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41.大賢者、飛行機事故を避ける

ケープタウン国際空港から南米はチリのサンティアゴ行きの飛行機に乗り込む。

エアバス社のA300という機体だったが、全体的に古く乗り心地は悪そうだ。

ブエノスアイレス経由でのフライトとなるが、このフライトも時間がかかりそうでうんざりする。


念のため予知魔法で今回のフライトを予知してみると、とんでもないことが分かる。

南太平洋のど真ん中で右主翼エンジンが爆発し、もげてしまう。

その影響で翼にもダメージが出て旅客機は錐もみ状態で高度12000mから真っ逆さまに南太平洋に墜落する。


おいおい、冗談じゃないぜ。強盗騒ぎの次は墜落事故かよ。

俺はどうしようか考えをまとめる。


この場で、俺だけ搭乗を中止し降りてもいいのだが、墜落した飛行機に俺が何か細工をしたと疑われても嫌だし、何よりここで搭乗を待っている人々を見捨てるのも後味が悪い。


どうせ壊れるエンジンなら、離陸前に壊してしまえばいいんじゃね? 

そう考えた俺は、ピッピに協力を求めジェット機のエンジンに放り込む何か手ごろな物がないか探してもらう。(まあ視界共有で探すのは俺なんだが)


整備場の片隅に金属のパイプが転がっていたので、これを使うことにする。ピッピに身体強化魔法を遠隔でかけて、長さ1mもあるパイプを掴んで滑走路まで運ばせる。あとはその場で待機。


やがて搭乗時間になり、乗客が飛行機に乗り込む。

おいおい、ほぼ満席じゃん。俺がたまたまこのフライトを選ばなかったらここにいる全員が死んじゃうのか?


そんなことを考えているといよいよ離陸の時間となった。エンジン音が大きくなり、ブレーキを解除して滑走路を走りだす。

飛行機が滑走路脇で待機していたピッピのそばに近づいたとき、ピッピがが鉄パイプを掴んだまま飛び上がり、タイミングを見計らって右側のエンジンの中に金属パイプを放り込む。


離陸前のほぼ最大出力のエンジンに金属製の異物が放り込まれたのだからたまらない。

大きな破壊音と共に右側エンジンはファンのブレードが破壊され、破壊されたブレードと金属パイプがさらに中に吸い込まれ、タービンブレードまで破壊され爆発音と共に黒煙を上げてエンジンが停止した。


突然の破壊音と爆発音で機内はパニックになったが、まだそれほど速度が出ていなかったこともあり、飛行機は離陸を中断して停止し、乗客はすぐに平静さを取り戻した。


エンジンから黒煙が上がっているので、緊急脱出となり、乗客は燃えているエンジンの逆側の出入り口から次々に避難させられる。


当然のことだが、このフライトはキャンセルとなり俺たちは歩いて空港内に戻ることになった。

乗客達は口々に文句を言っていたが、南太平洋上で死んじゃうよりは良かったってことで我慢してね。


結局代わりのフライトがその日は確保できず、翌日にようやく別の機で旅を続けることができた。


◇◇◇


ブエノスアイレス経由で24時以上かけてようやくサンティアゴに到着した。

疲れた。

南アメリカだったらどこでも良かったんだから、ブエノスアイレスにしておけばもう少し近くて良かったかな?

そんなことを考えながらタクシーでホテルに向かう。今回は何事もなく到着できた。


ホテルで一休みした後、魔法陣を描く場所を探すのと、魔力を持つ人物のサーチのためホテル周辺を散策することにした。


それにしてもなんで俺が海外に行くとトラブルに色々巻き込まれるんだろう?

やはり未成年の一人旅ってのは格好の標的かもしれない。

(飛行機トラブルは年齢は関係ないけど。)


