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64.大賢者、ドローンを従魔化する

夏休みも終わり新学期が始まった。

学校の授業はできるだけ真面目に出るようにしているが、会社との二足のわらじでなかなかすべての授業には出られないな。


もっとも、俺もさやかもテストの成績はトップクラスだし、課題レポートも確実に出しているので単位に関しては問題無い。


先日エリクサーを近藤先輩の弟の裕樹君に服用させて、劇的な効果を得たが、今後何が起こるか分からないのでエリクサーとハイポーションを量産しておきたいと考え、さやかにも相談してみた。


さやかの答えは


「産業用ロボットを導入して、インキュベータや真空凍結乾燥機を全てコンピュータで制御するようにすれば、半自動でエリクサーやハイポーションが作れると思う。その方が人の出入りが少なくなって、細菌やカビの胞子の侵入が制限されるから、品質向上になると思う」

との事。


早速、産業用ロボットのカタログを取り寄せ、エリクサー製造用のプレハブ小屋に設置した。

制御用のプログラムはさやかがあっという間に作り上げ、俺がやることはエリクサーの材料に魔力を付加し、それを指定の場所に置くだけになった。


材料の粉砕や、混合やインキュベータのドアの開け閉め、製造途中のエリクサーの搬入までロボットアームが作業し、さらには最終段階でのエリクサー材料を真空凍結乾燥機に挿入し、乾燥化までほぼ全て自動で行えるようになった。


21世紀の地球の技術力ってすごいな。

いや、さやかの技術力も、何気に凄いわ。


前世でさんざん苦労して結局エリクサーを作り出せなかったあの苦労は何だったんだろう。

非常に高品質なエリクサーがジャンジャン自動で生み出される状況を見て、複雑な思いがするな。

ハイポーションもついでに作れるようにしたので、ハイポーションもエリクサーもたちまち大量に完成してしまった。


完成したからと言って、販売するわけにはいかないので、ストレージにしまい込んでおく。

まあ、何かあった時の保険にしよう。


◇◇◇

ロボットの従魔化


産業用ロボットの制御ソフトを作っていた時、さやかからある提案を受けた。

それは、ロボットの従魔化というアイディアだった。


いや、ロボットは生き物じゃないんだから、従魔化は無理だろ。

そもそもロボットは魔石を持ってないし。


という俺の意見に対し、さやかのアイディアは、以下だった。


 ・すべてのロボットはプロセッサーとプログラムで制御されている。

 ・プロセッサーを動かすためには電気的に高速でON/OFFする信号

  (クロック)が必要である。

 ・そのクロックを作り出すのが水晶発振器である。

 ・その水晶に魔力を込め魔石化し、さらにその水晶発振器が搭載されている

  プリント基板に、魔素吸収魔法陣を描けば、魔石化した水晶は自身で魔素を

  吸収し、常時魔石の状態を維持できるはず。

 ・魔石を有し。魔石のクロックで動作するロボットは魔獣に近い存在であり、

  従魔化できる可能性が高い。


いや、どんな頭脳を持っていれば、そんなとてつもないアイディアが出てくるんだ?

しかし面白そうだな。やってみる価値はある。


俺は早速色々試してみた。

まずは、プロセッサーが搭載された基盤を購入し、動作確認する。

その後、プロセッサー用クロックを生成する水晶発振器を取り除く。

プリント基板の水晶発振器を取り除いた後に、レーザー刻印機で魔力保持の魔法陣を描く。

水晶発振器の中の水晶に魔力を注ぎ込み、魔石に変えた後、速やかに水晶発信機を元に戻す。


魔力保持には2個の魔石が必要なので、基板上に魔法陣を描いた魔石を接着しておく。


結果は……、うまくいかなかった。

どうやら、水晶発振器の中の水晶部分は非常に小さく、反面、プリント基板上に描いた魔法陣が大きすぎ、うまく連携できなかったようだ。


さやかが以前作った魔法陣シミュレーションを使って検証したところ、魔石単体で魔法を発動させようとした場合、魔石に魔法陣を直接描くか、直接描かない場合は魔法陣に魔石をぴったりくっつける必要がある。

