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42.大賢者、融資を検討する

帰りは米国ヒューストン経由で30時間もかけて成田に戻る。

そこからさらに東京経由で新幹線でようやく我が家に帰りつく。疲れた……。

しかしまあ、これで6大陸の内、南極以外は魔法陣が作れたな。


ここ1週間の内に、さやかは魔法陣解析ソフトを概ね完成させていた。

さすがだな。


現在は既知の魔法陣のパターンを詳細に解析しているとのこと。

前世では魔法陣は遥か昔に考案されてから、近年はほとんど新しい魔法陣は開発されていなかった。

21世紀の地球ではコンピュータがあるからな。新たな魔法陣が開発できると良いな。


会社の方の投資は順調だった。信用取引に全面的に移行したので、日経平均が大きく値上がった時も、大きく下がった時も、両方で大きな利益を上げることができるようになっており、ついに会社保有資産は10億円を超えたとのこと。

そして、会社のホームページを見て、融資の依頼が何件か来ているみたいだった。


俺は帰国翌日の朝会議の定例の株投資方針すり合わせのあと、融資依頼の案件に関して報告を聞くことにした。こちらに関しては新しくメンバーに加わった恵さんが大谷先輩と共に取りまとめてくれることになった。


「では、新興企業の、いえ、新興企業以外もありますが、融資依頼案件に関して報告します」


と恵さんが話始める。


「ここ1ヵ月で10件を超える融資希望の依頼があり、大谷先輩を中心に内容精査しました。融資に値する案件を3件に絞っています」


恵は資料を画面に表示して詳細の説明に入った。


「1件目は、六ツ木シェア自動車、という新興会社です。電気自動車のカーシェアを展開しようとしており、安価な中国製の電気自動車と太陽光発電事業所を組み合わせてのシステム案は将来性がありそうです」


「2件目は、ラ・トレル社で、企業内のVPNネット回線の構築をAIで全自動で行い、メンテナンスもAIで自動的に行い、システムエンジニアの工数を大幅に削減できるシステムの開発をしています」


「3件目は、スペーススコープX社です。宇宙望遠鏡システムのメーカーで、口径1m程度の小型の宇宙望遠鏡をH2ロケットや、他国の民間ロケット会社のロケットで打ち上げて、全世界の天文台や大学などの研究機関に宇宙望遠鏡の時間貸しを行い、利益を出そうとしている会社です」


その後、各会社の詳細の説明が行われ、大谷先輩、岩崎先輩、近藤先輩、さやかで融資をすべきか否かの議論した。

最終的にトップの俺が最終ジャッジをするのだが、俺は事前にこれら新興企業の会社のホームページや資料を使って、予知魔法で将来性を確認していた。

なので俺の最終ジャッジは間違うはずはないのだ。


俺は最終ジャッジを下した。


「では、今回は2番目のラ・トレル社と3番目のスペーススコープX社とコンタクトを取り、融資面談を進めることとします。私が別途アポイントメントをとり、面談時間と場所を決めたいと思います」


そう恵さんが締めくくって、会議を終えた。


◇◇◇

その後、恵さんが融資候補の両社に連絡を取り、3日後にはネット回線のAI化システム企業のラ・トレル社との打ち合わせが設定された。事前に詳細な事業計画のレポートを受け取る。


会社としての資産は1億5千万円を超えていたので、ある程度の融資は可能だし、俺の個人の資産も(会社と同時に個人的にも株取引で利益を得ていたので)2億を超えていたので、それなりに融資は可能だろう。


俺たちは事前にレポートを確認し、皆で打合せをして融資の方針を決ることにした。

夏休み中だったので、今回もビデオ会議で打合せする。


「事業計画のレポートを見る限りは、将来性があり融資には問題無いかと思う。皆さんのご意見もお伺いしたい」


俺が会議の口火を切る


「うん、俺もレポート事態には問題は無いと思う。不安があるとしたら、ネット回線制御のAIの完成度だな。レポートでは勇ましいことが書いてあるが、実際の運用でバグだらけで不具合が続出したらこんな会社すぐにつぶれてしまうぞ」


と大谷先輩。


「私もそれに同意する。事業計画はトラブルはほとんど発生しない前提となっているけど、実際にはそんな甘いものではないかと思う」


「それに関しては俺に一つのアイディアがあるんだ。融資の条件として、さやかを開発に参加させようと思う。さやかの作った株予想ソフト,大国主AIの性能を見れば、彼女がいかに優秀なソフトウェア開発者かは皆なら分かると思う」


