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ワンだふるワンだーらんど ~異世界でトモダチ100人めざします~  作者: 犬物語
10:好き勝手生きたいと思います
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新しい朝と予感

やっと旧タイトルを回収できる気がする

「ちょっとまってワンちゃん! わたしそんなはしたないことしたくないし!」


 そんなのやるの犬だけだし!


「……なにがだ?」


「へ?」


 目の前でオジサンが怪訝な顔でこちらを見下ろしている。


 ここはまっしろな世界じゃなくて、オジサンの先に木材の屋根があって、だけど壁は石造りで、たくさんの兵士たちがここに集まって藁に包まれたり、そこから起き上がったりしてる。


 夢からさめて、今はリアルな世界を探検してるんだ。


(――ほんとにリアルなのかな)


 彼らの言うとおり、ほんとうはゲームの世界だったりするのかな?


「寝ぼけてるな? ほら手を貸せ」


「あっ」


 そんなわたしの考えを否定するかのように、オジサンが半ば強引にわたしの腕をとり引っ張った。その感触は確かな現実感を教えてくれる。


 自分が感じているこの感覚は、たとえこの世界が夢でもゲームでも実際に感じてることなんだ。


「本日の昼ごろ、王へ謁見することを許されたんだ。それと同時に、暫定的だがレシル王子とともに今回の一件の報告も命じられている。いまヴィクトリアらが被害状況を――」


「あ、じゃあじゃああの集落やヒガシミョーとかであったことも言えるの?」


 オジサンがなにか言いかけたが、わたしはようやく王さまに会える事実を前についつい気分が高揚してしまった。とくにヒガシミョーの被害は甚大で、ひとりでも多くの助けが必要だろう。王さまの助けがあればみんな安心できるはず。


 オジサンも寝起きだったのかもしれない。ぼさぼさ頭のままうなずく彼を見て、わたしはついつい笑顔になった。


「やった! じゃあみんなダイジョーブだね」


「――まあな」


 気遣うようなやさしい笑顔。ふしぎな違和感があったけど、わたしは王さまにこの事実が届いて、それでみんな助かるんだという思いが強くてそれに気づかなかった。


お前たち(異世界人)は強制参加だ。このような状況だから礼服はいらんとのことだが、準備のためにはやく起きとけ」


「うん!」


 いろんなことがあったけど、やっと解決に向かっていけるんだ。


 わたしはとてもよろこんだ。しっぽがあったらブンブン振り回しちゃうくらいたくさんよろこんだ。部屋から出て太陽を浴びたとき、それが希望の光に見えるくらい清々しい気持ちだった。






 パーティー会場とはまたちがうとこ。お城の正面から入って、さらに正面の通路を通って正面の階段を登ってって、そんなに大きくする必要あった? ってくらい大きな扉がある広場まで通される。


「ここが謁見の間だ」 ――オジサンがそこを通り過ぎるときそんなことを言ってた。


 もうちょっと待たなきゃいけないんだって。あと最後の服装チェック? みたいなことするって言ってた。懐に暗器仕込んでると一大事だと言われ、あーそういえばナイフ一本どこぞに忍ばせちゃったっけと正直に差し出して、執事の人が冷や汗を流してた。


 いやーつい反射的に、なにも持たないとなんか不安というか、手がさみしくなっちゃうんだよねー。


 それぞれ物騒なものを持ってないかチェックされて、最後にヴィクトリアさんたちが身だしなみを整えてくれた。


 待合室の扉をくぐった彼女の「チッ、こんなカッコで謁見だぁ?」ってセリフとイヤーな視線だけは強烈に覚えてる。でも仕事はバッチリ。普段着慣れた戦闘服がまたたく間にビフォーアフター。見違えるくらい立派な衣装になりました。ってかこんなテカッてたっけ?


 それからしばらく待たされて、部屋のあたたかい空気に眠気を誘われはじめたころ、ようやくお出迎えの執政と衛兵がやってきた。前後をいかつい顔の兵士たちに囲まれ、あの大きな扉の前に立つ。


「どんなヤツなんだろうな」


 また今にでも両手を組みそうなスプリットくん。ビーちゃんがそれを批難する目で射抜いた。


「シッ、あまり失礼に値するようなことを口走るな」


「値するではなくまんま失礼です」


 グウェンちゃんにまで睨まれた。思いがけぬ反撃をくらった少年はバツが悪そうにあっちのほうを向いた。


「だって気になるじゃん。オッサンの話じゃ何十年と王様やってたんだろ?」


「それだけ立派にやってきたってことさ」


 サっちゃんの落ち着いた声がその場の空気を鎮めていく。国が"国"としてやっていくのはとてもタイヘンなことらしい。ならサっちゃんの言うことはもっともなんだけど、だとしたらどんなことをやってきたのだろう?


「そろそろ静かにしろ……出番だぞ」


 門の両サイドにいた衛兵が、その重厚な扉に手をかける。どんな魔法がかけられているのか、扉は分厚く重いはずなのに、兵士ひとり、それも片腕で引っ張っただけでスムーズに開かれていった。


(――わぁ)


 完全に開け放たれた扉の向こうには、まるで別世界のような空間が広がっていた。

異世界は別世界

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