トラブルに巻き込まれやすいなら逆にトラブルを引き寄せて撃退する方が気が楽かもしれないな。

そう考えた俺は、トラブルにあえて巻き込まれる戦法を取ることにした。


ネットでサンティアゴでの治安の悪い場所を確認し、旅行時のNG行動を確認。

あえて治安の悪い場所に、旅行客のNG行為を思いっきり実行してみることにした。


具体的には、

 ・カメラと観光案内のパンフを手に持ち観光客だとアピールした状態で移動。

 ・ひったくられやすそうな大きさのショルダーバックを肩に掛ける。

 ・バックの口から、外から見えるように財布やパスポートを覗かせる。

 ・タクシーを使わずに徒歩でうろつく。

 ・治安が悪いと注意記載されている地区を敢えてうろつく。

 ・日本の国旗が印刷されたシャツを着て、日本人だとアピールする。

 ・買い物をする時に、札束が詰まった財布をわざと目立つように見せる。

 ・スマートホンを片手に持ってうろつく


いつ襲われるか分からない状態でうろつくより、あえて襲われやすい状態でうろつくことにより、敵を呼び寄せて狩りを楽にする囮作戦だ。

前世では魔獣を狩るのに何度か似たような戦法を使ったな。


まあここまでやれば必ず強盗に襲われると思うから、返り討ちにしてやるぜ。


魔法陣を描く場所も直ぐに見つかり、魔法陣も無事に描き上げた。

あとは魔力探知しながら夕暮れ迫ったサンティアゴの街の治安が悪いといわれる地区周辺を徒歩で歩き回る。


が、しかし、日も暮れて夜になっても全然襲われたりトラブルに巻き込まれたりしない。

なんで? 気を付けて行動すると襲われたりするのに、ここまで『襲ってね』って感じで無防備に歩いているのに、なぜか襲われない。

あまりに露骨で却って警戒されたかな?


何度かこちらの様子を窺うような奴は居たが、結局夜遅い時間になるまでうろついても襲われることもなく、ちょっとがっかりしながらホテルに戻った。


一休みした後、ホテルのラウンジでコーヒーを飲んでいると、フロントの方からなにやら騒ぎが聞こえてきた。様子をうかがってみると、日本人らしき男性がフロントと何やらやり取りをしている。

おせっかいかと思ったが、近づいて声をかけてみる。


「あの、どうかしましたか?」


「ん? おぉ、日本の方ですか? 実はホテルに来るまでにバックを置き引きにあってしまって、パスポートは何とかポケットに入れていたから無事だったんだけど、お金とクレジットカードと携帯電話も無くなってしまい、困ってるんだ。なんとか予約していたこのホテルまでたどり着いたんだけど、お金もカードも無いので宿泊を拒否されてしまってね」


男性は本当に困った様子で話をしてきた。

ふむ、困ったときはお互い様だな。ちょっと一肌脱いでやるか。


「もしよろしければ僕がホテル代など一時的に立て替えておきましょうか?」


「いやいや、君はまだ高校生みたいだし、それはできないよ」


「大丈夫ですよ。後でお返ししていただければ」


「いや、しかしだな」


「もう夜ですし、日本大使館も閉まっているかと思いますし、なにより夜外を歩くのは危険ですよ」


「そうか、申し訳ないが、建て替えをお願いできないだろうか?」


「分かりました」


そう言って俺はホテルのフロントの人と交渉して、彼の宿泊代を俺のカードで支払うことにした。


「ありがとう。本当に助かったよ。日本に帰ったら必ず返すから」


「いえいえ、困ったときはお互い様ですよ」


そう言って連絡先を交換することになり、俺は会社の名刺を出した。


「えっ? 代表取締役? 君社長なの?」


「はい、まあ立ち上げたばかりの会社ですけどね。あ、高校にもちゃんと通ってます」


「そうかすごいな。私は加藤正樹って言うんだ」


そう言って名刺を出してきた。名刺には『国立天文台職員』の文字が。


「おぉ! 天文学者さんですか?チリには何をしに?」


「学者ってほどでもないけどね。チリにはアルマ望遠鏡っていう電波干渉計があるんだけど、そちらに新しい装置を設置するために来たんだ。今日はここサンティアゴで一泊し、明日現地近くの空港まで移動する予定なんだけどね」


「すごいですね。明日以降の移動は大丈夫なんでしょうか?」


「うん、明日は現地のスタッフと合流する予定なので大丈夫だ」


そんな話をして、日本に加藤氏が戻ったらお金を返却することで話はまとまった。

夜も更けてきたので、明日は朝食を一緒にとることにして、それぞれの部屋に戻ることになった。


翌朝、加藤氏とホテル内のレストランで落ち合い、朝食を共にする。食事しながら電波干渉計についてや、天文学について色々お話ができた。

ほどなくして、現地のスタッフが加藤氏を迎えに来たので、『後日日本でお会いしましょう』と約束して別れた。


さて、日本に帰りますか。魔法陣を使えば一瞬で帰れるのに、パスポートへの出国と帰国記録を付けるために長々飛行機に乗るのがマジで勘弁してほしいわ。


主人公はわざと飛行機のエンジンをぶっ壊して、多くの人の命を救いましたね。

しかしまさか強盗にわざと襲われやすいように治安の悪いところをうろつくとはね。


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