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130.世界の変貌

アバドン撃退から10年が過ぎた。


魔法技術の浸透と、メーティスの一般化により世界は大きく様変わりしていった。

第三次産業革命とか、魔法産業革命とか言われ、世界経済は強烈な好景気に沸いていた。


転移魔法による瞬間移動が常態化して、観光産業や物流産業は様変わりした。

今までの海外旅行のネックの一つに、飛行機による長い移動時間とその料金があったが、今では全世界の国々に瞬時に移動できた。

日本ではハワイへの日帰り旅行や、中国日帰り買い物ツアーなどが人気だった。


当初は旅行客のみだった転移魔法による移動は、貨物についても利用され、物流に革命が起きていた。ある大手通販サイトなどは、自社の物流センターに専用の転移魔法陣を設置し、全世界に対して翌日着荷を表明していた。(例外地域あり)


メーティスの存在も社会を変える原動力となっていた。

一般個人はもとより、企業活動や政治活動でもメーティスの存在は大きくなっていった。


企業間の契約や商取引、政治上の駆け引き、各国間の外交などもメーティスを介在させることが常識になっていた。

各国間の懸案事項も、メーティスの助言で調整されることも多くなっていき、地域紛争は大幅に減っていったのである。


予知魔法による過去の映像化機能により、犯罪は激減した。特に凶悪犯罪については予知魔法による捜査が必ず実施されることになり、予知魔法を使った場合の検挙率はほぼ100%となり、犯罪が割に合わなくなったのである。


人類の宇宙進出も目覚ましいものがあった。重力結界による宇宙艀により、宇宙船の打ち上げ費用が劇的に安価に安全になったことで、宇宙進出が加速。


既に月と火星には恒久的な基地が完成し、人気の観光地となっており、年間10万人が観光に訪れていた


地球軌道上には巨大な人工衛星が存在しており、そこのホテルに滞在したり、外惑星観光へのハブ宇宙駅としても機能していた。木星や土星への観光ツアーも人気で、これらの惑星の衛星軌道上には衛星ホテルが設置されていた。


海王星の衛星軌道上には今後本格的な恒星間飛行を行うための基地が建設され始めていた。

まだ研究段階ではあるが、転移魔法をうまく使うことで、光の速度を超える飛行が可能となることが判明し、試作の宇宙船が建造中であった。


光速を超える宇宙船でも、恒星間飛行は往復数年が掛かるが、ストレージ魔法により移動中は乗組員をストレージ内に収めることにより、乗組員の負荷を最小限とした深宇宙への探査が可能となると予想され、研究が進められていた。

しかも一度太陽系外の恒星系へ宇宙船を送り込んでおけば、そこに転移魔法石を設置すれば、恒星間の転移が可能となり、太陽系外の星へも瞬時に移動できると予想されていた。


医療の分野も大きく変わった。

怪我や生活習慣病の治療はハイポーションやエリクサーで行われることが主流となっていた。


半面、ガンやウイルスや病原菌による病気は旧態依然のままだった。

これらの病気時にエリクサーを服用しても、人間の身体は修復され活性化されるが、同時に癌細胞や病原菌も活性化されるため、これらの原因の病気では効果が出ないどころか、返って悪化する場合もあったのだ。


そこで人間の身体には効果があるが、癌細胞や病原菌は活性化しないハイポーションやエリクサーができないか研究が続けられている。


そして、最も大きな変化は地球政府の樹立への動きだった。


これは、以前俺の結婚式での各国の代表との会談で、個別の要望を聞くのがめんどくさかったので、地球政府の樹立について熱く語った(様に見せかけた)のがトリガーになり、各国政府や国連が実現に向かって検討を開始したからである。

各国政府関係者だけでなく、経済人や評論家、マスコミまで巻き込んで大論争となった。


論争が白熱化し、地球政府の樹立が加速したのはメーティスの関与もあった。

メーティスは俺の”地球政府樹立”の話を真に受けて、これが俺の真意と解釈し、さりげなく人々に訴えかけたり、助言を求められたときは地球政府樹立の方向に誘導していったのだ。


メーティスによる世論や人々への意識の変化に対する影響力は絶大で、結果として地球政府の樹立の方向に世界各国が大きく舵を切ったのである。


俺の結婚式の時の”地球政府樹立”って意見は、各国の代表の陳情を退けるための思い付きだったんだけど、まさかメーティスを含め、世界中が真に受けるとは……。


なんかますます忙しくなりそうな嫌な予感がするんだが……。

主人公の思い付きの一言から、世界政府樹立に向かい大きく舵が切られましたね。

主人公はますます忙しくなるような……

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