外のことを口にするねぇ。とうとうとちクルっちまったのかと思ったよ」


「今にはじまったことじゃないが、今回のはさすがに驚いた」


「サっちゃんもビーちゃんもシンラツじゃない?」


 泣くよ?


 鳴くよ?


 わおーんって。


「オトコはオトコどーしで入ろうな?」


「ンだよその顔気色わりぃ」


 年下に罵詈雑言を食らわされた年配者が情けない顔になった。


「大浴場はこの廊下を抜けて玄関のほうにありますよ。今からお入りですか?」


「はいはいはーい! みんなではいりまーす!」


「グレースはしゃぎすぎ。でもまあアタイも今入りたいかな」


「私も同意見だ。グウェンはどうだ?」


「……じゃあ、あたしもいっしょに」


 しどろもどろになる少女をあんしんさせるように、やさしい仲居さんはやわらかい笑みを向けた。


「それじゃあご案内します。あ、タオルは銅貨いちまいで貸し出ししますよ」


「貸し出しか。まあいいだろう」


 その場で人数を数え、オジサンはジャラジャラと音が鳴る布袋を取り出した。

温泉回は鉄板と聞いて

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