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エピローグ~古敷谷史夏~

 幸助から「二人はどういう経緯があって付き合ったの?」なんて聞かれて、久しぶりにあの夏休みのことを思い出した。


 まさか子供たちにあんな話を聞かせることになるなんて思いもよらなかった。


 恥ずかしいけれど、私の大切な思い出だし、大切な二人には話してもいいなと思った。


 もしかしたら心のどこかでは聞いてほしかったと思っていたのかもしれない。


 今でもあの髪飾りは使っているし、これからも使うつもりだ。


 幸司君は「いつまで使っているんだよ」って言うけれど。


 私の大切な宝物だ。


 幸助はいつの話か知らないはずだし、知る由もないはず。


 たまたまだとは思うけれど、あの日に聞かれるなんてなんだか不思議な気持ちになる。


 今の幸助はあの時の幸司君と同じ年齢になった。


 彼女はいるのだろうか。


 もしかしたら私が知らないだけで、そういう意中の人がいるのかもしれない。


 幸司君と同じように女の子からモテていたりして。あの時の舞ちゃんのように。


 心音は彼氏を連れてきたことはないけれど、それなりに楽しんでいるような感じはする。


 そして四年後には私が心音を出産した歳になる。


 一般的には早い方だけれど、そういう可能性もなくはない。


 私もそろそろ覚悟をしておかないと。


 たぶん幸司君はショックを受けるかもしれない。


 私の結婚のときは父が猛反対をして幸司君も大変だったようだし、娘の結婚を父親というものはなかなか受け入れがたいものなのだろう。


 まあ私の場合は、当時まだ偏見の強かったデキ婚だったし、年齢も若かったし、幸司君は学生だし、とにかく反対される要素はたくさんあったから仕方ないっちゃ仕方ないんだけれど。 


 でも私は後悔はしていない。妥協だってしていない。


 もちろん辛いことも投げたしたいこともたくさんあった。


 けれど幸せだと胸を張って言える。


 二人の子供たちと過ごすこの時間はかけがえのないものだと思う。これ彼の成長も楽しみだ。


 だけどやっぱりあの夏休みのあの日の幸司君の告白が私の人生の始まりだし、幸司君と歩むこの人生は何にも代えがたいものだ。


 いつまでも幸司君の隣にいたいし、ずっと一緒に生きていきたいと思う。

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― 新着の感想 ―
[一言] こんなに仲の良い、素敵な家族で、そして近い未来、子供たちが巣立つのかもしれないなぁ、なんて幸福な寂しさを感じていた史夏さんが……。 最後の一文が、胸にきました。 この先に起こることが、幸…
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