3.大賢者、空間魔法を練習する
翌日。
俺は学校では孤立し、いじめの対象にされていたが、成績は比較的優秀だったはずだ。
前世は大賢者だったんだから、その素質もありこの世界でも成績が優秀だったんだろうか? あれ? 関係ないか?
宿題はなるべく早くやってしまわないと気が済まない性格なので、魔法の練習より先に、夏休みの宿題をやってしまおう。
試しに強化魔法を知力に対し使ってみる。
その状態で宿題をやってみると、捗る捗る。
午後には宿題は全て終わってしまった。
時間がかかるかと思った図画も、水彩絵の具で10分もしないうちに、庭の木々を描き上げることができた。
こりゃ魔法を使えば受験勉強も楽勝だな。(カンニング的な意味ではなく)
さて、夏休みの宿題も全部片づけたし、まずは最も重要と思われる空間魔法から練習するか。
空間魔法で実現できることは複数ある。
①収納魔法
要するにネコ型ロボットのポケット的な魔法で、何もない空間に物が収納できる。
収容中は収容物に対し時間が停止する。
Lvが多くなればなるほど多くの物を収納できる。
魔布と呼ばれる魔法を付加した布に包めば生物も収納可能。
②転移魔法
目的の場所に魔法陣を描いておくと、そこに瞬間移動ができる。
移動元にも転移魔法陣が必要。
Lvが多くなれば移動させられる質量が大きくなる。
まずはアイテムボックスに物の出し入れの練習を繰り返す。
最初は文庫本程度しか収納できなかったが、練習したら大型スーツケース程度の容量になった。
まあ、最初はこんなもんで良いか?
次に転移魔法だ。
庭で移動練習するが、最初はうまく魔法が発動できず、移動できなかったが、これも練習で庭の端から端まで30mほどだが転移魔法陣間を移動できるようになった。
さらに近くの河川敷まで出かけて行って、木の棒を使い広場の土に転移の魔法陣を描く。
その河川敷の魔法陣から家の庭まで転移できるか試してみた。
庭での練習と違い、移動先が目視できなかったため、しばらくは魔法が発動できなかったが、意識を集中していると急に魔力が体を突き抜ける感覚と共に転移できた。
よし、いいぞ。自転車を河川敷に置いてきてしまったので、再度庭から河川敷に転移する。
夕暮れが迫っていたが、まだ河川敷に子供やジョギングしている人がちらほらいる中に転移してしまい焦った。
幸いにも誰にも転移に気が付かれなかったみたいで良かった。
以後転移する時と魔法陣を描く場所には気を付けよう。
周囲を見回し、誰もこちらを見ていないことを確認して、自転車と一緒に家の庭に再度転移をする。
荷物(自転車)と共に転移できることも確認できた。
庭の魔法陣は今後もしょっちゅう使うだろうから、土魔法を使って強固なものにしておく。
まずは土を直径5mの円形に30cmほど掘り下げ、底を平らにしてからガラス化する。
平らにし、ガラス化した地面に、同じく土魔法で魔法陣を描いておく。
その後、魔法陣が見えないように土を元に戻しておく。
転移魔法の練習だったが、ついでに土魔法も練習できてしまったな。
こうして練習を重ねていたが、魔力切れ寸前になってしまったため、今日はここまでにしておく。
ステータスを確認してみる。
名前:イモト シロウ(転生者)
性別:男
年齢:14
魔力:20/210
魔法:
・空間魔法:Lv2
・予知魔法:Lv1
・探知魔法:Lv1
・回復魔法:Lv1
・強化魔法:Lv1
・土魔法 :Lv2
・水魔法 :Lv1
・攻撃魔法:Lv1
・従魔魔法:Lv-
ふむ、空間魔法と土魔法がLv2になり、魔力の最大値が少し増えたな。
◇◇◇
翌日も朝から空間魔法を練習しする。
午前中の練習で、ストレージ魔法は大型スーツケース3つ分ぐらいの収容力を得た。
転移魔法は、50Kg位の荷物と共に移動ができた。
そして空間魔法をLv3までレベル上げることができた。
空間魔法は一旦この辺にして、次は何にするか?
色々考えたが、不慮の事故や事件に巻き込まれて大けがしたり、死んでしまったら元も子もないので強化魔法を練習することにした。
強化魔法は以下の魔法が使える。
・体力強化:
魔法の無い人より何倍もの体力を得ることが出来る。
(その分魔力を消費する)
・身体強化:
物理的に体を強化できる。Lv1では殴られても平気、上位になると至近距離
から剣で刺されても平気になる。
・知力強化:
一時的に判断能力の向上が可能。
記憶能力も向上し、記憶は知力強化魔法の発動を停止しても残る。
(要するに勉強に非常に向いている魔法だ)
午後から早速強化魔法の鍛錬を実施する。
魔法の流れを意識しながら身体強化をしてみる。
身体強化はできたので、試しに庭の木に向かい頭をぶつけてみる。
よしよし、全然痛くないぞ。
拳で木を殴ってみる。 これも全然痛さを感じないし、手に傷がつくこともない。
強めに木を殴ってみると、ボコン、と音がして、木が大きく揺らいだ。
しかし、痛くもないしケガもない。
よしよし、いい感じだ。
しかし、相手が居ないと対人相手にどのぐらい強いのかわからないなぁ。
自分で自分を殴るわけにもいかないし、この世界の対人でどのぐらい攻撃力があるのかもわからない。
前世では、対人対戦では相手も必ず強化魔法をかけているので、互角の戦いになることが多かった。
強化魔法の鍛錬には対人での戦いか、弱めの魔獣との戦いが最も効果的だった。
何かいい方法が無いかなぁ。
主人公はだんだん使える魔法が増えていきます。
これからどうなるのでしょうか?
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