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79.大賢者、小惑星探査を行う

日本へ帰ってから、しばらくはi経済研究所の仕事と、受験準備に追われた。

最近会社の業務をすっかりサボっていたので、決済すべき書類が山積みだった。

CEOの鈴木達也氏と秘書の鈴木望さんからは、烈火のごとく承認の催促が来ている。

まずかった。


株投資の大口戦略承認、ベンチャー企業への融資承認、情報機器の設備投資承認。

あー、めんどくさいから全部鈴木親子に一任しちゃおうかな?


資料を確認し、承認処理を行いながらふと思い立つ。

俺の代わりにメーティスに、小惑星衝突に関して情報収集をやらせたらどうだろう?

NASAのデータベースやNASAの地球防衛調整局(PDCO)のデータベース、各天文台のデータベースから情報を収集して、まだ確認できていない地球に落下する可能性のある小惑星を事前に知ることができるんじゃ?


早速メーティスと念話で話してみる。


『NASAを中心に、全世界の天文に関するデータベースにアクセスして、地球に衝突する小惑星が無いか確認は可能か?』


『プライベートなデータベースも多数あるかと思いますので、時間はかかるかもしれませんが可能です』


『うん、じゃぁ早速始めてくれ。衝突時期は俺の予知魔法からすると、5年後の3月付近だと思われる』


そこまでメーティスに指示して俺は違和感を覚えた。

さやかも今の念話に参加してもらっていたので、さやかには口頭で疑問をぶつけてみる。

「なあ、大災厄について予知魔法を使って色々調べていたけど、大災厄の発生時期ははっきりしていないよな?」


「確かにそうね。隕石落下なら落下地点は瞬時に、それ以外の地域でも衝撃波の到達は1日以内のはずよね? まだはっきりしないけど予知魔法では数か月でじわじわ世界が崩壊している様に感じるわね」


「うーん、隕石落下が原因で、各国で戦争が始まるとか? いや、それは人災も重なる形になるから、ここまではっきり予知はできないよな」


「隕石に伴い大火災に世界が襲われるとか?」


「現時点での予知では、5年後の3月に大災厄の要因が発生し、その後5ヵ月ぐらいで世界が崩壊する感じを受けるんだよな」


『メーティス、とりあえず5年後の3月に地球に最接近する小惑星が無いか確認してくれ』


『了解しました』


衝突する小惑星が特定出来たら、それを迎え撃つ必要があるからな。

そういえばスペースZ社に融資して開発を進めてもらっていた新型エンジンはどうなっているかな?


たしか月例で報告書が出ているはずだな。最近は全然目を通してなかった。

大量に放置していたメールから、スペースZ社の報告書を探し出し確認する。


ふむ、既に試作機の評価は完了し、実際に宇宙へ飛ばすための実機の制作中か。

順調だな。

出来るだけ遠方で小惑星をとらえて何らかの方法で軌道を変えることができれば、地球への衝突の可能性をゼロに出来るはずだ。


俺の頭の中では、米軍かロシア軍から水素爆弾をかっぱらい、ロケットに搭載して小惑星に衝突、爆発させるシナリオができていた。


◇◇

数日後、メーティスから報告がある。


『報告します。5年後の3月に地球に接近する小惑星について、既知のものに関しては無いと判断します。引き続きNASAや各天文台の天体写真に写りこんでいると思われる未知の小惑星の有無を確認中です』


