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11.大賢者、ピッピを訓練する

翌日もいい天気だった。暑いな。

ピッピおはよう。


今朝もピッピはご飯をいっぱい食べて、見た目は成鳥したスズメと変わらないまでになった。


庭に出してみると元気いっぱい飛ぶこともできている。

俺が呼ぶと嬉しそうに戻ってくる。


掌でピッピを包んで俺から魔力を注いでピッピとのつながりを深める。

よし、やった。 従魔法の重要な利点である視界共有ができた。

視界共有はピッピの視界を文字通り念話能力で共有することができる。


試しに遠くまで飛んで行ってもらうが、1Km離れたところからでも視界の共有ができた。

まあこの世界のドローンみたいなもんだな。


1Km離れたところからでも意思の疎通もできて、『戻ってこい』と命令するとすぐに戻ってきた。


ピッピのステータスを確認してみる。


名前:ピッピ

性別:女

年齢:0


魔力:15/15


魔法:

 ・空間魔法:-

 ・予知魔法:Lv1

 ・探知魔法:-

 ・回復魔法:-

 ・強化魔法:Lv1

 ・土魔法 :-

 ・水魔法 :-

 ・攻撃魔法:Lv1

 ・従魔魔法:Lv-


この体にしては魔力はあるな。

いつの間にか攻撃魔法まで出来るようになっていた。


早速ピッピの訓練だ。


ピッピを掌で包んだ状態で、俺が強化魔法で身体強化して見せる。

ピッピはすぐに理解したみたいで俺の真似をして身体強化を発動できた。


よし、Lv1だがこれで少なくとも鳥類の中では敵無しのはずだ。


さすがに散弾銃で撃たれたら死んじゃうけど。街中で散弾銃でスズメを打つやつもいないので大丈夫だろう。

猫に襲われたら……互角かな?


次に攻撃魔法の訓練をしてみる。

ピッピを左掌に載せて魔力を加えながら、右手でファイアーボールでの攻撃を見せる。


ピッピはすぐに覚え、くちばしから火の玉を出して飛ばすことができた。

線香花火みたいな小さな火の玉で飛距離もそれほどではないが、訓練すれは強くなるだろう。

敵をやっつけることは難しそうだが、怯ませることぐらいはできるだろう。


「ピッ!」


ファイヤーボールを飛ばしたピッピは『どう?』と言わんばかりに俺を見上げた。かわいい!!


ピッピをつれて河川敷の公園まで行って訓練再開。

飛び方もどんどんうまくなり、視界共有も鮮明になってきた。

視界共有で上空から河川を眺めていると、川の中で人影が見える。


あれ? あれっておぼれてる?

念話でピッピにお願いして高度を下げてもらう。


あー、ガチで誰かがおぼれているね。

慌てて身体強化を掛けて川に向って走る。


途中で落ちていた2リットルのペットボトルを拾い川に駆けつける。

おぼれているのは子供の様だ。ペットボトルを子供に向かって投げる。

身体強化で投げたのでばっちり届いた。


子供はペットボトルにつかまって一息付けたようだ。

川に入って子供に向かい、引っ張って岸にあげてやる。

遠くから親と思われる大人が走ってくるのが見える。

あー、目立ちたくないな。


俺は慌てて川から上がり、走ってその場から立ち去った。

彼らから姿が見えなくなった所で、ピッピの視界を使って様子をうかがってみる。

うん、溺れていた女の子は大丈夫そうだ。


親と思われる大人の人が、キョロキョロしているのは助けた人を探しているんだろう。

目立ちたくないので速やかに公園から去ることにした。


危ない危ない、人助けして表彰されでもしたら目立ってしまうからな。

前世で処刑された反省から、とことん目立たないように活動したいよね。


服もびしょ濡れだったので、シャワーを浴びて着替えをして、ちょっとピッピと遊んでから今日はもう訓練は終わりにした。


◇◇◇

そんな感じでピッピの訓練や自分自身の訓練を続けながら、友人や親せきの人ともほとんど会わずに夏休みも終わりに近づいていた。


魔力:500/500


魔法:

