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鬼邪殺戮怒≪キャサリン≫はインフィニットじゃないよ、もっと質が悪いよ - β・TS転生したらイキリ感が強くなった件

 日が落ちた闇の中、地平線に不気味に光る波。

 天空から来た正体不明の異形の侵略者ヴィザークの軍勢だ。


 ミサイルや砲撃、攻撃機による爆撃。

 見た目激しくはあるが、多少前進の勢いを減じる効果しかない。

 レンフォスを纏わない攻撃はヴィザークに対して効果が薄く、雨あられと叩きつけられる弾幕は全ては弾頭にレンフォス結晶粉末を使用した兵器だ。

 しかし能力者によるものでない以上威力は限定的で、足止めと牽制を超える効果は期待できるものではない。


 緑の光が夜を切り裂き、三機のレイヴァースが敵陣に突撃した。

 機械化した上で抽象化した虫や甲殻類とでも呼ぶべきヴィザーク達が無残な破片を撒き散らし、爆発炎上していく。

 しかしそれでも多勢に無勢。

 今にも司令部はこのポイントの放棄を決定するところだった。


 その時、どこからか飛んできた光の線があった。

 鋭いナイフの如くヴィザークの戦列を縦横に截り取り・・・直後、その線に沿った無数の爆発が侵略者の軍勢を呑み込んだ。

 更なる光弾の雨が広範囲に降り注ぎ一方的、圧倒的な蹂躙劇が繰り広げられた。


 その機に乗じ、汎地球統合防衛軍は前線を一気に押し返した。



「ダークメイデン・・・戦場のお伽話だとばっかり思ってたぜ」



 雲の晴れた満月の中に浮かぶ、メイドのようなシルエットの謎のレイヴァースは一人の兵士の呟きに呼応するように掻き消えた。



 ・・・。



 まあ、僕なんですけどね。


 メイドロボ人格搭載のグラムフェンサー。

 それがレンフォスコアと魔法の融合技で亜空間に収納していた真の武装を展開した姿が「ダークメイデン」とか言う名前で噂になってるのは最近知りました。

 学生と言う身分なので、はぐれや尖兵みたいなヴィザークと戦う任務はあるものの前線に行く事はありません。

 が、今の僕とメイドロボの力を確認する目的、そして控えめに言っても旗色の良くない地球人類側の戦況を見過ごせないのもあり、ステルス及び瞬間移動魔法を駆使してコッソリ戦いに出ている訳です。


 が、所詮は一機。

 僕が出張った戦場では勝ちます・・・が、それだけです。

 局地の戦術的成功が戦略的劣勢を覆すわけではなく、全体としてはじりじりと押されている事に変わりはありません。

 僕の見立てではレンフォス学園の生徒全員が攻撃計画に間に合うように完全な形で育成完了したとしても、間に合いません。

 レンフォス学園構想が計画された時点の状況で既に、です。

 メイドロボの計算も同じ結果です。


 上層部は何を考えてこんな計画を・・・?



