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【番外編】いまのはなしとかんけいないかんぜんなばんがいへん

インフィニットな奴はちょっとお休みです

鬼邪殺戮怒さんがステータス制の世界に行った事がないのに気付いたのでやってみました

「・・・む、どうやらまた転生してしまったようだ。いやこれは・・・概ね元のままの俺の肉体だな。異世界転移というやつか」



 遠くに見える西洋風の城壁に囲まれた街、魔物の気配や魔力の渦巻く森。

 俺は気が付くと、如何にもオーソドックスなファンタジーと言う風情の世界の、何処かの草原のど真ん中に立っていた。


 ふと、ねっとりと纏わりつく様な殺気が四方八方から俺に対して向けられた。

 俺にとってはお馴染みの感覚に続き、物陰からいかにも長期間風呂に入っていなさそうな武装した男たちが、にたにたと笑いながら出てきた。

 これはまたテンプレに忠実な山賊だ。



「こんなところに剣も帯びてないおかしな奴が来てるなあ?だがその珍しい服は金になりそうだし、体格もいいから奴隷紋を打ち込めばまあまあの値段が付くだろう。生け捕りにするぞテメエラ!」


 一際体格のいい、恐らくはお頭であろう男に呼応して子分らも無駄にデカイ声を一斉に上げた。


 しかしこの服に目を付けるのは悪くない目利きかもしれない。

 通気性・吸湿性と速乾性に優れつつも雨水をほぼ通さない、奇跡のようななんとかテックと言う素材で出来たジャージだ。

 俺のサイズのものはそこそこの値段がしたが、それでもなお満足度が勝るのだ。


 それはそうと、山賊の親分的な男が何事か続けた。



「聞いて驚くなよ?このカーマイン山賊団を仕切る俺様デスゼット様の斧レベルは何と・・・7だ!」



 山賊の武器には大体手入れの概念がない。

 だが例外的に輝くその斧を見せつける様に掲げて見せるデスゼットなる男。

 ふむ・・・レベルか。

 この世界はステータスやらレベルやらが存在する世界らしいな。


 そう言えば、何気にステータス制の導入された世界に飛ばされて来たのは初めてだな。

 まあいい、やる事は変わらん。



「オラァッ!」



 唸りを上げる斧を避ける・・・成程、自慢するだけはある鋭さだ。

 だが俺にとっては目を瞑るどころか熟睡していても避けられる程度の物だ。

 やりすぎて頭を吹き飛ばさない程度の力加減で、デスゼットの顔面にカウンターのジャブ。


 ・・・む?



「・・・オイオイ何だよそのヘッポコなパンチは?驚かせやがって、その筋肉は飾りかよォ!?もういい、ぶっ殺して服だけ剥ぐ」



 どうやらこの世界は比較的手加減が要らないらしい。

 再び斧が振るわれるより前に、俺の拳はもう一度山賊のヘッドのヘッドを捉えた。


 ビキッ・・・!


 何か、不思議な感覚があった。

 見えないものが軋んで割れた様な・・・それは、今までの世界でよくわからない超越存在と戦ってきたときに感じた物に似ていた気がした。

 次元、世界、そう言った物を含む何らかの概念自体にダメージが入った時によく発生していたものだが。

 それはともかく。



「ぐぶぉっふぉああああぁぁぁぁぁ!」



 デスゼットの臭そうな体が、ほぼ垂直に打ちあがった。

 まっすぐ吹っ飛ばしたはずだが、微妙に避ける反応をされたのと思った以上の防御力が絶妙に合わさってこうなったようだ。

 まあ、再起不能程度の手応えはあったので結果は同じか。



「お、お頭ー!てめェこの野郎!≪サンダーボルト≫!」



 接近戦は不利と見たのか、山賊の子分共の中でも使えるであろう面々が一斉に魔法を撃ってきた。

 存外頭を使っているようだが、本当に賢ければこんな生業に身を落とす事もないだろう。

 何はともあれ、俺も対抗して魔法を撃ち返す事にした。


 ビキキッ!