 ・空間魔法:Lv3

 ・予知魔法:Lv3

 ・探知魔法:Lv3

 ・回復魔法:Lv3

 ・強化魔法:Lv3

 ・土魔法 :Lv3

 ・水魔法 :Lv3

 ・従魔魔法:Lv2


本来なら各魔法のレベルが3になるためには修行を10年は続けなければならないし、全属性のレベルを3まで上げるのは10年でも不可能だ。


Lv3の複数の魔力を有していれば宮廷でも上位クラスの魔法使いとして地位が約束されるほどの実力となる。


しかし俺の場合は前世で各属性でLv10の大賢者だったことを記憶しており、それを訓練で思い出す作業に近いため、ぐんぐんレベルが上がっていく。


このまま訓練を続ければ、中学卒業までにはLv5には上がるかな?


強化魔法での各レベルでの防御力に当てはめて換算するとだいたい以下のような感じになる。


 ・Lv1:普通の人間には負け知らず。自転車並みの速度で長時間走れる。

 ・Lv2:格闘技の達人クラスでも負けない。

 ・Lv3:格闘技の世界チャンピオンクラスでも負けない。

 ・Lv4:一般人の繰り出す剣や矢を身体に受けても跳ね返せる。

 ・Lv5:たぶん拳銃で撃たれても弾き返せる。(目とか口内とかは無理)


Lv3の今の状態でも十分チートだな。


従魔魔法も訓練を続けたのでLv3となり、視界共有だけでなく、意識のリンクまでできるようになった。


これは、ピッピの視界を共有するだけでなく、行動もこちらの意識通りにコントロールできることを意味する。


家のベッドに横になりながらピッピの視界と意識を共有して大空の散歩を楽しんだりも可能だ。


そうこうするうちに夏休みも残り2日となってしまった。今日は河川敷でピッピとの訓練を兼ねたお散歩をしている。


河川敷の公園を歩いていると突然3人組の男に声を掛けられた。


「おい、井本。夏休み前は1万円づつ3万円を持ってこいって言ったよな?

葬式とかでバックレやがって。明後日の新学期には金を持って来いよな」


「休み前にバックレた罰で一人2万円、合計6万持ってこい。遺産が手に入ったんだろ?」


ん?こいつら誰だ?


俺は記憶をたどっていく。賢者の100年の記憶が占めているので、井本史郎としての14年の記憶が隅に追いやられて、直近の記憶のはずなのにすぐに出てこない。


しばらく記憶をたどってこいつらは同じクラスの不良どもで、俺を一番いじめていた奴らだと思い出した。


名前は、玉置 孝宏、原田 康広、津山 卓矢だったな。


リーダー各は玉置だ。


そうそう、こうやって気の弱かった俺はここ1年程で60万円ぐらいむしり取られていたんだっけ。


逆らうと殴るけるの暴行を受けるので、いうことを聞くしかなかったんだよな。


担任の教師に相談しても、関わり合いになりたくないからか、


「生徒同士の金銭の貸し借りは禁止だぞ。貸したお前も校則違反だ」


といって取り合ってもらえなかったな。


今は圧倒的に俺の方が強いからこの場でボコボコにしてやることも可能なのだが、それじゃあこいつらと同じ人種になっちゃうしな。どうしようか?


そんなことを考えていると、俺が反応しないからか奴らはイライラしたらしく、


「なにぼーっとしてるんだよ。返事しろよ」


と思いっきり腹をパンチしてきた。


反射的に身体強化を発動したので、俺の腹はノーダメージだ。


しかし殴ったやつはまるで固い板壁を思いっきり殴ったように感じただろう。


「いてぇ」


と大げさに拳をさすりながら座り込む。


よし、逃げるが勝ちだな、とばかりに脱兎のごとく逃げ出す。


「あっ、おいコラ待てよ」


と追いかけてきたが、身体強化している俺に追いつくわけもなくまんまと振り切ってしまう。


やれやれ、これじゃあ新学期が思いやられるな。


不良どもが現れましたね。

もう少ししたら、不良どもは”ざまあ”されるはずです。

励みになりますので、面白いと思った方、ブックマーク、ポイントをつけていただけると嬉しいです。

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