 そして今になっても尚、この現状を覆しうる唯一の存在は僕の前に姿を現していません。

 ・・・まあ前回はラスボス倒した後で登場しやがったので杞憂に終わる可能性もありますが、そうで無かった場合に備え最悪僕一人+メイドロボで何とかする事も考えなくては。




~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~




 まさか人生の最後近くになって宇宙人の侵略なんてもんが起こるとは・・・長生きなんかするもんじゃないのォ。


 テレビやらネットやらで知っとる世界中の景色。

 そいつが一方的に宇宙クソムシ共に滅茶苦茶にされる様が、毎日のようにニュースで流れてきやがる。

 ワシなんぞには何も出来ん。

 レンなんちゃら言う力がある女子供が戦場に行かなきゃイカンのもクソみてえな話じゃが、そうでなくてもワシは無力な死に掛けのジジイに過ぎん。


 ・・・否、力なら無いわけじゃねえ。

 昔から事故に遭いかけたり悪党どもに絡まれた時、自分でもわけのわからん力が湧いてきて何とかなるっちゅー事がたびたびあった。

 自分でもなんじゃが、殴った相手が10mぐらい飛んだり鉄骨をへし折ったり、そん時の自分はあからさまに人間離れしとったからな。

 まあここ10年はとんとないし、あったとしても宇宙人相手には大して役にも立たんじゃろうが。


 じゃがもし・・・もしもじゃ。

 このワシの中に眠っとるソイツが宇宙人どもを何とか出来るもんじゃったら・・・今すぐにでもッ!



 ・・・。



 ああ、何だ。

 やっぱりワシの中にいたんじゃねえか。

 もう一人の()が。


 ・・・受け入れたらもう二度と平穏は送れねえ、か。

 上等だ。

 人から羨まれるようなモンは何一つない人生じゃが、満足いくまで十分に平穏は堪能した。

 最後に宇宙人をぶっ飛ばすのも悪かねえさ。




 今日から俺は、界渡りの地球最強の男だ。




~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~・~




「ワタシのあんまんタイムを邪魔した報いを受けるネー!」



 メイメイの手にした九節棍型レイギアにコアを砕かれ、昆虫じみたボディは痙攣した後完全に停止しました。



「ウホウホホ(侵入したヴィザークはこれで最後か)?」


「念の為班に分かれて見回りを強化しているけど・・・多分もう居ないと思う。Aセンサー範囲内の反応が消えたから」


「そんなこと言って本当にそのオモチャあてになるの?アイツラが校内にいきなり湧いて出てくる瞬間まで、全然検知できなかったじゃない」



 たった今、とんでもない緊急事態がありました。

 何の前触れもないレンフォス学園の中への数体の小型ヴィザークの出現です。

 小型と言っても大型バイクから軽自動車程度のサイズはあり、そのサイズのキモく動くエイリアンであれば生身の人間を十分に圧倒できます。

 咄嗟に動けた人間は限られています。


 カオルコ・メリンダ・サーキュリア。

 トキオ・カザラギ。

 ジャネット・メイメイ。

 ゲロゴ・リラ。

 ミコト&ユノ・テンザキ姉妹。

 そして僕。


 教官を除いた中で交戦できるほどに動けたのはこのぐらいです。


 ハッキリ言って、この学園の守りはセンサー類含め完璧です。

 なのに現れた・・・その事実が雄弁に物語るものがあります。


 ―――手引きした何者かの存在。


 これをとてもヴィザークへの対抗手段足りえないレンフォス学園構想と合わせると、反吐が出そうな事実が浮かび上がって来そうですね。

 レンフォス学園の生徒達をわざとヴィザークに殺させようとしている、そんな意図です。

 今回の小型ヴィザーク侵入は生徒がどの程度育っているのか見る、というところでしょうか。



『予定より順調なようだな。ククク・・・その調子でせいぜい大きな実りをつけてくれたまえ』



 ・・・とか嗤ってる悪党がいるんでしょうね。

 とは言え誰がそうなのか分からなければ闇に紛れてサヨナラ活動も出来ませんし、そいつの立場によっては影響が大きすぎます。


 またこの前からグラムフェンサーのメイドロボAIが、明らかに現在のこの世界の技術レベルを超越した検査が自身のレンフォスコアに対して行われていると報告してきています。

 欺瞞は完全に成功したそうですが、いつまでも誤魔化せる保証はないとの事です。


 まあそんなわけで、僕の目の前に現れた小型ヴィザークにもそう言う『(センサー)』が搭載されてる可能性を考え、コイツの飼い主に対して「アスクと戦って普通に倒された」と情報を発信してもらい本体は≪絶対封印凍結呪(エターナルプリズン)≫で閉じ込めておきました。

 これを調べたら何か分かるかも知れません。

 まあやるのはメイドロボなんですが。

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