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93.転移魔法実演

異世界から帰ってきた俺は、メーティスに頼んでいた大統領補佐官の連絡先をゲットし、電子メールでコンタクトを取った。

アバドンの第一発見者である事と、アバドン対策会議の参加者であることを伝えると、話を聞いてもらえることになった。


俺とさやかの間では、もうここまで来たら俺たちの事がこの世界の人にバレても仕方が無いとの結論に達している。

どっちみち何もしなければこの世界は滅びるし、救うためにはこちらの世界の科学者や政治家を動かすしかない。

万が一迫害を受けるようなら、異世界転移魔方陣で、故郷の世界に帰るだけだ。


ワシントンには転移魔方陣が無かったので、俺がニューヨークまで跳躍し、そこからワシントンまで飛行機で移動。

ホワイトハウス近くの公園の隅っこに転移魔方陣を描いておく。


面会約束の当日、俺とさやかと橋本さんの3人でワシントンに跳躍する。

ワシントン市内の政府関連の建物の一室が面談場所だ。


先に部屋に通されしばらく待つと、ビデオ会議で見たことのある補佐官が女性を連れて入ってきた。


「君が井本君かね。よろしく。私は大統領補佐官のトニー・ハミルトンだ。こちらは秘書のケイトだ」


「井本です。こちらは佐藤さやかと橋本沙織です。よろしくお願いします」


「君の事は事前に調べさせてもらった。君は投資会社の社長であり、スペースZ社の大口融資者であり、IZUMO宇宙望遠鏡の会社の大口株主みたいだね」


「さすがですね。もうそこまで調べているんですね」


「それで、アバドンに関する重要な情報とのことだが、どのようなことかね? 災厄を生き残るのに有望な方法でもあるのかね?」


「いえ、アバドンの引き起こす災厄をどう生き延びるのかではなく、アバドンそのものを太陽系から排除する方法です」


「君は夢でも見たのかね? 太陽の1.5倍も質量のある星をどうやれば動かせるんだね?」


「説明するより先にこの動画を見ていただけませんか?」


俺はタブレットを取り出すと、先日テストした魔石による岩山の移動シーンの動画を見せた。

動画を見た補佐官はいぶかしげな表情を浮かべる。


「なかなか面白いが、この様な動画はいくらでも編集で作成可能だからね。これだけ見てこれが本物だとは信じられないね」


その回答は予想していたので、俺は転移魔方陣を描きこんである魔石を取り出した。

部屋の右端と左端に、それぞれ三角形の形に置く。


「ケイトさん、こちらに置いた石の真ん中に立っていただけますか?」


「え、はい。分かりました」


秘書のケイトさんは言われた通り三角形に置かれた魔石の中に立つ。


「見ていてください」


といって、転移魔方陣を起動させる。

次の瞬間、ケイトさんはもう一方の端に置かれた魔石の所に移動した。


「な、なんだ? 何が起こったんだ?」

「えっ何?」


補佐官と秘書が同時に驚きの声を上げる。


「なるほど。私には理解できない何か特殊な方法で、物体を移動させることができる事は分かった。詳しく説明してもらえるかね?」


「分かりました。説明します。しかしその前にこれにサインしてください」


俺は予め準備しておいた”秘密保持契約書”を取り出すとサインを求めた。

そこには”井本が提供した魔法に関する情報は外部に漏らさない”旨が記載されている。


前世では契約時には、特殊な魔石により魔力を使って契約を結んでいた。

契約を破ると、魔力によって契約者が知ることができる優れた方式だ。

この世界ではその方法は使えないので、こちらの流儀に基づいて契約書を使う。

気休めだが無いよりはいいだろう。


補佐官と秘書は内容をざっと読んでサインしてくれた。


「では説明します。そこにあるプロジェクターにパソコンをつないでも良いですか?」


俺は了解を得ると、プロジェクターに持ってきたパソコンを接続し、プレゼン資料を使って我々の持つ能力を説明した。

もっとも我々の出生の秘密や異世界の事や、攻撃魔法などのアバドンに関係のない魔法の説明はしなかったが。


続けてアバドン太陽系通過を阻止する案を説明した。


一通り説明したが、補佐官と秘書はまだ信じられないという顔をしていた。


「にわかに信じられないかと思います。しかし、地球を救うには先ほど説明した方法しか手段はありません。しかし俺たちだけでは実現困難ですし、まだ解決すべき技術的な課題も残っています。米国の、いや全世界の協力が必要です」


「とりあえず分かった。少なくとも現在の科学技術ではアバドンを排除することはできないことは明白だからな。少しでも可能性があるのならかけてみようと思う。また結果は報告するよ」


「時間も限られていますので、よろしくお願いします」


「うむ。それでこの魔石は貸してもらえるだろうか?」


俺とさやかは顔を見合わせた。

魔石だけでは起動できないし、真似して別の水晶に魔方陣を描いても俺かさやかが魔石化しないと意味は無いし、渡しても問題は無いか?


「良いですよ。ただし私かさやかがいないと転移魔法は起動しないのでご了承ください」


「分かった。では大統領にはすぐに提言をしておくよ。もう帰るのなら空港まで車を用意させようか?」


「その必要はありません。魔石を6個置いていきますのでご自由にお調べください」


俺はそう言うと、デモに使った6個の魔石を円を描くように並べると、さやかと橋本さんとともに円の中に入り、移動魔法を起動し自宅に転移した。


自宅に戻るとさっそく橋本さんに質問する。


「どうだ? 彼らがどの程度信じてくれたのかわかるか?」


「はい、半信半疑と言ったところでしょう。しかし災厄の回避手段は無いことは確かなので、魔法が本当でそれが機能することは望んでいる、って言ったところかしら?」


「大統領には進言してくれるかな?」


「そのつもりみたいでしたよ」


2日の後、秘書のケイトさんから大統領と面会時間が調整できたと連絡があり、俺たちは再度ワシントンに出向くのだった。

主人公はついに魔法の実演を行い、合衆国大統領との会談の機会を得ました。

はたして大統領の協力を取り付けることができるでしょうか?

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