そして直接描かない場合は魔法陣が魔石より大きいと、うまく魔法が発動できないようだった。


俺はしばらく検討した結果、半導体技術でシリコンウェハに極小の魔法陣を描き、その上に水晶を置く特別製の水晶発振器を考案してみた。


早速シミュレーションで検証したところ、うまく動作することが分かったので、要求仕様書をまとめて、半導体メーカー各社にi経済研究所の名前で製作を打診してみた。


魔法陣を半導体のウエハー上に記載することは難しくないが、それを作ることの意味が説明できないため、多くのメーカーに断られてしまった。

しかし、台湾のTEI(Taipey Eelectronics Indstry)という半導体メーカー一社だけが試作をOKしてくれた。


早速、ビデオ会議で打ち合わせをして、試作品を1ヵ月以内に作ってくれることになった。

制作費用は5000万円と、とてつもなく高額だったが、そのまま量産にも移行できるとのことで、依頼することにした。


その一か月の間に従魔させる機器を検討する。

産業用ロボットではプロセッサーが複数搭載されていてハードルが高そうだったので、ドローンを使ってみることにした。


そこで、高性能なドローンを購入し、直ぐに分解して中のコントロール基盤を引っ張り出す。


プロセッサーとそのクロック用の水晶発振器は直ぐに見つけられたので、発振周波数を調べて試作を依頼している半導体メーカーに試作で作る水晶発振器の発振周波数として連絡しておく。


◇◇◇


1ヶ月後、台湾の半導体メーカーから試作された魔法陣パターン付の水晶発振器が届いた。

早速魔力を水晶に注ぎ込み、魔石化する。

直後に半導体のパターンに書き込まれた魔法陣が動作を始めたことが感じられた。


魔石単体では魔法陣を有していても、魔素の吸収ができないことが分かっているので、魔素吸収魔法陣を書き込んだ小型の魔石も準備する。


ドローンから取り出した制御基板の元々の水晶発振器を取り除き、魔石水晶発振器を代わりに取り付ける。

魔石水晶発振器の近くにもう一つの魔石も接着する。

ドローンの中に制御基板を戻し、とりあえずは動作確認。


リモコンを使って飛ばしてみても、特に異常はない。

ドローンを呼び戻すとテーブルの上に置いて、さやかに話しかける。


「さやかが発案者だから、さやかがまずドローンを従魔化してみて」


「うん、やってみるね」


さやかはドローンに手をかざすと、従魔魔法を掛けた。


一瞬、ドローンが光ったように見えた。

どうやら従魔魔法は無事ドローンに掛けられたようだ。

さやかがリモコンを使わずに、従魔魔法だけでドローンの制御に挑戦する。


最初は戸惑っていたが、直ぐに自在にコントロールできるようになった。


「これは慣れるとリモコンより全然コントロールが楽ね。カメラとの視界共有もできるわ」


「そうなんだ、じゃあ、俺もサブマスターとして従魔にしてみよう」


従魔魔法は最初に契約した人がマスターになるが、あとからサブマスターとしてもう一名契約ができるのだ。

マスターとサブマスターが同時に命令した場合、マスターの命令が優先される。


早速俺も従魔登録して操縦してみた。

うん、これは楽だ。

視界共有もできるし、何より搭載カメラがズーム機能を有しているのもいいね。

しかも、写真や動画も同時にとれるし、言うことないな。


ひとしきりドローンを操縦していると、ピッピが飛んできて、ドローンを威嚇するようなそぶりを見せる。

ドローンを着陸させ、従魔魔法での意識をピッピと共有してみると、どうやらピッピは焼きもちを焼いているようだ。


「大丈夫だよ。ピッピでないとできないことも多いし、こいつは危険な場所へ行く時に活躍してもらうのさ」

といって慰める。


実際に、街中で監視するような場合、スズメが飛んでいても誰も気を留めないが、ドローンが飛んでいたらみんなの注目を受けるし、そもそも法律違反だ。

そういうわけで、今後もピッピには活躍してもらわないとね。


機械の従魔化は成功した。

プロセッサー内蔵の機械であれば、概ね従魔化できるだろう。

これからも色々試してみよう。


台湾の変動耐メーカーには、一般的に使われるであろう複数種類の発信周波数で、1000個単位での製造を依頼しておいた。

ドローンも何か役に立つ時が来るかもしれないので、10台ほど作成し、水晶発振器を魔石水晶発振器に交換してストレージに入れておく。


どのようなときに活躍させようかな?

大賢者はついに電子機器を従魔化できるようになりました。

実は、電子部品の一つ、水晶発振器を魔石化する技術を開発したことは、一つのターニングポイントとなります。

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