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そして誰もいなくなった





 危ないところだった。美と戦いの女神・フレイヤに危うく色香で籠絡されそうだったところをアリーシャに救われた。


「〖魅了チャーム〗なんて初歩の初歩でしょ! しっかりしなさい」

「悪ぃ、助かった」


 なんか何時もより機嫌が悪い? アリーシャが俺を庇って仁王立ちしていた。俺、聖騎士なんだけどね、どっちが騎士なのか疑わしいくらいだ。でも正直助かった。

 そんな俺たちを見ても悪びれた素振りを一切見せないフレイヤは、舌なめずりをしながら懲りずに誘惑を続ける。


『ウフフ、ソンナ オコサマヨリ、ワタシト ”イイコト” シマショウヨ』


 アリーシャの身体がピクリと跳ねた。両手をぐぅーっと握ってプルプルしてる。何か殺っちゃうよ的な視線でフレイヤを睨んでる。


「お子様? 貴女の眼は節穴のようね」

『ソゥ〜オ? ダレガミタッテ、オコサマジャナイ』


 フレイヤは自分の胸をワシワシしてニヤリと笑った。完全にマウントを取りにきているようだ。


「分かってないなぁ、フレイヤさんよ」

『ソウカシラ?』

「マッケンジー、言ってあげて!」


 アリーシャが御主人に期待するワンコの様な目でこっちを見てる。勿論俺はアリーシャの魅力を十分理解しているつもりだ。期待してくれ。


「彼女の魅力は、その大和撫子ボディじゃないか。控えめで慎ましい合法ロ──」

「黙れ!」

「痛っ!?」


 アリーシャにぽこぽこ殴られている。ごめん悪かったって、控えめでも魅力的なチッパイさんだって…… イタイタイタイっ!?

 少し涙目のアリーシャになすがままに叩かれていると、フレイヤがわざわざ俺達の前に回り込んできて鼻で笑った。


『フッ(笑)』

「かっち〜ん!」

『ナニカシラ?』

「その下品な脂肪の塊がキモイのよ、アバズレ女神」

『……モタザルモノヨ(持たざる者よ)、ダマリナサイ』

「OK、戦争よ。とことん燃やし尽くして塵芥にしてやるわ!」

『ツルペタ ノ ブンザイデ。クチク(駆逐)シテヤルッ!』


 アリーシャはフレイヤと決闘を初めてしまった。それにつられるようにフレイヤの側近達も、ウィッチ隊と戦い始めた。


「おいおい、マジかよ」


 トホホ…… みんな分かっているのかな? ギルマスの俺が倒れたら敗北なんだけど。見事に神々に釣られてるじゃん。既にギルドホームの前には、俺と護衛役に残った重戦士のミトだけだし。


『ホワォ! ホワォ! ホワォ!』


 ん!? なんだろう…… 向こうからクネクネ歩いてくるデューク○家みたいな奴は? しかも上半身は裸、下半身はピッチピチスパッツを履いて…… こんなのばっかりだな。


「…………アレ、神フレイ。とても危険な奴」

「おっおう」


 何時もは寡黙なミトが喋った。会社でもゲーム内でも滅多に声を聞く機会がないので、急に喋るとびっくりする。


「俺に任せて欲しい」


 黒くて重厚感のあるフルプレートを纏ったミトが、ハルバートを手にフレイへと向かって行った。期待していいのか!? 今日はやけに口数が多いぞ!


「気をつけろ、何時でも加勢するからな…… って、あれっ?」


 どうしたんだ? ミトがフレイの前で立ち止まって、頭に被っていた〖ダークカウ・ヘルム〗を脱いだぞ!? 何してるんだよ彼奴、ナマケモノみたいにゆっくり動きながらポーズをとってるけど……?


「神フレイ、デ○ークスウォークのキレ、たまらない♡」

『オマエ、ワカッテルナ。ツイテコイ……』

「………………(コクッ)」

「ミト何処へ行くんだ? おーい、ちょ、待てよ……」


 俺の呼び掛けも虚しく、坊主頭の重戦士ミトはフレイの後について何処かへ行ってしまった……


 そして誰もいなくなった……


「あれぇ? 俺の護衛は? ……あれぇ〜」




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