『わかった、調査を継続してくれ』


『了解』


焦っても仕方がないが、原因だけでも早く見つけたい。

俺とさやかは予知魔法のレベルを上げるべく、予知魔法に関しての訓練を加速することにした。

予知魔法のレベルが上がれば、予知の精度が更に上がるからだ。


◇◇◇


高校3年の1月。

クリスマスパーティーも終わり、いよいよ受験一色だ。

俺とさやかは強化魔法があり、それを知力強化に使うことにより、受験の為の知識は十分に有している。


まあ最悪、メーティスに念話で聞けば答えは得られるだろうけど、さすがにそれはカンニングに近い感じがするのでやめておこう。


俺もさやかも志望校は東京大学と決めており、滑り止めも受けるつもりはなかった。

とはいっても、特に時間をかけて勉強する必要もないので、いつもの通り過ごしていた。

しかし、恵さんと金井さんはそうはいかない。

i経済研究所は4月から本社を東京に移すことに決めていたので、できれば東京の大学に行く必要がある。

せっかくなら東京でも上位の大学を目指したいと頑張っている。

俺とさやかの志望校が東京大学と聞いた時、恵さんと金井さんは絶望的な顔をしていたな。

まあ、二人ともまじめだし頭は良いので都内の良い大学に合格できると思う。


そしてセンター試験当日。

電車とバスで1時間ぐらいの試験会場へさやかと向かう。

移動中さやかと試験の解答をどうするか話してみる。


「俺たちがまじめに回答すると、たぶん全問正解になるよな? それで良いと思う?」


「目立ちすぎるかもね。難しそうな問題を1,2問不正解にしておく?」


「だよな。同じ問題を不正解にすると何か疑われそうだから、念話でどの問題を不正解にするか試験中に相談しよう」


「分かった」


こうして2日間にわたるセンター試験が始まった。

試験内容は特に難しくなく、全部の回答を試験時間の半ばで書き終えてしまった。

俺はさやかに念話で話しかける。


『さやかも回答は書き終わったか?』


『ええ、大丈夫』


『んじゃ、俺は3-1を間違える』


『それじゃぁ私は5-2を間違えるね』


簡単な問題を間違えるのも変なので、難しそうな問題を探してわざと間違える。

問題を解くより、間違える問題を探す方が手間だ。


こうして2日間の試験で、一部テストでわざと間違えつつ、十二分に東京大学の合格圏の得点は取れたと思う。


恵さんも金井さんも同じ試験会場だったので、終わってから待ち合わせて一緒に帰る。

二人にどんな感じだったかを確認したら、二人ともまずますとのことで安心した。


二人は2次試験に備えて、受験勉強は佳境に入るが、俺とさやかは事務所を東京に移すための作業に追われてる。

俺とさやかは2次試験の過去問題などは既に十分頭に叩き込んであるので焦る必要はない。


4月からは学校近くにあるi経済研究所の事務所は縮小し、現在大谷システムズが入居している東京のビルに本社を構えるのだが、同時にメーティス用のメインコンピューターもアップグレードして、より能力を高める予定だ。


◇◇

そして2月になり、東京大学の2次試験の日。

大学の入試会場に足を運び、試験を受ける。

今回はわざと間違えたりせずに全力で試験を受けようということになった。

二人とも受ける学部は理学部だ。


試験の内容はさすがに難しかったが、難なく解ける。

概ね半分の時間で全部解けてしまったが、一応見直しておく。

うん、全問正解だな。

念話で確認してみると、さやかも全問正解だったようだ。


一応、メーティスにも確認してみる。


『メーティス、二人の試験解答を見ていたと思うが、間違いはないよな?』


『全問正解です』


まじめに試験勉強して頑張っている受験生には申し訳ないけど、知力強化が使えるってもの一つの才能だし、許してね。


そして3月となり、高校卒業の日。

成績がトップだったこともあり、さやかが卒業生代表であいさつすることになった。

俺もさやかとほぼ同率で成績はトップだったが、会社の運営関係で授業を時々サボっていたので、代表はさやかに決まったらしい。


さすがにさやかは前世で宮廷の魔法副大臣を務めただけはある。

堂々とした態度で代表のあいさつをこなしていた。


いつも一緒にいたのであまり意識していなかったが、さやかってとてつもなく美人だよな。

恵さんから聞いたが、学校内で、いや学校の外でも大人気で、ファンクラブまで出来ているらしい。

ただ、いつも忙しそうで近寄りがたい雰囲気があり、さらに俺と常に行動を一緒にしているので、声をかけることができなかったとのこと。


卒業式が終わってから、10人以上の男子生徒から告られたり、手紙をもらったりで大忙しみたいだ。


まあ、彼女はこの世界では18歳だが、前世では27歳で転生したので、実質の人生経験は45年だからね。

ちょっと高校生じゃあお相手として幼すぎるかな?


卒業式には祖母も出席してくれて、卒業を喜んでくれていた。

俺が全然祖母の家に寄りつかないので、もっと時々遊びに来てくれ、と釘を刺されてしまった。


◇◇◇


そして大学合格発表の日。

俺とさやかはせっかくなので大学の発表会場まで足を運ぶことにした。

臨海地区の転移魔法陣で東京まで移動し、電車で会場に行く。


想定内ではあるが、俺もさやかも問題なく合格していた。

さて、アパートを見つけたりこれから大変だな。


大谷先輩と岩崎先輩、近藤先輩に、合格したら連絡して欲しいと言われていたので、通話アプリのグループ通信機能で合格した旨連絡する。

皆喜んでくれて、俺たちが東京に来ていることを知ると、今から全員でお祝いパーティーをやってくれることになった。


会場は大谷システムズの本社会議室で、今日は業務を中止して直ぐにに会場準備をするから来るようにとのことだった。

すでに恵さんも金井さんも合格が確定しており、今から新幹線で東京に向かうので参加するとのこと。

俺とさやかは電車で大谷システムズのビルまで移動した。


パーティー会場では、大谷先輩たち3人の先輩の他、恵さんの父親と姉の望さんも来ていた。恵さんと金井さんは少し遅れて到着した。


3年生4人の合格祝いパーティーということになった。


会場となる会議室には、豪華なオードブルが既に準備されていた。

大谷先輩が乾杯の音頭を取る。


「それでは、井本君、さやかさん、恵さん、金井さんの4人の高校卒業と大学合格を祝って、カンパーイ」


「「かんぱーい」」


先輩たちとは久しぶりに会うのだが、ほぼ毎日会社のビデオ会議で話をしているので、久しぶり感が無い。

みんなでワイワイと楽しく過ごす。

しばらくした後、i経済研究所の新しいオフィスとなるフロアを見学することになった。

既に引っ越し作業は始められており、机椅子の他、棚なども搬入されている。

一番の目玉は、最上階にあるマシンルームだ。


株価予想の大国主AIをさらに機能を拡大し、高速にするための、並列コンピューターシステムと、メーティスのさらなる高速化用システムが既に設置されており、後はシステムの移設作業をするだけになっている。


会社の皆には、メーティスについては知らせていない。

ここの設備は全て大国主AI用と説明してある。


いよいよ来月から東京での生活になるのか。


結局衝突の可能性のある小惑星は見つからないままだが、大丈夫だろうか?


おぼろげに予知できている大災厄の原因がなかなかつかめない中、主人公は大学に進みます。

大災厄の原因はいつ明らかになるのでしょう?

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