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8.大賢者、探知魔法を練習する

今日は探知魔法のレベル上げをすることにした。


探知魔法とは、主に魔獣や敵などを探知する魔法だが、金属やお宝なども探知することもできる。


魔獣狩りでは必須の魔法だが、この世界には魔獣はいないし、逆に金属などはそこら中にあふれている。

宝の持ち腐れの魔法かと思ったが、敵意を持つ人や犯罪を犯そうとしている者も探知できるのでこの世界でも使えないことはない。


また、他の人の額に触れて探知を行うと、その人の考えていることや記憶を探知することができる。

しかし、その行為は大変失礼にあたるので、前世では主に犯罪捜査や裁判の時に使われる能力だった。


俺はこの魔法を使って特に実現したかったのは、この世界に魔力を持った人や動物がいないか探知することだった。


図書館の本で得た知識では、超能力や中世ヨーロッパの魔女狩り、霊感能力など、魔法が使える人がこの世界にも居る可能性を示唆している。


現時点では探知魔法はLv1なので、広範囲の探知はできないが、周囲10mほどなら探知ができる。


魔力探知はそれほど魔力を使わないので、常に探知状態にしても魔力切れは起こさないだろう。


今日は探知魔法のレベル上げがてら、俺の他に魔法が使える人や動物がいないか探してみることにした。


俺は朝早めに起きて、通勤客が多く行きかう最寄りの駅に向かう。


探知魔法で魔力を探知(魔法を使える人を探知)しながら改札を抜け、満員の電車に乗り込む。


周囲10mと小さな範囲しか探知できないので、駅に停まる度に車両を乗り換えながら探知を続ける。


魔力の気配は無い。


やがて電車は県庁所在地の大きな駅に到着する。

俺は改札口近くで人を待つふりをしながら探知魔法で通り過ぎる人を探知し続ける。


既に数千人を超える人を探知したが、魔力を持つ人は居なかった。


新幹線の入場切符を購入し、新幹線のホームに降り立つ。


この駅はこだま号とひかり号は停まるが、のぞみ号は通過する。


数分毎に通過していくのぞみ号やホームに入ってくるこだま号の中の乗客を探知する。


時速200kmで通過しても、魔力を持つ人が乗っていれば必ず探知はできるはずだが、1時間ほどホームのベンチに座り探知を続けても全く反応が無かった。


延べ1万人は探知したであろうころ、探知魔法がLv2に上がった。


これにより周囲50mまで探知ができるようになった。


俺は駅を離れショッピングモールやデパートなど人が多く集まる場所をかたっぱしから探知したが、魔力を持つ人は居なかった。


夕方になり、俺はコンサートホールに向かう。


今日は有名なバンドのライブがこのコンサートホールで行われるので、開演直前ということもあり多くの人が会場に来ている。


会場内外を探知するが、やはり魔力の反応は無かった。

この会場だけで1万人は居るだろう。それでも魔力を有する人が探知できないのだから、やはりこの世界には魔力を持つ人は居ないのか。

居たとしても非常に少ないんだと思われる。


歴史書に書いてあった魔女狩りが印象に残っており、世界のどこかに魔法が使える人がいると信じたかった。


強い孤独感を感じながら俺は帰途につくことにした。


◇◇◇


翌日、今日は空間魔法の転移魔法を練習することにした。


現在の空間魔法Lv2では、質量の大きなものは転移移動できない。

練習でレベルを上げておきたいところだ。


以前河川敷に魔法陣を書いて試してみたが、既に雨風によって消えているだろう。練習だけではなく、本格的に移動のための魔法陣を準備しておきたかった。


すでに自宅の庭には恒久的な転移魔法陣は構築してある。

他にもよく行く場所などに転移魔法陣を設置しておきたいところだ。


まず思ったのは学校だ。

中学校にはあと半年程度しか通わないが、通っている中学校に魔法陣があると何かと便利だ。

早速学校まで自転車を走らせた。

魔法陣の場所を色々考えたが、立ち入り禁止の屋上に描くことにした。


夏休みで人気のいない校舎に入り、屋上へ向かう。


屋上につながるドアは施錠されていたが、簡単な鍵なので先日取得した錬成魔法(水魔法からの派生の新しい魔法)でアルミニュウムを鍵の形に生成し、探知魔法で鍵の中身を探知しながら鍵の形状を調整する。


2分ほどで鍵が出来上がり施錠を解除できた。


屋上で周囲からみられないように屈みながら魔力を使い魔法陣を描く。


直径2m程の魔法陣を30分ほどで描き終え、自宅まで転移魔法で往復して確かめてみる。


魔法陣は完璧で、自宅と学校を往復できた。

次に祖母の家にも魔法陣を設置することにした。


電車で1時間半かかるので昼過ぎにようやく祖母の家に到着した。

勝手に家屋の裏に回り、空き地に魔法陣を描くことにした。


帰りは転移魔法で自宅まで瞬時に帰宅した。

これでおばあちゃんちにも気軽に行き来できるようになったな。

今後も転送できる箇所を増やしていこう。


家についてもまだ午後2時ごろで時間があったので、東京にも転送箇所を設けておこうと思い立ち、最寄りの駅まで歩いて向かう。


在来線から電車で新幹線駅の有る駅まで移動し、新幹線で東京へ向かう。

ついでに探知魔法で、魔力を持った人がいないかも確認しながら移動する。


午後6時ごろ、目をつけていた臨海部にある某巨大イベント会場近くの広い公園にたどり着く。


夕方ってこともあり、人はそれほど多くない。


日が暮れるまで待ってから公園の端っこの方の場所を3mの円形に掘り下げ、地面を魔法でガラス化し、そこに魔法陣を描く。

土を元に戻して完成。見た目は魔法陣を作った跡はほとんど無い。


しかし俺なら探知魔法で魔法陣の位置は正確につかめるので問題ない。

一応スマートホンに地図アプリに場所は登録しておく。


そろそろ帰ろうと思い、できたばかりの魔法陣を使い家に瞬間移動した。

いつか海外にも転移拠点を広げたいな、と思いながら一人で夕食を食べる。


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