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人殺しとガキ  作者: ボウズ
1/1

プロローグ

ある日、人殺しは言った。それも、ものすごい唐突に。

ーー子供を育ててみたいと。

それも、悲しく寂しく一人で。


2年後


おっ?やっと歩けるようになったか。

ガキが歩けるようになった。少し前まで寝て起きて泣いてを繰り返す日々だったのに。何故だかあっという間に時間が過ぎた。

最初は興味本位で始めたけれど案外楽しんでいる。

この世の中、楽しんだ者勝ちだ!

これは人殺しの弟がよく言っていた言葉だ。弟はなんでもポジティブに考えれるやつだった。おっと、そんなことは置いといて、今日もガキの観察日記を書こう。昔からの人殺しがやっている習慣だ。対象が1日、なにを喋ってなにをしていたのかを全て書く。そう、これは途方もなく頭の使う行為だ。だが、人殺しはそれをやってのけるだけの頭があった。人殺しは、お金には困っていなかった。ノートも鉛筆も充分に買えるだけのお金はあった。家もそれなりに広く、正直言ってガキと二人で暮らすのにはデカすぎると思う。子供の大まかな育て方は知っていた。何故なら普通の人とは違い、生まれてすぐの時から記憶がある。もしかしたらそれ以前から。まれにそういう子供がいる。そう、人殺しは稀だった。そんな稀な者で頭のいい奴でも、ひとつだけわからないことがあった。今育てているガキが全く笑わない。確かに、ニッコリとはするけれど、どこか、感情の入っていないような無機質な感じだ。人殺しは人の感情を読むのには長けていた。対象が今どう考えているのか、何故この行動に至ったのかをいっぱい考えてきたからだ。だけど、このガキの事は分からなかった。不思議だ。このガキを育て始めて結構経つが、いまだに分からない。今日も168回こっちを見てニッコリとしていたが、どれも感情がこもっているようには見えなかった。人殺しはこのガキにより一層興味が湧いた。また、人殺しの楽しみが増えた。このガキが心の底から笑ってる、顔を見てみる事だ。人殺しは極端な人間だった。やるかやらないかゼロかヒャクしかない。例えば、ペットボトルの水を飲むなら最後まで飲みきる風呂に入るときは石鹸を全て使うと言った感じだ。だが、そこの基準は曖昧で、鉛筆などは普通に使っている。この人殺しは他人から見れば変わっているという言葉がお似合いだろう。昔、小学校ならず幼稚園くらいの時から、すでに周りからは浮いていた気がする。そして、先生たちからも距離を置かれていた。無駄に心が読めるというのはなにかと怖がられることが多かった。

ぎゃー、ぎゃー

またガキが鳴き始めた。どうせご飯だろう。合っていた。このガキは何故泣いているかがわかりやすい。まあ、言ってしまえば、起きた時とご飯の時とトイレの時くらいしか泣かないから、その3つの中から選べばいいだけなのだが。ガキはまだまだ小さい。だから人殺しはいっぱい色んなものを食べさせた。人殺しはこのガキに理想像を押し付けている。まあ、兄弟がいる人は誰しも考えたことがあるだろうが自分の弟や妹を天才に育てたいと思うのと似たような感じだ。だが、普通の人なら、途中で自分のことが忙しくてやめてしまったり、諦めることがほとんどだろうが、人殺しにはそれができる、お金や時間、環境がそろっていた。考えればわかることだが、普通、2歳児の子というのはお金があれば保育園や幼稚園に通っているようなものだが、人殺しはガキをイチからヒャクまで全てを自分で育てたがった。まず日本語、中国語、英語、ドイツ語、スペイン語を3歳までに覚えさせる計画を立てた。これが、無謀なのは明らかだ。だが、人殺しはやると決めたら諦めない性格だった。ガキをイチからヒャクまで育てるとは言ったものの、基礎を育てるだけであり小学校からはちゃんと行かせるつもりでいた。語学の勉強が終われば体術など体の動かし方を教え、人を殺す方法を教えようと思っている。だが、まずは語学の勉強が優先だ。では、始めていこう。

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