表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

掌編小説集10 (451話~最新話)

その果て

作者: 蹴沢缶九郎

ある青年が休日を理由し、登山目的で山へやって来た。青年が山を登り始めてしばらく経ち、そろそろ山の中腹に差し掛かるかというところで、ふと喉の渇きを覚えた。

青年はふもとの店で買ったペットボトルの水をリュックから取り出すと、勢いよく飲み干し、空になったペットボトルを近くを流れる川に投げ捨てた。捨てられたペットボトルは水面に浮き、沈む事なくゆっくりと川下に流されていった。

流れるペットボトルは岸や川底の石に幾度となく当たり、その都度体勢を変えては流れた。時には水面に突き出た石に塞き止められたが、川の流れがペットボトルを押し流した。

ペットボトルは何日も川を流れ続け、辺りの風景も自然から人工物に変わり、何度目かの陽が登った頃、傷だらけのペットボトルは川から大海に出た。

それからもペットボトルは波に流され、海を漂い続けた。ある時、魚が汚くいびつなペットボトルを口先でつつき、興味がなさそうに何処かへと泳いでいった。

雨が降った。雨がペットボトルに当たり生じる音は、雨が海面を叩く音と異なり、もし漂流者がその光景を見たのならば、少しの暇潰しになったかもしれない。

ペットボトルは何日も何日も海を漂い続けたが、その旅にもとうとう終わりの時が訪れた。「ゴオオーー」と凄まじい音が辺りを支配し、ペットボトルはその音の発生源となる巨大な滝に飲み込まれていったのだ。


地球は平らだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] オチが凄く好みです。 個人的には最後の一文は無い方が好きですが、作者様のサービス精神でしょうね。 次回作も楽しみにしております。
2018/12/27 20:43 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