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ワンだふるワンだーらんど ~異世界でトモダチ100人めざします~  作者: 犬物語
10:好き勝手生きたいと思います
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パーティーは身づくろいから

だれに見られても恥ずかしくない身体に

 おんなの子どーしでおっぱいの大きさくらべ? しないよ、そんなの。


 そんなの気にするの男子だけだし。まああの人おっきーなとか思ったりするけど口にはしない。おとこの人だって、えと、わかんないけど他人の……アレの大きさくらべなんてしないでしょ? ――ってかさ、わたし思うんだけど。


「ふしぎなものだな。剣と魔法と城郭都市。まるでヨーロッパのおとぎ話のような世界なのに、この世界には世界中の文化がひしめいている」


「そう! ビーちゃんもそう思うよね!?」


「……なぜ食い気味なんだ」


「だってほら見てよ! ここ温泉だよ? ヨーロッパってみんな水着で温泉はいるじゃん? でも見てよ! みーんなすっぱだかだよ! おかしーじゃんテレビだとみんな水着着てたのに!」


「あーそうだな。熱いお湯、岩盤に囲まれたかんっぜんな日本の温泉だな」


「でしょ! サっちゃんもそう思うでしょ!」


「わかった、わかったから落ち着け目立つから。あとここは温泉じゃなく銭湯だ」


 モデルみたいな肌白美女がわたしの腕をひっつかみ湯船に引きずり下ろした。


「ぶくぶくぅ」


「溺れたフリするな。ったく入ってるのは私達だけじゃないんだぞ」


 弓を持たぬ弓兵がやわらかな視線で周囲に目を配る。ここには仕留めるべきエモノは存在せず、あるのはひとときの安らぎと暖かさを求めた裸体の女性たち。老若男女ひくおとこ。


 フラーのお役所さんが直接運営してるらしい。地下から組み上げた水だけじゃなく雨水なんかも利用してるらしい。はじめ聞いたときはビックリしたけど、なんか魔法のいろいろでいいお湯にしてるらしく、むしろ身体にはいいとのこと。


(んー、でも温泉ってつまり地面から湧き出したお湯のことだよね? それってつまり泥水じゃん? なんで泥水が身体にイイのかなぁ)


「むずかしいこと考えたってグレースにゃわかんねぇよ」


「それひどくない?」


 筋肉がナマイキな少年ばりにイジワルなんですけど?


「泉質の違いってヤツかねえ。いま思うと、シュナウザーの温泉は別格だったよ」


「チコちゃんのところだね」


 肯定の笑みをうかべ、サっちゃんはおおきな両手でお湯をすくい自分の顔にぶち当てた。


「ふぅ」


「そーいやグウェン。教会の連中は毎日風呂はいってたのか?」


「毎日というわけではありませんが……最低でも週にいちどは沐浴を。このような場所に赴くことはありませんが、それは個人の範囲ですることです」


「へぇ」


 大して興味なさそうに目を閉じる。例によって大きな岩盤に身体をあずけるサっちゃん。いつ見ても砦みたいな感じだなぁ。


「この後どうすんだっけ?」


「話を聞いてなかったのか」


 こちらを静かに見つめるビーちゃん。これは間違いない、呆れてる顔だ。


「パーティー用の衣装を探すと言ってたじゃないか。グウェンは修道服で事足りるだろうが、私達は王の前に立てるような立派な服を持ってないんだぞ」


「チャールズさまのお屋敷にいくつかありましたが――どれも男性ものでしたし、スパイクさまが所持していたものはどれも不釣り合いなものでしたから」


 言ってて思い出したのか、グウェンちゃんはやや語気を弱めうつむき加減になってしまう。その気持ちを代弁するかのように男気溢れるサっちゃんが吐き捨てるように言った。


「はっ! 男ってヤツぁなんでもおっぱいで決めるようなサルばかりなのかねぇ」


「個人の趣味なんだろう。気に入らんのは確かだが」


「あー、そういえばビーちゃんだけはサイズ感合ってたねー」


「あんな衣装こちらからお断りだ。あんな、あちこち見えそうなカッコで人前に出られるか」


「スパイクさんは着てほしそうだったけどね」


「グレース、それ以上はやめてくれ」


 ばしゃ。湯船に波紋を残し、出るとこ出てるりっぱなおんなの子がその場所を後にした。






 オジサンのおうちにそれっぽい衣装がある。スパイクのそのことばを信じた結果、みなみなさまのサイズ問題に加えヘンなとこが穴開いてたりやたらエッチかったり「これもセットなんだ」と革製のムチを渡されたりほんっとわけわかんない。


 あれじゃビーちゃんが不機嫌になるのもしかたないなー。で、流れながれて今は王さまのパーティーにふさわしい衣装とやらをお買い求めにやってきたのですが、まさかと思うけどチャイナ服とかだったりしないよね?


「チャイナ服だった!」


「いきなりどうした?」


 まっかな衣装! 身体にぴったりフィット。スリット付きで衆目でも目立つきらびやかな衣装だ。案内役のスパイクとお財布担当のオジサンの先導によりたどり着いた先が中華風味の出で立ちだったからなんとなく想像したけどそのとおりだったよ。


「それが気に入ったのか?」


「あ、オジサンちがうの。そうじゃなくて予定調和というかなんというか、とにかく気にしないで」


「目移りしてしまうだろう? ここはフラーでも有数のファッショナブルなオートクチュールで様々な衣装を取り扱ってるんだ。ここで販売されてる衣装なら何を着ても問題ない。貴族の間でも評判がいいんだよ?」


 ナゾの用語を連発されまったく理解できなかったけど、つまりすごく人気で高級店だということはわかった。


 スパイクの言うとおり、ここにはチャイナ服以外にもたくさんの衣装が陳列されていた。中国風味、和風、洋風中東風。南国東南アジアなんでもござれ。あとゴムっぽい素材の服もある。さわってみたらペタペタしてやっぱりゴムっぽい。試着してみますか? というお誘いは丁重にお断りした。


(ってかコレで王さまのパーティーに参加できるんだ。なんでもアリだな異世界)


 わたしはドリアンと白菜とニンジンを足してさんをかけたような衣装の前で思った。試着してみますか? というお誘いは全力でお断りした。

ファッションショーが奇抜化してったのいつから?

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