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ワンだふるワンだーらんど ~異世界でトモダチ100人めざします~  作者: 犬物語
17:裏ボスっていちどクリアしてからじゃない?
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初手マモノ部屋とかどう?

 ヒミツの入口。

 このワードだけで胸がわくわくするよね。

 複雑なギミック。タイミングを合わせなきゃ現れない仕掛け。そんな夢満載イベントに出くわすことなく、わたしたちは図書館の一角にてその扉を囲んでいた。


「これがそうか」


 ブッちゃんがそれを見下ろす。

 一階は受け付けや待合室、自習室などのフロアが置かれ、地下への入口は受け付けカウンターの裏手にあった。調査団たちの手によるものだろうか、今は顧客リストらしきファイルが並べられた棚がどかされており、その下敷きになっていたヒミツの入口が衆目のもとに晒されている。


 盗賊を撃退した後、彼らのひとりから証言を得て調査員さんたちが発見したらしい。フロア中の本棚を移動させようやく見つけたそれは、不自然な形で四角く区切られており、そこだけ木製の板が敷き詰められていた。


「よいしょっと」


 それを剥がすとこんどは別のくぼみ。その中心に引っ張り上げるタイプの本命の扉があった。近くには棒が添えてあり、取手を掴み開いた後、閉まらないよう棒で支えておくようだ。よく見ると、その棒を引っ掛けておくくぼみも確認できる。


「調査隊はどこまで探ったんだっけ?」

「入口を降りた最初のフロア、ないしそこからいくつか先までだったようだ」

「油断しないで行くわよ」

「ドロシーさん、今回はずいぶんとアクティブですわね」

「なによあんず。うちはいつもこの調子だし」


 それぞれの感想を吐露しつつ、今は開け放たれたそれを眺めて奥に広がる空間に視線を注いでみる。

 灯りなし。だけど地下へ差し込む光のおかげで地下室の地面まで確認できた。


「なるほど、図書館と同じ石造りか」

「ったく、なんだってこの街(レブリエーロ)は石が好きなの? 寝返りうつ時やりにくくて仕方なかったわ」

「ドロちんもそう思う?」


 野宿でもなかなか得られない体験だったよね、あれ。


「荒らされた形跡はなさそうですわね」

「うむ……盗賊どもはここに手を付けなかったのだろうか」


 今、図書館では調査員による後処理の真っ最中だ。

 紛失した本の確認。

 散らばった本の片付け。

 あるいは盗賊たちが証言しなかった新しいブツを発見したり。とにかく忙しいらしい。かなりの人数を動員しており、とくに戦闘が勃発したニ階の被害が大きかったようだ。


 聞くところによるとドデカい武器を振り回した痕跡があるんだって。さぁーて誰のせいでしょうかね?


「それを確かめて欲しいから依頼が来たんでしょ」


 ドロちんが手に光を生み出した。

 それを操作して地下へと運ぶ。

 センサー的役割も果たしてるのだろう。ドロちんは目を閉じて光を操作しつつ、その周辺にある気配を感じ取ろうとしている様子だ。


「敵の気配なし」


 地下へ潜入した光が消え、同時にドロちんの目が開かれた。


「では、行こうか」


 率先して地下へのはしごに手を伸ばすブッちゃん。

 調査員たちが掛けたものだろうか? 比較的新しい木製のはしごだったけど、ちょっぴり細くて頼りない。ブッちゃんが足をかけた瞬間にミシミシと軋む悲鳴をあげているが、果たして重装鎧によって超重量級となったあんずちゃんを支えられるのかな?


(すごいよねー)


 めっちゃ重いよ?

 脱ぎ捨てたときドスン! って言うからね。

 あんなの付けて動き回るの考えらんない。

 少なくとも、わたくしめのジョブでは考えられませんわな。


 ブッちゃんに続きドロちんが足を伸ばす。はじめと違い、こんどはトントンと小気味よい音をたてていき、軽量級にて束の間の安息を得るはしごさん。その後もいちおう軽量級のグレースちゃんなのでご安心ください。なおラスト。


(まあ、使わなくても降りられるんだけどね)


 異世界人の身体能力は、どうやらこの世界の住人にとっては異次元らしい。

 もちろん、この世界の人にもとんでもないステータスの方はいる。おじさんとかおじさんとか。でもそれは修行を積み重ねた先にあるモノであって、持って生まれた才能でニ階までジャンプできたりあっちからこっちまでひとっ飛びなヒューマンは稀有なんだって。


 それはそうと、はい地下室へ着地でござる。


(秘技、くりありんぐ!)


