エピローグ~坂浜恵美~
涼子の後押しもあって、私は幸助君と遊びに行くことができた。
その時はもちろん涼子はいない。
軍師不在で幸助君とのお出かけデート。幸助君はデートと思っていないかもしれないけれど。
涼子からはデート前に「チャンスがあったら告っちゃいなよ」と言われていたけれど、さすがにそれはできなかった。
それを涼子に言ったら「ドンマイ」と特に期待もしていなかった様子。
幸助君とは夏休み前にやっと話せるようになったばかりだし、二人で出かけるのもこれが初めてなんだから、下の名前で呼べるようになっただけ進歩したと思うしかない。
それにメールもよくするようになったし、たまに電話もするし、以前よりも断然関係性はいい方向にいっていると言っていい。
だけど小川さんをはじめ、他の女の子たちも幸助君を狙っているから、悠長にはしていられないけれど。
明日から二学期が始まる。
私は幸助君とクラスが違うから、毎日必然的に顔を合わすことはできない。
でもこれからは少し積極的にしていきたいと思っている。
用はなくても頻繁に涼子に会いにって、そのついでに幸助君に絡んだりして、アピールを少しずつしていこうかな思っている。
できるかはわからない。けれど、今はそうしようと思っている。
しなくちゃいけない。頑張らないと。
今まではちょっと特殊な恋愛小説を読んでいたけれど、最近は幸助君の好きなジャンルの本を読んで少しでも近づこうと頑張っている。
無理はしていない。読んでみたら楽しかったし、こういうのを幸助君が読んでいるのかと思うと、なんか嬉しい気持ちにもなるから。
二学期は波乱の予感がする。いや、しない。
もうわからない。
私が幸助君と一緒に花火を見ようと思っていたら、同じくみんなもそう思っていたように、二学期は積極的に行こうと私が思ったということは、同じくみんなもそう思っているかもしれない。
嫌な予感がするけれど、この戦に私も参戦するしかない。
でも私には軍師がいる。頼ってばかりではいけないとは思うけれど、最後は私がどうにかしなくちゃいけないともわかっているけれど、心強い味方がいる。
明日の登校が楽しみだ。




