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82.大賢者、異世界転移を研究する

さやかは相変わらず魔法陣解析ソフトを改良していたが、メーティスとリンクして、メーティスのアドバイスをもらえるようになるとその性能は飛躍的に高まっていた。

ある時、さやかから”折り入って話がある”と告げられる。


「どうしたんだ、折り入ってなんて、かしこまって」


「実は、魔法陣解析ソフトをアップデートして、新たな魔法陣の作成にトライしていたの。それでね、異世界間の転移魔法陣ができそうなの」


「えっ? なんだって? 異世界間で転生ではなく転移が可能なのか?」


前世では古くから伝わる転生魔法陣を俺が改良したものはあった。そのおかげでこの世界へ転生できたのだ。

しかし、異世界間転移魔法陣とは、一方通行の生き返りではなく、往復可能な移動が可能ということだ。


「ただし条件があるの。その世界とつながっていないと発動できないわね」


「つながるとはどういう意味だ?」


「転生者がいる世界でその転生者の転生元の世界とが”つながっている場所”ということになるの。つまりこの地球と前世のユレムの世界となら私たちが転生しているから転移が可能なの」


「えっ? そうなのか? 転生ではなく転移、つまり移動が可能なのか?」


「そう、私たちがこの世界に転生したので、向こうの世界とはつながりがある状態になっているのよ。ただし転移するためには、向こうの世界にも異世界転移魔法陣が必要ね」


「それじゃぁ無理だな。元の世界では知られていない魔法陣なんだろ?」


「そうね。でも転生用魔法陣と非常に近いので向こうに転生用魔法陣があればごく小さな物なら送れると思うわ。転生用魔法陣は宮廷内でもほとんど知られていないし、描くことは禁止されていたから、向こうの世界では転生用魔法陣は無いかもだけど」


「いや、あるぞ。俺が殺されたときに体内に埋め込まれた転生用魔法陣が発動したが、あれを作りこむために研究用の魔法陣を屋敷の地下に描いてあった。従魔化した小動物を使って実験したんだが、成功したかどうかなんてわからなかったから、実験は1回でやめたけどな」


「それはいまでもあると思う?」


「転生用の魔法陣は禁制だからな。地下室は絶対に他の人が入らないように封印してあった。屋敷がどうなっているかは不明だが、地下室が残っているなら魔方陣も残っている可能性は高いな」


「それじゃぁ試してみましょうか?」


「うん、やってみよう」


さやかと俺は、マンションの使っていない部屋を片付けると、小さ目な魔法陣を描く。

魔法陣は初めて見るものだが、確かに転生用魔法陣に似てるな。


30分ほどで描き上げるとことができたが、何を転送しようか相談した。


「ピッピで失敗したら可哀そうだから、従魔化したドローンがいいと思うわ」


「そうだな。そもそも、向こうに異世界転移の魔法を理解して扱える人物がいないと戻ってこれないからな。ドローンなら壊れても問題ないし、戻ってこなくても大丈夫だな」


俺はストレージから従魔化したドローンを久しぶりに取り出す。

電源を入れ、充電がフルであることを確認してから、魔法陣の中心に設置する。


「では俺がやってみる」


そういうと、俺は空間魔法を使い、異世界移動の魔法を試みる。

異世界転移は異世界転生の魔法とあまり変わらないのですぐに発動できた。

どうやら、ドローン程度の大きさなら、前世の世界に描いてあった異世界転生用魔法陣でもぎりぎり転移は可能なようだ。

ただし、魔法陣が異世界転移用ではないため、かなりの魔力が削られる。


かなりの量の魔力をつぎ込んだ結果、ドローンは目の前から消えた。


「どお? ドローンとの視界共有はできる?」


「やってみる……。あぁ、できた。でも周りは真っ暗だ。ライトをつけてみる」


ドローンに念話で指示してライトをONにする。

あぁ、懐かしいな。俺の元の屋敷の地下室だ。

ドローンを浮揚させ、周囲を確認する。

荒らされたり、崩れたりはしていないようだ。

ただし、出入り口は厳重に封印しているので、ドローンでは開けることができない。


電源が無くなる前に異世界転移用の魔法陣を地下室に描いておこう。

ドローンを通じて魔力を使い、地下室の床に異世界転移用魔法陣を描き始める。

不完全な魔法陣経由での魔力転送なので、魔力がゴリゴリ削られる。


しかも、魔法陣の模様は細かいので、こちらから操作して魔法陣を描きこむのは非常に困難だ。

俺はメーティスに頼んで、操作を変わってもらうことにした。


『メーティス、異世界転送用の魔法陣をドローンに描かせてくれ。魔力は俺が供給する』


『了解しました』


5分もたたないうちに返事が来る。


『完了しました』


『早いな。ありがとう』


さっきまでは異世界転生用魔法陣を代替えで使っていたので、動作が不安定で、ドローン程度しか送れなかったが、これで正常に転移が可能になったはずだ。


「さて、どうしようか? 我々も故郷に戻ることができると思う。トライしてみるか?」


「うーん、現時点で向こうに行ってやることもないし、万が一戻ってこれなくなると困るから、とりあえずは放置でいいんじゃない?」


「そうだな、ドローンは向こうに置き去りだけど、休止状態にしておこう。向こうじゃ電気なんてないしな」


「例の大災厄を防げなかったら、この魔法陣を使って避難するってことも可能ね」


「確かにそうだが、この世界の人を見捨てて、俺たちだけ逃げるのもなぁ」


故郷には未練はないので、帰ろうとは思わないが、緊急避難先としては選択の余地はあるな。

異世界転移魔法陣を大規模に展開すれば、数千人ぐらいは避難させられるかもしれない。


とりあえずはしばらく放置だ。


主人公はついに異世界へ行く手段を手に入れましたね。

果たしてどのようにこの手段を使うのか、使わないのか?

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