 部屋のど真ん中で三百六十度見渡しました。

 敵がいたら蜂の巣になってたぜ、イェイ。


「なので敵はいません」

「知ってるわよ」


 ドロちんが背中で語ったかっけー。


「よいしょ――よいしょっと」


 ガシャガシャ音をたて最後のおひとりさまご登場。はしごよ、無事でなによりだ。褒美に帰りも使ってやろう。


「多少素材が異なるようだが石材ということに変わりない。図書館と同じ建築様式のようだな」

「ということは、建設当初から存在した可能性が高いですわね」

「あるいはそれ以前から。図書館をその上に建築した可能性も考えられるか」

「ここでそんなこと考えても意味ないわ」


 ドロちんは周囲に目を配らせそう呟いた。


「以前の持ち主はとっくに死んでるし当時の資料もあまり残されてないんだから」

「お金持ちだったんだよね? じゃあお宝たくさんあったり?」

「グレース、それこそ実際に探索してみたければわかりませんわよ」

「案外、ただのワイン貯蔵庫だったりするかもね。いずれにしろ先へ進めば答えが出る。さっさと行くわよ」

(今回はほんとにアクティブだなぁドロちん)


 普段、無関係事脱力系少女にしては珍しくやる気なドロちんである。

 そんな魔法少女に引っ張られダンジョン攻略が始まった。

 ひたすら同じ景色の壁を進んでいく。タイクツだなーなんて考えてると、ふと広がった空間に突き当たる。


(秘技、くりありんぐ!)


 などとみなさんが侵入した後にやってみました。

 なにもない。ただの空き部屋のようだ。


「妙だな」

 そんなまっくろ僧侶のつぶやきから会話がはじまる。


「聞いていた話と少し違うようだが」

「どこが複雑な内部構造よ。単に部屋と道が連なってるだけじゃない」

「その廊下にしても、やたら距離が長かったですわよ? もう図書館の敷地内から出ているのではなくて?」

「うーむ……それほど重要な何かが隠されているのだろうか」

(んー)


 みんなの会話を参考にしつつ、わたしは部屋の隅から隅まで丹念に観察した。

 とくに変わった様子はなく、さっきと同じような無機質な空間が広がるばかり。

 だけどちょっぴり違う部分もあった。


(ざらざらしてる)


 壁に手を添える。すこし白っぽくて荒い質感。少なくとも、上の図書館のつるっとしたものとは別で、叩くと小気味よい音をたてる軽い石壁。

 地下へ潜り込んだ時にブッちゃんが言ってた言葉。図書館の素材とまた異なる石。つくりもの? ううん。どっちかってと天然ものな気がする。


(まるで空間を削り取ったみたいな……)


 角に目を向ける。直角すぎて逆に不自然だ。

 ブロックを積み上げたタイプの建物ならそれもアリだと思う。けど、この建物にはそういった形跡がなく、文字通り切ったり削り取ったりしてできた部屋に見える。だとしたらここまで精巧に、部屋の角まで正確に削り取る必要はあるだろうか?


 そういう手法なら、宿の一階がそうだったように、ある程度いびつな形になるんじゃない? だって、ここまでやるならどんだけ時間と手間がかかるって話だよね?


 じゃあ《《これ》》を実現する方法はなに?

 大昔の人たちが一生懸命がんばりました! とか?

 ちょーお金持ちさんが道楽でつくりました! とか?

 なんか違う気がする。


(もしかして――ダンジョンをつくる魔法ってあるのかな?)

「グレース、どうした?」


 後ろの上から大きな僧侶に声をかけられる。わたしは考えを中断し、振り返った。


「ううん、この建物を建てた人ってすごい金持ちだったんだなーって」

「今さらそんなこと言ってどうするのよ。それよりさっさと進みましょ」


 言って、来た方と逆へ続く道を目指すドロちん。それにブッちゃんが続き、あんずちゃんがふとこちらを振り向いた。


「何か気がついたのですか?」

「ううん、なんでも」


 わたしは疑念を振り払い、みんなの後を追った。

ジーニアス「難易度調整どうしよっかなぁ」

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