「それは認めるけど、さやかさんを何か月も、下手をすると何年もその会社に派遣する形になっちゃうかもだけど良いの? 学校だってあるんだし」


岩崎先輩が心配してこう言ってくれた。


「それは大丈夫。そんなに長期の派遣はしない。1ヵ月で済むと思う。皆さんは知らなかったと思うけど、大国主AIをさやかは1ヵ月で開発したんですよ」


「えっ! マジか? そんなことが可能なのか? やっぱり彼女は天才なんだな」


まあ、さやかが天才なのは俺も認める。強化魔法は俺の方がレベルが高いが、コンピューターソフトの開発能力はさやかの方が何倍も上だ。

強化魔法を知力に使っての作業だと思うが、それにしてもすさまじい能力だと思う。


「さやかの了解も得ているので、この方針で進めようと思う」


「「了解」」


「それと、相手側には我々の年齢は伏せておいた方がいいね。そんでもってメイクや服装で、もう少し年上にみられるようにしよう」


と大谷先輩。


「なるほど、融資元が全員未成年じゃ信用されないですもんね。了解。では当日のビデオ会議では全員スーツ着用で、メイクでなるべく年上に見れるようにしてください」


「わかったわ」


「あ、でも、俺もさやかもメイク道具全然持ってないわ。岩崎先輩、当日メイクお願いしても?」


「まっかせなさい。じゃあ当日は会議の1時間前にそっちへ行くわ。メイク道具は今日買ってくるけど、会社の経費で落としてよね」


こうして事前会議は終了した。


そして打合せ当日。


俺たちはラ・トレル社の最高責任者(CEO)や役員、開発責任者とビデオ会議で打合せを開始する。

俺とさやかは事前に岩崎先輩にメイクしてもらい、ちょっと大人っぽくなった……、気がする。


岩崎先輩も大人びたメイクと髪型で、スーツ姿は女子大生ぐらいに見える。

会議はラ・トレル社のCEOからの会社概要説明から始まる。

次に事業計画について説明がある。

その後、融資額とその条件についての要望が提示された。


融資希望額は10億円。その見返りにラ・トレル社の未公開株の49%をi経済研究所に譲渡する。要するに、未公開株の49%を10億円で買ってくれ、ってことだ。

俺は事前に準備した内容で回答する。


「融資条件は理解しました。一つ条件を飲んでもらえれば融資可能です」


「その条件とは?」


「我が社のプログラム担当である、佐藤さやかを貴社に派遣させてもらい、システムの開発と評価に参加させていただきたい。期間は1ヵ月以内で、特に給与などは不要です」

相手側参加者は一旦通話をミュートにして、向こう側で話し合っているようだ。


「参加しても開発中のシステムの理解だけで1ヵ月以上は掛かると思うし、秘密保持に懸念があり、直ぐに承諾はできない」


「彼女は非常に優秀なプログラマーであり、システム理解は短期間で可能です。また貴社と秘密保持契約の締結も実施します」


「分かりました。ではその条件で融資をお願いしたいと思います」


「あともう一点提案があります。貴社の事業計画では、来月から新規顧客開拓を行うとのことですが、当方でこの業界に精通している強力な営業マンに心当たりがあります。もしよろしければご紹介しますがいかがでしょうか?」


「それは、ぜひご紹介いただきたい。採用するかどうかは面接後に決定となると思いますが」


実は、ラ・トレル社の事業内容は、父親が経営していた会社の内容と概ね同じであり、ライバル会社と言える。

ラ・トレル社は後発だが、その分システムは洗練されており、売り方次第では大化けすると考えられる。

俺がこの会社への融資を優先したのにはもう一つ理由がこれだった。


父親の会社には何度か遊びに行ったり、社員達も我が家を何度も訪問しており、その会社の営業第一人者で俺の父親の片腕とも言われた人とは面識があった。


会社が乗っ取られた後は彼は閑職に回され、冷遇されていることは以前の興信所での調査で分かっている。先日電話で彼と話をしてみたが、転職先を探しているようなことも言っていた。


彼は父親の右腕ともいわれていた人物だったので、是非彼を引き抜きたかった。


概ね条件がまとまったので、詳細は後日税理士を交えてということで会議は終了した。

主人公が起業した会社はいよいよベンチャー企業への融資を開始しました。

予知魔法で失敗しない融資なので安心ですね。

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