 うーむ、やはりさっきと同じ感覚がある。

 それに魔力の集まりも若干良くないようだ。

 大して問題はないが。



「≪ナックルブラスター≫」



 百の火箭が同じ数だけの山賊を吹き飛ばした。


 ・・・取り敢えず、町でも目指すか。




~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~




「・・・ここがカーマイン山賊団が壊滅していたという現場か」



 武装した警備隊を連れ、鎧姿で金髪の騎士然とした若い女性が白い馬の上からそう言った。



「国さえもまたいで暴れて騎士団も追い払い、散々手を焼かされた連中がこうもアッサリ潰えるなど、本人たちを見なければ俄かには信じられなかったところだ」


「私は実際に目にしてないんですが、どういう様子だったんでしょうか?」



 警備隊の隊長にそう尋ねられ、女騎士は一瞬口ごもった。



「・・・ないんだ」


「無い、とは何がですが?」


「あへあへしか言わなくなった連中のステータスが存在しないんだ。強制ステータス開示の魔法に優れた元王宮尋問官を招いて確かめたから間違いない。文字が滅茶苦茶で読めない、あるいは消去されてしまった状態のステータスを見た時はその方も流石に顔を青くしていたよ。無論デスゼットの脅威的な強さを示す斧レベル7もな」



 何人もの男達が息を呑む音がハッキリと聞こえた。



「故に何らかの異変の予兆の可能性を考え、私が直々に出向いたというわけだ。この聖騎士ホーリィがな」




 結局現場自体には大した手掛かりは見つからなかった。

 ホーリィは警備隊を領主に返すために領都へと戻ろうとしたが、その途中で最寄りの城塞都市に立ち寄った。

 来るときは急ぎだったために寄らなかった場所だが、先に寄っておくべきだったと彼女は後悔した。

 冒険者ギルドが、ある男の噂で持ちきりだったのだ。


 ホーリィは、詳しい話を聞く為にギルドマスターと面会する時間を作った。



「その男がフラリと現れたのは、ついこの間の事です。儂の目から見ても鍛えられた肉体を妙な服に包んだその男は、小型とは言え竜を持ち込んで来ました。買取を目的としてね」


「竜・・・の素材ですか?」


「結果的にはそうなりますね。しかし奴が担いできたのは、体長5m程の竜の体そのものです」


「竜の死体を丸ごと!?」


「いえ、死体ではありません。その男が言うには『ヒコウ』・・・とやらを突くことでこの世の終わりまで目覚めぬ眠りを与えたという事です。素材の状態の良さなど語るまでもありませんよ。生きてるんですから」



 とても信じられない。

 信じられないが、ギルドマスターともあろう人物がこのような荒唐無稽な嘘を吐くというのは流石におかしすぎる。

 密かにホーリィが装備している、人の嘘に反応する短剣もうんともすんとも言わない。

 つまりこの信じられない内容をギルドマスターはありのままの事実とし認識して話していたという事だ。


 ・・・他の職員や冒険者たちとのとの話の整合性にも瑕疵はない。

 むしろ個人の妄想であって欲しかったとさえホーリィは思ったが、残念ながらそうではなかった。

 物証がある。

 その男が持ち込んだ竜から剥ぎ取った大量の素材。

 そして・・・無残な状態となったギルドの訓練場だ。



「・・・まるで巨大なモンスターが暴れた様な・・・否、違うか。破壊のエネルギーが一点から伝播して頑丈な訓練場を廃墟に変えたのか」


「おっしゃる通りです。そして、ご覧ください」



 ギルドマスターがホーリィに見せた物は、破壊された鉄板のような何かだった。

 だがよく見ると、鉄板ではなく扉だ。

 ただの扉ではなく、ステータスのレベルや能力が規定値に達していない者を通さない特殊な魔道具である。

 ギルドの試験の他にも騎士団などにも広く採用されている物であり、頑丈さは言うまでもない。

 ホーリィにとってもなじみ深いドアだ。


 それが、引き裂かれるようにして真っ二つになっていた。

 紙や布をビリッと破るように。

 一般的な成人男性よりも大きい手の痕が戸板上部にくっきり残っていた。

 それをより詳しく調べるホーリィは、進めるにつれて自分の体から血の気が引いていくのがハッキリと分かった。


 魔法道具としての魔術組成が目茶苦茶になっていたのだ。

 カーマイン山賊団のステータスのように。


 ギルドマスターは、ポツポツと語り始めた。

 体験しながらも自分自身信じ難い事を、どうにか絞り出すかのように。

番外編な理由はいつものあの人が居ないからだよ

はぐれ旅的なアレだよ

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