表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/52

グダグダの決着でも良いと思うんだ






『キシャ!』

「なんの!」


 俺はヨルムから吐かれた毒に〖何でも防ぐばんのうのたて〗一号を構える。盾は一瞬で俺を隠すように広がり、毒を全て受け止めた。グッジョブ! かなりの強酸なのだろう、煙が上がり盾の表面が腐食している。危なかった、喰らったら火傷では済まなかったかもしれない。


「くそっ、迷ってる場合じゃない! ルビィ、10秒間だけ持ちこたえてくれ!」

「いきなり何ですの? こっちも手が話せないんですが……」

「ごめん! こっちの話。もう少ししたらヘルプに行くから頑張ってね!」


 独り言に気づかれて慌ててしまった。だって憧れの台詞を言ってみたかったんだもん。


 俺は咄嗟に片足で膝まづくと、空中でコンソールを開く。〖ふつうの剣〗を〖聖剣エクスカリバー〗にチェンジ! 背中に背負う様にポップアップしたエクスカリバーの柄を握り、上段の構えをとった。どこからともなく、光の粒がエクスカリバーに集まってくる。目を閉じながら大きく息を吸った俺は、カッと目を開きスキルを放つのだった!


「エクスッ! カリバァアアアア!!」


 全身全霊で振り下ろした切先から、黄金色の衝撃波がヨルムに向かって伸びて行く。このゲーム〖ユグドラシルファンタジー・オンライン〗では、一定の条件をクリアするとオリジナルスキルを作成できる。俺は自作したスキルの効果に満足していた。決して某アーサー王さんの必殺技を丸パクリした訳ではない。念のため…… とてもよく似ているけど…… 違うよ…… ほんとだってば……


 何はともあれ、俺の超必殺スキルを喰らってズタボロになったヨルムだったが……


『キシャー……』

「……ハハッ」


 いい顔してやがる。流石伝説級の神の一柱。ならばもう手加減は無しだ。とっておきの切り札を出すしかない。


「ほんとうは使いたくなかったんだがな……」

『キシャ?』


 気配の変わった俺にヨルムも気づいたのだろう。


「よく聞け! この技をまともに喰らえば、流石のお前も間違いなく死ぬ! だからよけろ! いいな よけるんだぞ!」

『キシャアア!』


 ヨルムが『さあ来い!』と言わんばかりの気合いを見せた。無理しやがって…… 認めよう、お前は最高の好敵手(ライバル)だよ。


「はぁあああああ!!」


 最高の好敵手ならば最高の技で応えるしかない! 俺はありったけの気合いを込めて、右手を大きく突き出した!!


「喰らえっ! ヘビ〇ンノォォオ!」

『キシャアアアア!?』


 まともに薬を被ったヨルムの断末魔が響く! 馬鹿野郎…… だから避けろって言ったのに。 やっぱりヘビ避けにはヘビノ〇ノだ!


 苦しんで藻掻(もが)くヨルムが左へ逃げようとする。すると岩陰に隠れていた罠が発動! 謎のスプレーがヨルムにプシャ〜!


『ギジャー!!!』


 めちゃくちゃウネウネして苦しむヨルム。気持ち悪…… おっとごめん。


「ごめん、毒ヘビ〇ェット片付けてなかった」


 誰にでもミスはある。都合よく罠を片付け忘れる事だって、ましてはその罠がベストな角度で仕掛けられていたって、現場ではよくあるヒューマンエラーなのだ。こういう些細な事から労災につながるのでKY(危険予知)トレーニングは大事である。ご安全に。

 よろよろとヨルムが反対側に逃げようとする。だいぶやられたな…… しかしここでも悲劇がっ!


『キシャ!? ッシャー!!』

「すまないっ! ヘビブ〇ックを片付け忘れてた」


 言ったそばから再度のミス。社会人にあってはならない。ダブルチェックはどうした? 現場の責任者出てこい! あ、俺か。


『キシャシャ、シャッシャー、シャシャシャシャーー!』

「おい! 待て!」


 制止を振り切り、ヨルムはたまらず転移魔法を使い逃げていった。『これで買ったと思うなよ』的なことを言ってた。たぶん。


「なんかぐだぐだな決着だったけど、まぁいいか。ルビィ、今行くぞぉ」


 少し離れた所に構えるルビィの元へ、オレは駆け出すのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