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113.世界正常化

ここから第三章です。

大災厄を回避した世界ですが、魔法が実に便利で一般化が可能だとバレてしまったので、世界が主人公を放っておきません。

主人公はその気はなくても、世界をどんどん変えていきます。

そしてその先に何が待っているのでしょうか?

ヘスティアー計画は成功裏に完了したが、並行して進められていたシェルターの建設と、シェルターへの人々の移動はすべて無駄になってしまった。


各国政府は、選ばれなかった人々がシェルターへ押しかけてくることや、各地でのパニックからくる暴動を懸念して、軍隊を動員するなどの大掛かりな対策を実施していたが、結局特に問題は発生しなかった。


SNSで人々の不安を煽ろうとする書き込みは非常に多かったが、そのほとんどに誰も注目しなかったことにも一因がある。

これはメーティスが秘密裏にSNSの書き込みを隔離していたからであった。


SNSに不安を煽る書き込みをした人からすると、書いても書いても全く世間から注目を浴び無い様に感じたはずだ。

一般の人からは、その書き込みは見えないようにメーティスが操作したので、SNS上で流言飛語が飛び交うことはほとんどなかったのである。


各地のシェルターに避難していた人たちも戻ってくることになった。

せっかく作ったシェルターだったので、一部は観光地として活用されることになった。


各国の南極基地に設けられたシェルターはホテルとして活用することとなり、転移魔法陣が設けられ、気軽に南極を楽しめるレジャー施設として活用される予定となった。


世界は正常に戻りつつあるが、違う点がいくつか出てきている。

その内の一つは、航空機、電車、バスなどの公共各交通手段による移動が大きく減ったことがある。


既に各国の大都市の空港には、転移魔法陣が設けられ、アメリカン航空やユナイテッド航空など、航空会社により運営されていた。

これは各国の合意の元、航空会社の倒産を避けるためだったが、パイロットやキャビンアテンダントなどの大幅なリストラが相次ぎ、社会問題となった。


その影響は鉄道会社やバス会社にも及んだ。

各国の国内での転移魔法輸送は、航空会社と共に鉄道会社が運営することとなり、まずは主要駅に転移魔法陣が設置され、最終的には鉄道は一部を除き全廃される方向となった。

ここでも線路の保守員や運転手などがリストラの対象となった。


俺はメーティスの助言により、転移魔法陣の公開に先立ち、各国政府と使用料の取り決めを行っていた。

新会社を設立し、使用料を支払った会社のみ転移魔法を使える形としたのである。


転移魔法陣を設置しても、それを起動できるのは俺とさやかとメーティスだけだった。実質はメーティスにより一般旅客用の転移魔法が発動されていた。


その為、各地の転移魔法の稼働情報はすべてメーティスにより把握されており、使用料とライセンス料の取りはぐれることはなかった。

そして、新会社は莫大な利益を上げることになったのである。


各国の研究者やハッカーが必死になってメーティス無しで魔法を起動させようとしたがダメだった。

したがって転移魔法を使う各社は使用料を払わざるを得なかったのである。


もっとも、使用料はかなり安価に設置したし、魔方陣の設置費用など、制御装置を含めても非常に安価だったので、瞬く間に全世界に普及していった。


新会社設立や、転移魔法陣システムの販売やメンテナンス、および使用料の徴収に関しては、恵さんの父親のi経済研究所CEOの鈴木達也氏に丸投げしてしまった。


達也氏はただでさえ激務だったのに、さらに仕事が増えたので、i経済研究所の運営は恵さんの姉の望さんに引き継いで、達也氏は新会社に専念することにしてもらった。


転移魔法陣を取り扱う会社名は”i-Trans Magic Circle社”、略してiTMC社として立ち上げることとなった。

資金は全てi経済研究所が提供し、転移魔法陣制御装置は、大谷先輩が社長を務める大谷システムズ社が担うことになっていた。


転移魔法陣使用料は安めといっても、一人当たりの費用は、国際間の移動時に10ドル、短距離移動では1ドル~5ドル徴収されることになり、国際便だけでも既に年間1000万人の利用者がいるため、それだけでも年間1億ドルの収入となっている。

しかもメンテナンスに掛かる費用は非常に少ないので、会社の利益は莫大な物になっていた。


◇◇◇

ある米国ビジネスマンの視点:


私はカルフォルニア州のサンノゼ、シリコンバレーで働く技術者だ。

主にネットワーク機器のトラブル対応に従事している。

対応している機器は多岐にわたるが、全世界に出荷されているため、トラブル対応のため全世界を飛び回ることもしょっちゅうだ。


今回はイギリス、ロンドンの機器のトラブルで現地に行かなくてはならなくなった。

今までと違ったのは今回から転移魔法での出張となったことだな。


朝7時に家を出た私は、8時にサンノゼ国際空港に到着。

8時半にロンドン行きの転移があるみたいなので、手続きをして、8時25分に転移ルームに移動する。

飛行機での移動と違い、15分前に手続きすればいいのは楽だな。

しかも荷物を預ける必要もないし。


8時半に転移が行われ、次の瞬間にはロンドンのヒースロー空港にいた。

入国手続きも直ぐに終わり、ロンドン中心部行きの駅に向かう。


駅からは電車も出ていたが、私の行き先はターミナル駅であるロンドンのウォータールー駅だ。大きな駅なので、ここ行きの直通転移魔法陣があるようだ。


待ち時間10分で、すぐにウォータールー駅に到着。

そこから客先のサーバールームまではタクシーで移動したが、客先に到着したのは米国時間で午前10時。

家を出てから3時間だぜ?


トラブルの対応はすぐに終わり、私は現地で対応してくれた関連会社のメンバーとゆっくりランチ(現地の人にとってはディナー)を取ってから帰途につく。


来た時と逆の形で移動し、サンノゼ国際空港経由で自分のオフィスに到着したのは午後3時。

おいおい、ロンドンで作業して、日帰りで帰って、まだ時間が余るなんてどんだけだよ。

それでいて、かかった旅行代金は全部で500ドルだって?

まるで魔法だな。


私は、転移魔法陣を提供しているiTMC社への転職を考え始めた。

規模が拡大する一方のiTMC社は常に社員を募集している。

私は翌日にはiTMC社のシリコンバレー事務所のドアをノックしていた。


世界は魔法の便利さをはっきり認識してしまいました。

主人公はとてものんびりできなさそうです。

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