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幕間2 ここで突撃れぽーとなの!②





 番組の初回放送に華のあるゲストを迎え、鼻息荒く…… オホン! 意気揚揚と臨んだ私、新米レポーターのエリン。スタートは無難に冒頭をこなし、我ながらゲストのプライベートに迫る良い切り口だったと思うの。しかし此処で相手側から圧力がッ! 悔しいけどヒエラルキーには逆らえない。悲しいけどこれ、現実なのよね…… なの!


『え〜 もっと聞きたかったなの。しかたないの、次の質問なの『エリンのズババッ!!』』


 気を取り直して先に進むの。妨害なんてこの世界じゃ珍しくないの。


「はぁ……」

『ルビィさんといえば多くの武勲でも有名なの。ミュルクウィズの戦いや、ミーミル防衛戦、グニパヘリル攻略なんてのも凄かったなの』

「そっ、それ程でもありませんわ。ギルドの皆が頑張ってくれたお陰です! おーっほほほ♪」


 簡単に調子が戻った、ちょろ甘なルビィさんなの。安堵して優雅に紅茶を嗜む彼女を見ていると、もっと踏み込んでみたくなるの。でぃれくたーの目が怖い…… だけどエリンの”じゃーなりすと”魂はノンストップガールなのっ!


『そんなルビィさんですが、先日繰り広げられたイベント〖ロキの悪戯〗にて…… 《《また》》やらかしたそうなの』

「オホン! なっ、なんのことですの? 言ってる意味が分かりません」


 ――『東京都・巻き込まれ体質騎士さんの「この人ありえないと思った瞬間」』――


「何故にさ〇ま御殿!?」


 ――『イベントが終わって安堵していたら…… 共闘をしていた()が敵をわんさか連れて来ていたこと』――


「ひっ!? ななな、何のことですの!」

『聞いてしまったの。ルビィさんが《《あるギルド》》に助太刀に行ったの』

「それは…… 褒められることではなくて?」


 確かにそれだけなら美談で終わっていたなの。だけど実際は…… 事実は小説より奇なり!


『そこまでは良かったの。でも自分のギルドに攻めてきていた神々()をタゲったまま防衛戦を戦線離脱した為に、タゲを取った神々が助けに行った《《あるギルド》》の目前にまで迫って来ていたらしいの』

「はうっ!?」


 どうやらイベント初日に《《あるギルド》》の元へイベントボスが出てしまったらしいの。詳しい原因はまだ調査中なのだけれど、驚くべきことにそのイベントボスを居合わせた二人が撃退してしまったらしいの。

 私の記憶が確かならば、ボスの神ロキは盾装備が十人は必要で、少なく見積もっても三十人規模のレイドバトルになるはずなの。そんな眉唾な話、デマだと思っていたのだけれど、どうやら二人のうちの片方がルビィさんだったらしいの。


『巻き込まれ体質騎士さんは男性というところまでは分かっているの。しかも情報筋によると――』

「情報筋!?」


 ルビィさんの頭がギルメン達の方向へグルリん! と向いたの! 阿吽の呼吸でサッと顔を逸らすメンバー達。真実は闇の中だけど、同じ方向に見事なシンクロで振り向く様は、よく訓練された証だと思うの。


『続けるの。しかも情報筋によると、巻き込まれ体質騎士さんは”ハリケーン・ルビィ”さんに何度も絡まれて酷い目にあわされているそうなの』

「そっ、そんな! わたくしはそんなこと……」

『ここにリストがあるの』

「ふぁっ!?」


 思ったとおりなの。”巻き込まれ体質騎士”という人が誰かは分からないけど、このリストに書かれている騒動を調べていけば辿り着けるはずなの。”ハリケーン・ルビィ”が執着している相手、つまりこれはラブなの! 恋の波動を感じるの! 事案なの!


『ズバリ、これを調べればルビィさんの意中の殿方が――』

「クリムゾンウェーブ!」

『ひゃあ!?』


 塵一つ残すことなくリストの紙が燃えたの! 秒で!


「どうかいたしまして?」

『ひどいの、横暴な…… いえ、何でもありません』


 ルビィさんの目が虚無なの。だけど笑顔がニターリしてて怖いの。


『今日は楽しいお話をありがとうございました。以上、レポーターのエリンでした!』


 私は空気の読める女なの。


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