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冤罪   作者: はるあき/東西
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処罰

 タナビタ子爵とライマカ伯爵令息の話は食い違いが多く、整合が全くとれなかった。タナビタ子爵バベラはライマカ伯爵令息が幼かったから記憶間違いでしょうとのらりくらりと質問を最もらしく躱していた。だが、十二年前にタナビタ子爵がライマカ伯爵の元に来たことになると何も答えることが出来ずとうとうボロを出した。

 十二年前、タナビタ子爵はライマカ伯爵にクーイラサ(むすめ)に内緒で婚約の打診に行っていたのだった。二年後、娘が八歳になったら正式に結ぶことを約束して。


 その後、厳しい取り調べで父を追い出したキワサハ伯爵を恨み、キワサハ伯爵領を乗っ取る予定だったことを話し出した。本物のタナビタ子爵と入れ替わるために火事を起こし、弔問に来るウェットダン公爵夫妻を事故に見せかけて殺したことも。公爵家に幼い二人の子供が残らなければキワサハ伯爵を乗っ取るだけで終わる予定だった。後見人の地位を利用して公爵家を乗っ取ることにした、と。公爵の名を隠れ蓑にして昔の仲間を呼び寄せ、フイカラサ辺境領でしてきたことを再び始めた。たが、王弟の息子と娘が恋仲になったため、公爵家の乗っ取りから鞍替えを思い付いたことも。派手になってしまった裏家業を精算するためにメッツアに罪を着せることにし、暫くは大人しくするはずだった、と。


「欲を出したのがいけなかった」


 後見人としての役目を果たさなかったとして投獄される予定だったことを告げるとぽつりとそう呟いた。

 本当の名は決して言わず、偽タナビタ子爵バベラと呼ばれ全ての犯罪の主犯として処刑された。


 メッツアは偽者の叔父によって操られていたことが発表された。麻薬漬けにさせられ、正常な判断が出来ない状態だった、と。だが、それを信じる民は少なく、メッツアの墓に花を手向ける者はなくいつも荒らされていた。


 サライスは子が出来ないようにされ犯罪を犯した王族が入る塔に送られることになった。サライスもその父であるカンタス大公も重すぎる罰だと抵抗したが、度重なるランスの指示を無視したことや知らずとはいえ偽タナビタ子爵の犯罪を手助けしていたとして聞き入れなかった。


 クーイラサはウェットダン公爵の使用人たちに宣言した通りイオラ炭坑に送られた。数年後には性病を患い死んだと報告があった。

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 〉カンタス大公も重すぎる罰だと抵抗した メッツア側に抗議する存在がいないから、息子を優先しても悪く思う者はいないって判断でもあるんだろうなぁ。 なにせウェットダン公爵夫妻はいないし、被害者の…
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