n度目のデスマ異世界はありふれた金色のスマートフォンと化した鬼邪殺戮怒≪キャサリン≫とともに
みなさん、お久しぶりです。
またあれから色々ありました。
神話生物しかいないトコとか概念さえも語るのがちょっと限界ある所とかTS百合ハーレム以外は爆発する世界とか、案の定変な世界ばかり飛ばされてきたものです。
まあ、まさか最後には転生前の元の世界で戦う羽目になるとは思っていませんでしたけどね。
今まで戦ってきたラスボスの残滓が大集合して次元を超えて来るのは、流石に最大級のピンチだったように思います。
結果無事ではあったんですが、一生どころか来世百個分のアツイ展開に流石にお腹いっぱいです。
その中で嬉しい再会はあっても、やっとこさすべてが終わって平穏無事なOLとして生きられる・・・その思いが強かったですね。
やっぱり私はどれだけ転生先で英雄っぽく祀り上げられても、根っこの部分はどこまでも小市民なんでしょう。
おわりおわり。
・・・そう思っていた時期が私にもありました。
・・・。
おいぃこら・・・オイ聞いてんのか転生神。
「何でまた私転生させられてんだよコノヤローーーーー!」
目の前に広がる、明らかに人の手が入っていない欧州的大自然の雄大な風景。
富士山の様な例外を除き山肌のほとんどを樹木が覆っている日本のそれとは一目見て違うなど、相当な相違があるので一瞬で判断が可能だ。
ギャース、と言う恐ろし気な鳴き声と同時に鳥の群れが森から飛び立った。
蝙蝠の様な翼を持ちながら荘厳な巨体をした最も有名な怪物、ドラゴンが遥かな高みを横切った。
そう、ここは食傷気味になるほどありがちな例の「なんちゃって中世ヨーロッパ風☆剣と魔法のファンタジー世界」・・・こーゆーのを指すナーロッパとかいう便利な言葉が出来たらしいな。
そして今回もよくある10代の少女っぽい年頃で転生させられた。
「もうこれで完全に最終回!完!おっしまい!ぐらいのテンションで終わったろうがーーーー!アレでまだ不満ってかァ?欲しがり屋さんだなくそが!終わらない終焉という矛盾した地獄をプレゼントしてやろうか!?」
虚空に叫び続ける旅姿のスカートの影で、小さくプルプルした何かが動いた。
『来てしまった物は仕方ありませんよマスター。状況を把握し、前向きな思考に切り替える事を私は提案します』
「お前も来てたのかー分かってたけどな!スライムに転生したメイドロボだった件とか主審がいたらボーク取られるぞチックショオオオオ!」
・・・とまあ、何だかんだツッコミを叫んでたら流石に落ち着いてきた。
相変わらず、どの世界に来ても空は青い。
空気感は違っても、それだけは違わない感じがする。
まあ、来ちゃったもんはしゃーない。
何があるかは分からないけど取り敢えず歩き出そう・・・そう気持ちを切り替えた瞬間だった。
ヴーン、ヴーン、ヴーン・・・
音の発生源は、私が腰につけているポーチだ。
それは剣と魔法ヒロイックファンタジー世界に基本あってはならない、正確に測って規則的に鳴らされる極めて人工的な機械の振動音。
革の表面に薔薇の可愛らしい刺繍が入り、自分の趣味にフィットした小物入れ。
それを恐る恐る開けた所、私は発見してしまった。
オーパーツにも程があるシロモノが、そこにはあった。
「何だこの・・・すげえダッセエ金色のスマートフォン」
ツッコミを入れる気力は最早エンプティートゥナイトである。
もうすでにお腹いっぱいだ。
チロ○チョコ一個見ても吐き気が出るレベルで。
だが、色々転生世界を飛び回りはしても基本的には現代日本人である私は嫌と言うほどに知っている。
スマートフォン・・・スマホと言うのは、通話する機械なのだ。
つまり、転生チートファンタジーが絡めばコレ自体が喋る事も十分にあると言う事だッ!
私の震える指が、迷いながらも画面のボタンを「ピッ」と押した。
『やっと出てくれたか』
何と言う事でしょう!
もう嫌と言うほど聞いたしもう二度と聞かなくていいかなとさえ思ったその声、その口調!
「ゲェ~~~~ッ、鬼邪殺戮怒!」
私は思わず黄金のスマホをぶん投げた。
無意識に身体強化魔法を掛けていたのだろう。
細腕からはあってはならない速度でその小さい物体は射出された。
黄金の尾を引き、蒼穹に吸い込まれるようにレーザービーム一直線。
・・・それが、曲がった。
レーザーはレーザーでもロックオンする奴だったんだろうか。
いや、そうじゃない。
あ、ドラゴンに当たって「グエッ」とか言った。
でもスマホは勢いを無くした様子はない。
それは大きく円を描き・・・同じ速度で戻ってきた!
ドゥオン!
地響きと土煙を上げ、スマホはすぐそこの地面に突き刺さった。
『・・・流石に全力で投げるのはどうかと思うぞ』
「じゃっかしわぁ!人に無断で所持品に紛れてんじゃねえー!それにスマホと一緒に転生とかおま、オイ・・・お前・・・う、っがああああああーーーー!」
『私はマスターと旅が出来るのは楽しみですよ。こうしたオーソドックスなファンタジー世界は初めてなので』
その時、私たちの会話を強引に中断させる大きな音量で何かが響いた。
先程の高空を飛ぶドラゴンの怒りの咆哮だった。
空を切り裂く鬼邪殺戮怒をぶつけられて怒り心頭の様子だ。
『色々言いたい事はあるが・・・あれを片付けてから考えるか』
まあ何て言うか、今回の旅は始まったばかりだ。
- GRAND FINALE -
ザ・エンドってね
ブクマ評価してくださった奇特なマッスル読者の皆様、
またそうしないまま読んでくださった方々全員にも
「ありがとう」を捧げます。




