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55.大賢者、呪いの人形の秘密を解明する

呪いの人形を手にした俺たちは、人形が勝手に転移魔法を発動しないようにストレージに入れておく。京都観光もしたかったが、この人形をすぐにでも調べたかったので、京都市内の適当な空き地に転移魔法陣を描いて転移魔法で自宅に帰る。


まだ日も高かったので、早速人形を調べてみる。人形を詳しく調べてみると、やはり魔石が体の中に埋め込まれていた。さらに頭部にも別の魔石が埋め込まれていた。頭部の魔石からも弱いながら魔力が放出されていた。


人形を分解しようとしたが、物理結界が邪魔をしてうまくいかなかったので、人形に対し、結界破壊の魔法を掛けて物理結界を無効にしておく。


人形を分解していくと着物の中から紙が出てきて、何やら文字が書かれていた。あまりに達筆な文字だったので、全然読めない。しかし古文も学んでいたさやかはすらすら読めるようだ。そこにはこう書かれていた。


『いつかこの世が災厄に見舞われる前に、私と同じ力を有した人にこの石を見つけてもらえると願う。この魔石を解析すれば、多くのことが学べるだろう。願わくばこの魔石の秘密を使い、世界を破滅から救って欲しい。小林忠治 安政2年』


俺とさやかは文書を読み終わると顔を見合わせた。安政2年とは調べてみると西暦1852年だ。170年ほど前にこの文書は書かれたことになる。

この小林忠治という人物は魔力を有する人物だったと思うが、やはり転生者なのだろうか? 災厄とは俺が予知魔法で漠然と予感している災厄と同じものだろうか? 魔石の秘密とはなんだろう?


人形本体にはそれ以上はおかしな点は無かったので、俺たちは2つの魔石を取り出してそちらを調べることにした。


取り出して最初に気が付いたことは、2つの魔石どちらにもびっしりと魔法陣が描かれていたことだった。虫眼鏡か顕微鏡でないと細かな部分が見えないほど微細に書き込んである。


いくつかの魔法陣は見覚えのあるものだった。物理結界用、耐熱結界用、転移魔法陣、その他はよくわからない魔法陣だ。さやかも分からないみたいだ。それにしても、魔石に直接魔法陣を描くという発想は無かったな。


さやかが開発中だった魔法陣解析ソフトは、一応完成していたのでそれを使って解析を掛けることにした。

まずは顕微鏡を使って、魔石に描かれた魔法陣の画像をパソコン画像を取り込む。その後、さやかの作ったソフトで解析を行う。


パソコン上のシミュレーションで魔力を魔法陣に通し、魔法陣がどのような効果を出すのか解析する。いくつかの魔法陣は解析するまでに少し時間がかかったが、夜までにはすべての魔法陣の解析が完了した。


結果は驚くべきもので、元々分かっていた物理結界用、耐熱結界用、転移用の他に判明した魔法陣は以下だった。


 ・重力結界用:重力に対しそれを打ち消す結界を張る。

 ・対光結界用:可視光を含むすべての電磁波を反射する結界を張る。

 ・魔力吸収用:生体内ではなく周囲から魔素を吸収する。

 ・魔法陣自動発動:魔石に描かれた魔法陣を一定のタイミングで発動させる。

 ・予知魔法用:破壊されそうになった時にそれを予知して各種結界を動作させる

 ・水魔法用 :金を生成する魔法陣となっており、人形の周辺の金の生成用


特に魔法陣自動発動魔法陣に関してはまさに驚愕に値した。前世ではこのような発想は無かった。

もし前世でこのような魔法陣を作り出したら爵位が授与されたかもしれない。


魔力吸収魔法陣も驚きだった。”保有主が死んでしまったり、生体内から取り出された魔石は速やかに魔力を失っていく”というのが前世での常識だった。

それを魔法陣を魔石に直接描くことにより、魔石が自ら魔力を吸収できるとは思ってもいなかった。


ただし、魔石単体では魔法陣を描いてあっても魔力は吸収できず。近くにもう一つの魔法陣の描かれた魔石を並べないと魔力吸収はできないようだった。


物理結界や予知魔法の魔法陣は人形を守るために必要だったのだろう。


しかし、重力結界と対光結界に関しては、人形を守ることに関しては不要であり、なぜここに描かれているのか意味不明だった。

きっと何らかの意図があるのだろう。


予知魔法用魔法陣は物理的に衝撃が加わりそうなことを予知した場合に物理結界を張るトリガーとなるのだろう。

そしてこの魔法陣を考案した人は天才だということは容易に想像できた。


それにしても、さやかの作った『魔法陣解析ソフト』はすごいな。まだ製作途中とはいえ、ほぼ完全に未知の魔法陣を解析出来ている。 これで新しい魔法陣の生成まで出来るようになったらマジですごいわ。


さやかも魔石に直接魔法陣を描きこむ手法に感銘を受け、新たな装置を要望してきた。

その装置とはレーザー刻印機。

その中でも最新式のガラス面や曲面でも印字できる装置を要望してきた。


レーザー刻印機は非常に高額だったが、魔石にあれほど細かな魔法陣を描くのに手書きではとてつもなく手間暇がかかるだろう。

いや、不可能かもしれない。

会社の資産も十分あったので、俺は会社経費でレーザー印字装置を購入した。


数日後、印字装置が届くと、さやかは早速パソコンと接続し、魔力を込めて魔石にしておいた水晶玉の表面に魔法陣を描いて色々テストを始めた。

何度か試行錯誤の末、うまくいったみたいだった。


「見て。転移魔法陣を描いた魔石を作ったの。これを3個以上を地面に置くと、魔石に囲まれた部分が転移魔法陣と同じ動きになるのよ」


そう言ってさやかは庭の端に魔石を3個、三角形の配置で置いて、庭の真ん中にある魔法陣に移動するデモを実演して見せた。


「なるほど、たしかにすごいが、魔石は使い捨てに近くなっちゃうし、普通に魔法陣を描いたほうが良くない?」


「たしかにそうだけど、魔石を三つ地面に転がして転移魔法を発動させるだけで移動できちゃうんだよ。緊急時に使えない?」


そう言われればそうだな。例えばどこかで津波に襲われたとき、迫りくる津波を前にのんびり魔法陣なんか描いてられないもんな。


「そうだな、緊急用にいくつか作ってそれぞれのストレージに入れておこう」


さやかに10個の転移魔法陣付き魔石を作ってもらい、それぞれのストレージ内に入れておく。


「さて、お人形の秘密も分かったし……、まだまだ魔石の謎は多いが、お人形はどうする?」


「そうね、近くの神社に持って行って供養してもらいましょうか?」


「そうだな。小林さんも俺たちで供養してもらえると助かるようなことも言っていたしな」


俺たちは近くの神社に行き、奉納代を支払って供養してもらった。そしてその旨を小林夫人に伝えたところ、とても喜んでいた。平気そうな態度だったけど、やっぱり怖かったんだろうな。

主人公は呪いの人形の秘密を解明しました。

大昔に異世界から転生した人がいたんですね。

この人形との出会いで、魔石を使っての科学技術と魔法の融合が加速します。

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